新規顧客獲得と 既存顧客のCS向上を 支援するサービス

 人口減少による市場の縮小や
不安定な経済環境にあって、ビ
ジネスの継続・拡大に知恵を絞
らなければ企業の生き残りはお
ぼつかない。新たな商品・サー
ビスの提供による新規顧客の獲
持する戦略が不可欠になる。こ
の試みを成功させつつあるのが、
朝日新聞社だ。
﹁朝日新聞デジタル﹂
購読の魅力を増す
特典サービス
同社では、2011年5月、
﹁朝日新聞デジタル﹂をスター
ど福利厚生アウトソーシングサ
ービスを企業に代わって提供し
てきた。その中心となっている
のが、さまざまなメニューから
なる﹁えらべる倶楽部﹂だ。
トした。﹁朝日新聞﹂のほぼ全記
事にオリジナルコンテンツや動
レミアム﹂を開始。暮らしに密
着したさまざまな特典によって、
朝日新聞デジタル購読のメリッ
トとして利用してもらおうとの
考えだ︵画面︶
。
の配信スタートと同時に新たな
サービス﹁アスパラクラブ・プ
野口氏も、﹁会員からは、﹃レン
豊富な実績から培ってきたノウ
ハウがあります。また、当社は
長年にわたって福利厚生サービ
スを多数の企業に提供してきて
おり、えらべる倶楽部ライフの
メニューにはそうしたエッセン
スが凝縮されているのです﹂と、
皆見社長は説明する。
もちろん、サービスメニュー
のクオリティも高い。﹁JTBグ
ループの旅行関連サービスには
イフ﹂の二つ︵図1︶
。前者は、
会員証を示せば優待などの特典
が得られる。後者では、﹁レジャ
ー﹂のサービスメニューに加え
て、旅行の宿泊特典やグルメ、
エンターテインメント、育児・
介護、各種電話相談などの幅広
いサービスメニューが用意され
ている。
野口氏は、﹁携帯電話に会員証
をダウンロードできるので、別
途会員証の発行が不要なのが便
利﹂と評価する。クレジットカ
ード会社などでは、カード券面
に会員証をプリントするケース
も。JTBベネフィットの清野
晃氏は、﹁クーポンやチケットは
コンビニエンスストアで発券で
き、導入企業の負担軽減と、利
用者の利便性の両立を図れま
す﹂と胸を張る。
るプランは、﹁えらべる倶楽部レ
ジャー﹂と﹁えらべる倶楽部ラ
「アスパラクラブ・プレミアム」
と
会員が利用可能な
「えらべる倶楽部ライフ」のWeb画面
発信するほか、コンサートなど
日新聞社コンテンツ事業本部の
野口真樹氏だ。
もともと同社は、ウェブを中
心とした会員サービス﹁アスパ
ラクラブ﹂を展開。新聞紙面と
は切り口の異なるコンテンツを
﹁特典サービスには、朝日カル
チャーセンターの入会金無料と
いった独自メニューとともに、
JTBベネフィットの﹃えらべ
る倶楽部ライフ﹄の利用権を付
加しました﹂と明かすのは、朝
画を加えて配信。パソコン、ス
マートフォンやタブレット型端
末などでの閲読を可能にした。
新聞媒体のデジタル化は世界
的な流れだが、ネット上で多岐
朝日新聞社 コンテンツ事業本部
アスパラクラブ運営チーム
サブマネジャー
にわたる情報収集が可能な今、
有料の情報配信サービスに多く
の読者を導くことは簡単ではな
い。そこで同社は、デジタル版
野口真樹
﹁CRM支援サービスは、自社
サービス以外の付加価値を顧客
に提供したいとお考えの企業の
ニーズに応えるかたちで生まれ
たサービスです。当社が展開す
る福利厚生サービスのノウハウ
と、えらべる倶楽部のインフラ
を活用し、企業と顧客のパイプ
をより強く、より太くするお手
伝いができます﹂と語るのは、
JTBベネフィットの皆見薫社
長だ。
CRM支援サービスで提供す
「えらべる倶楽部レジャー」は、原則として会員証提示で特典サー
ビスを受けられるメニューをラインナップ。
「えらべる倶楽部ライフ」
は、
「レジャー」のメニューに加えて、Web上の登録や発券などによっ
て利用できる多彩なメニューを用意している。会員証は、各企業で発行す
るカード類にプリントできるほか、携帯電話でのダウンロードも可能だ。
JTBベネフィット
(個人特定不要)
得に加えて、既存顧客のCS
︵顧客満足度︶を高めてリピー
ト率を上げ、コアなファンを維
のチケット予約、スポーツイベ
ントへの招待など、暮らしを彩
るさまざまなサービスを提供し
てきた。﹁朝日新聞﹂購読者でな
くとも入会でき、新聞社が運営
する会員サービスとしては最大
級の会員数を誇る。
﹁朝日新聞デジタル購読者には、
アスパラクラブよりプレミアム
感のあるサービスを提供したい
と考え、アウトソーシングを検
討しました﹂と、野口氏は振り
返る。そこで採用したのが、J
TBベネフィットが提供するC
RM︵顧客管理︶支援サービス
だ。﹁朝日新聞社とJTBは複合
的な提携関係を結んでおり、も
ともと関係が深いこともありま
すが、なによりサービス内容の
充実度とコストパフォーマンス
が、他の同種サービスに比べ圧
倒的にいい。これが採用の決め
手になりました﹂
。
﹁えらべる倶楽部﹂
の
サービスメニューを
活用
今回、アスパラクラブ・プレ
ミアムで提供されているJTB
ベネフィットの﹁えらべる倶楽
部ライフ﹂
、およびその土台と
なったCRM支援サービスとは
どのようなものなのだろうか。
JTBベネフィットのCRM支援サービスの概要
切 り 札 ̶̶
もともとJTBベネフィット
は、従業員の余暇や生活支援な
M a n a g e m e n t
R e l a t i o n s h i p
C u s t o m e r
グルメ特典
JTBベネフィット
代表取締役社長
エンタメ
特典
皆見 薫
育児・
介護特典
健康・
スポーツクラブ
特典
各種
電話相談
サービス
トラベル
便利
サ−ビス
特典
ビジネスの継続・拡大を目指す企業にとって、新規顧客の獲得とリピート率の
向上は最重要課題だ。この課題解決をサポートするのが、JTBベネフィットの
CRM支援サービスである。すでに導入している企業では、着実な成果を上げて
いる。朝日新聞社の活用事例とともに、同サービスの可能性を探る。
海外宿泊・
旅行特典
(個人特定必要)
チェーン系
ホテル宿泊特典
スポーツ・
アウトドア
施設特典
日帰り入浴・
スパ特典
レジャー・
観光施設特典
国内宿泊・
旅行特典
新規顧客獲得と
既存顧客のCS向上を
支援するサービス
図1
M a n a g e m e n t
R e l a t i o n s h i p
C u s t o m e r
拡 大 の
ネ ス
ジ
ビ
そのほかにもさまざまなサービスがある。
タカー予約サービスで通常より
かなり割安に利用できた﹄
﹃レ
ジャー施設の割引を手軽に利用
できる﹄
﹃メガネの割引が役立
った﹄といった声が寄せられて
います。日常生活のなかで役立
つ、使い勝手のいいサービスと
して、徐々に浸透してきている
ようです﹂と、手応えを感じて
いる。
﹁えらべる倶楽部ライフ﹂では、
数万社に上る提携企業が、いろ
いろなタイプの特典・サービス
を展開。そのうえ、利用制限が
ないので、利用者の満足度が高
いのもうなずけるところだ。
このため、朝日新聞社以外で
も、クレジットカード会社が上
級顧客向けのサービスとして提
供したり、銀行が一定金額以上
の資産を預け入れる顧客に提供
するなど、幅広い業種で導入が
進んでいるという。﹁自社でカバ
ーできないサービスを提供でき、
めのキャンペーンやメルマガ向
けの情報提供など、多くのCR
M支援事例から蓄積されたノウ
ハウを生かして、サポートやア
ドバイスを期待できる。
利用券を請求するタイプのメ
ニューや携帯会員証などの利用
動向は、採用企業にフィードバ
ックも可能だ。﹁データを取れる
メニューについては、利用動向
を解析して、販促やキャンペー
ンにつなげるといった活用をし
ていただけます﹂
︵清野氏︶
。
地域貢献
プログラムなど
応用範囲の拡大に期待
﹁えらべる倶楽部ライフにポイ
ントプログラムを組み合わせる
ことで、地域振興や活性化に貢
献しようと取り組んでいるとこ
ろです﹂と皆見社長は明かす。
イントプログラムを付加したカ
ードを発行すると同時に、銀行
の取引先企業にポイントプログ
ラムに加盟してもらう。顧客は、
﹁えらべる倶楽部ライフ﹂のサ
ービスを利用できる特典のほか、
銀行の取引先企業を利用するこ
とで、ポイントを手に入れ、使
うことができる。また、期限切
れのポイントを地域で活動する
NPOなどに寄付することもで
き、地域の社会貢献に資するこ
ともできる︵図2︶
。
﹁地方銀行など地域密着型の企
業が提供するポイントプログラ
ムにより、取引企業と顧客が交
流し、地域振興や活性化の輪が
広がります﹂と皆見社長。
各企業の事業拡大はもとより、
スキームの構築次第で地域活性
化などの課題にも活用できる。
応用範囲の広いマーケティング
ツールとして、CRM支援サー
ビスは、今後ますます注目され
そうだ。
CRMグループ
たとえば、地方銀行と連携し
てポイントプログラムを構築す
る方法である。
﹁えらべる倶楽部ライフ﹂にポ
〒135-0033 東京都江東区深川2-7-6
ネクストサイト深川ビル6F
TEL:03-5245-6073
MAIL:crm-gp@jtb-benefit.co.jp
URL:http://www.jtb-benefit.co.jp/
たサポートを行っている。たと
えば、自社独自サービスの一環
株式会社JTBベネフィット
として﹁えらべる倶楽部ライ
問い合わせ先
顧客の幅広いニーズに応えられ
ることが評価され、採用いただ
フ﹂を利用してもらうため、導
入各社ではオリジナルのウェブ
ポータル画面を用意するケース
が多い。
﹁企業と顧客の接点拡大に寄与
できるよう、カスタマイズした
画面を提供しています﹂と、清
野氏。さらに、利用を高めるた
JTBベネフィット
営業企画部
CRMグループマネージャー
企業の顧客
くケースが多くなっています﹂
︵清野氏︶
。
導入企業に合わせた
カスタマイズと
サポート
CRM支援サービスの導入に
当たって、JTBベネフィット
は企業それぞれの事情に合わせ
清野 晃
M a n a g e m e n t
R e l a t i o n s h i p
サービスの利用
サービスの提供
ポイント
イメージUP
地域の
取引先企業
取り引きの強化
地域密着型の企業
(地方銀行など)
期限切れポイントの
地域NPOなど
寄付による地域貢献
C u s t o m e r
ポイントプログラム
地域密着型の金融機関が、取引先企業・店舗
の集客拡大を支援するスキーム。えらべる倶楽
部の利用権を付加してポイントカードの魅力を高
めることで、ポイントプログラムの活用が促進され
ると期待できる。期限切れポイントを、地域振興など
を目的とする団体に寄付すれば、社会貢献にもつながる。
すでに導入を検討している金融機関もある。
CRM支援サービスの地域活性化への応用例
図2
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