平成 26 年度 胸部画像精度管理研究会の報告

平成 26 年度 胸部画像精度管理研究会の報告
結核予防会診療放射線技師協議会
赤松 曉
顧問 はじめに
平成 26 年 12 月 10 ~ 11 日の 2 日間,結核予防会の
本部・支部の医師 17 名,診療放射線技師 64 名,協力
医療機器メーカー等の方々 18名を合わせて99名が,
結核研究所に集まり胸部画像精度管理研究会が開か
れました。
ニタは管理も重要です。アナログ写真のシャウカス
テンと同様に,読影用モニタの管理も定期的に行い
ましょう。
胸部間接フイルムの評価成績と問題点
間接写真の評価は,ここ 6 年間は ABC 上が 95%
昨年までは,胸部直接写真,胸部間接写真,胸部
前後を推移しています。平成 26 年度は A 評価のフイ
デジタル画像を評価検討してきましたが,今年度か
ルムは 22.2%と優秀ですが,C 中のフイルムが 4.2%
らは 30 年続きました胸部直接写真の評価・検討は除
出たことは考える必要があります。使用装置から撮
外しました。
影管電圧 130kV でグリッド 8:1 を使用して撮影し
胸部デジタル画像の評価においては,全てモニタ
ているとか,撮影管電圧 130kV で,付加フィルター
を使用し画像を検討しました。間接胸部フイルムは
Cu1.00mm を使用しているようでは良い写真が望め
72 本,デジタル画像は 169 枚であり,健診事業を実
ません。
施している支部で未画像提出は 2 支部だけでした。
昨年,結核研究所の星野豊科長も指摘しています
健診事業の精度向上に結びつきますので,次年度は
が,間接撮影装置において,
「IDプロジェクター」の
全ての支部からの画像の提出を望みます。
使用は,私の経験上,縦隔下部の病変の見逃しに繋
胸部デジタル画像評価成績と問題点
がりますので,プロジェクターの取り外しを早期に
ご検討してください。
評価結果の年次推移を見ますと,過去 3 年間では
胸部画像精度管理研究会の方向として,早期に胸
A+B の評価では 70%,64%,55%と年々画像の評
部デジタル画像のマニュアルをつくる必要がありま
価が低下しており,逆に C 中がここ 2 年間増加してい
す。現在,各装置メーカーの画像処理条件等が数値・
ます。
記号等まちまちで非常に解りにくいため話し合い等
C 中の画像とは,肺がんが発見出来ない画像,見
落とす画像です。検討を要します。使用機器につい
て,撮影管電圧 130kV が 42%,120kV が 35 %であ
も必要と思われます。
今後も胸部画像精度管理研究会のさらなる発展を
願います。
り,124kV とか 126kV で撮影している施設がありま
すが,125kV で撮影したものと,画像に差があるの
でしょうか。
デジタル画像は,装置 1 台 1 台が微妙に異なるの
で,画像処理条件を同一にするのではなく,各装置
に合った処理条件を見つけることが大切であると思
います。提出された画像では確認できませんが,撮
影時に多重絞りの下部を活用し,撮影することも必
要です。デジタル撮影はエックス線被ばくが少ない
と言われていますが,測定するとアナログ写真より
も多く被ばくしていることがあります。
撮影装置保守管理と共に,読影室等の読影観察モ
18
7 / 2015 複十字 No.363
モニタ評価を初めて実施
デジタル画像評価結果の年次推移
(年)
1998
36%
64%
15%
1999
14%
2000
8%
43%
21%
31%
43%
52%
9%
41%
65%
35%
46%
34%
7%
2011
48%
13%
2014
0
(年)
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
20
30
60
10
42%
41%
38%
撮影管電圧
その他
1%
120kV
35%
26%
23%
26%
28%
23%
30%
45%
25%
35%
29%
40%
29%
23%
49%
25%
25%
28%
33%
31%
32%
38%
50%
27%
29%
125kV
15%
グリッドの使用割合
r14
5%
r10
13%
r12
82%
1%
100(%)
90
24%
34%
35%
43%
34%
20
30
33%
40
58%
42%
50
60
25%
16%
16%
46%
70
7%
11%
16%
14%
13%
16%
14%
9%
13%
45%
47%
46%
47%
48%
55%
49%
51%
45%
47%
56%
47%
60%
61%
59%
47%
60%
46%
49%
40%
19%
A
4%
7%
6%
6%
9%
4%
5%
3%
3%
4%
4%
B
C上
C中
C下
2%
3%
7%
4%
80
90
100(%)
間接撮影フィルム使用機器の概要
付加フィルターの使用割合
135kV
10%
未記載
1%
使用せず
32%
124kV
2%
126kV
2%
80
30%
34%
34%
デジタル撮影使用機器の概要
130kV
42%
8%
70
C下
1%
間接撮影フィルム評価結果の年次推移
7%
18%
6%
17%
8%
16%
11%
11%
9%
9%
16%
12%
11%
17%
8%
15%
20%
14%
13%
10%
13%
15%
10%
11%
8%
5%
17%
8%
16%
11%
8%
11%
22%
0
135kV
3%
6%
37%
50
C中
0%
0%
29%
40
0%
12%
42%
10
C上
0%
31%
49%
B
1%
6%
53%
15%
2013
31%
32%
17%
2012
0%
9%
39%
A
2%
10%
42%
24%
2010
0%
7%
50%
14%
2009
0%
3%
4%
34%
8%
2008
0%
4%
47%
29%
9%
2007
9%
40%
0%
0%
55%
2004 4%
2006
0%
36%
36%
2005
0%
44%
2003
0%
43%
25%
2001
2002
0%
77%
Alのみ
54%
撮影管電圧
フィルムの使用割合
120kV
24%
130kV
58%
未記載
1%
併用
15%
モニタ
84%
グリッドの使用割合
r8
3%
r14
6%
r10
26%
r12
65%
MI-FA
86%
HX-P
4%
126kV
1%
128kV
1%
Cu+A
l
13%
読影環境の割合
125kV
6%
PFJ
7%
その他
3%
蛍光板の使用割合
その他
1%
IGF
19%
CM-Ⅱ
58%
CG
22%
7 / 2015 複十字 No.363
19