　皆さんは私たちの時代の最も重要な課題に取り組まれています。それは、人類史上のわずかな期間でありながらも、信じられないほど危険な時代 ――すなわち「核時代」から脱する方法を探求するというものです。大変な苦労を経て築かれてきた人間の文明は、核兵器の応酬によって瞬く間に破壊されうるのです。事故により、誤算により、あるいは意図的にかもしれませんが。その過程において勝者などなく、敗者しか存在しない。そして最大の敗者が、今日の青年をはじめ未来の世代なのです。核兵器は、私たちが愛し大切にする全てを脅かしているのは明らかです。核兵器は作られるべきではありませんでしたが、作られてしまいました。使われるべきではなかったのに、使われました。核実験は広まるべきではありませんでしたが、広まりました。狂った核軍拡競争など起こるべきではありませんでしたが、起きてしまいました。軍拡競争のピークにあった１９８０年代中頃と比べれば大きく減少しましたが、いまだに人類を危険にさらし続けています。核兵器を廃絶させうる力は、一つしかありません。それは「関わる心」をもって行動する人間の力です。核兵器は強力な兵器です。殺害し、重傷を負わせ、大量破壊をもたらします。しかし愛や共感、理解、同情、協力といった力を持つ人間の心に匹敵するものではありません。人間の心は、核兵器や大陸間弾道ミサイルよりも強力なのです。人間には「心の力」とともに、ビジョンを持ち、共通のゴールに向けた戦略を作り出す「頭脳の力」があります。皆さんの取り組みは、核兵器がもたらす挑戦に同世代の目を向けさせること。そして彼らの心と頭脳を奮い起こし、人類と全ての生命に対する核兵器の脅威を終わらせるよう導いていくことです。私は皆さんに最大の信頼を置いています。今回の重要な集いの大成功を、心から願っています。皆さんこそ、最も重要な問題に共通の善をなしゆくリーダーです。力を尽くし、決して諦めないでください。核時代平和財団会長デイビッド・クリーガー