「若者の政治参加」 〜若者の政治参加促進への具体的な対策〜 群馬

「若者の政治参加」
〜若者の政治参加促進への具体的な対策〜
群馬県立高崎女子高校 2 年 七五三木 縁
1
はじめに
2
若者の政治参加の現状と問題点
3 具体的な解決策
1)学校での教育拡充
2)家庭での理解促進
3)被選挙権の引き下げ
4
まとめ
1,はじめに
「若者の政治離れ」ニュースでよく聞かれる単語だ。有権者、特に若い世代の棄権は今
大きな問題としてメディアで取り上げられることも多い。国政選挙の時期になると必ずと
いっていいほど投票率の話題になる。投票率を何とか上げようと必死に選挙の告知をして、
投票に行くよう呼びかけをしている。しかしそれにも関わらず、国政選挙の投票率は近年
下がる一方だ。そんな中、選挙権年齢が 18 歳に引き下げられたというニュースが飛び込ん
できた。選挙を通じて若者に政治的関心を抱いてもらうようにという理由や、海外の選挙
権年齢は 20 歳以上というところの方が珍しいからという理由などから、引き下げは実現さ
れたようだ。しかし、このニュースを聞いて私は正直不安になった。同じ高校生の目線か
ら見て、政治について何となく堅い印象を持っていて、敬遠している高校生はたくさんい
ると思う。今まで選挙、ひいては政治について考えたこともなかった今の 17 歳・18 歳が、
突然有権者になったところで、果たして政治について自分でよく考えて投票に行くだろう
か。その答えは否だと、私は思う。
2,若者の政治参加の現状と問題点
ここで、有権者が直接国政に関わる一番の機会である選挙について考えたい。総務省に
よると、平成 26 年の衆議院議員総選挙において 20 代の投票率は 32.58%と著しく低く、昭
和 42 年の 66.69%から 34.11%も低下している。また全体の投票率も 52.66%であり、有権
者の半分程度しか投票に行っていないうえに、平成 21 年と平成 26 年の投票率を比べると
どの世代も 20%ほど低下している。ここで注目したいのは、20・30 代だけでなく、50・
60 代の投票率も低下しているという事実だ。確かに「若者の政治離れ」の中心である 20
代の投票率はどの世代よりも低い。しかし、彼らの親の世代である 50・60 代の投票率も若
者たちと同じペースで低下しているのだ。これからの日本の未来を担う若者自身が選挙に
行かないことが大きな問題なのはもちろんのことだが、本来若い世代の手本となるべき世
代が棄権していることも見過ごすことはできない。
次に、新たに有権者になる今の 17・18 歳、つまり今の私たちについて考えてみたい。学
校で日本の選挙制度、政治の基本的な仕組みは習う。しかし、マニフェストという単語の
意味は教えてもらっても、どの政党がどんなマニフェストを掲げているのかは学校では教
えてもらえない。その上、選挙制度や政治の仕組みなど学校で習うことはどれも大人にな
って政治につて考えるときに重要な基礎知識になってくるにも関わらず、内容が堅苦しい
ので敬遠しがちである。これでは政治を身近に感じることはできないから、積極的に学ぼ
うと思うことはできないのではないか。
また、公職選挙法には「年齢満二十年未満の者は、選挙運動をすることができない」
(公
職選挙法第 137 条の 2)という条文がある。若者に身近なネットでの選挙活動が解禁された
今でも、未成年は選挙運動メッセージをリツイート・シェアする事などは禁止されており、
選挙に関与することができない。選挙への参加が厳しく制限されていて、選挙権がないう
ちから積極的に政治に関心を持てるような環境が整っていないことも若者の政治への関心
が薄れる原因になりうる。
以上より、若者の政治への不参加が進む主な問題点は、若者の手本となる世代の投票率
の低下、政治・選挙に対する知識、理解不足、政治参加への厳しい制限、であると私は考
えた。
3、具体的な解決策
今後若者が積極的に政治に関与するために、今はまだ若者にとって遠い存在である政治
に関心を持つにはどうしたらよいだろうか。私は、若者の積極的な政治参加を促進するの
に最も重要なことは多方面からの「教育」だと思う。
まずは学校における政治・選挙の教育の拡充をするべきだと考えた。現在学校での授業
では、日本の選挙制度や政治の仕組みについての概要、つまり政治の「外見」を教わるだ
けである。しかしそれだけでは内容が堅苦しく、政治に対して生活に直結しているという
実感がわかないため、大人になっても政治が遠い存在であり続けてしまう。
そこで、実際に各政党がうちだしている方針、日本の諸問題とそれに対して行われてい
る政策などを教える授業を現行の授業にプラスして行うのはどうだろうか。それにより生
活に直結する政治の「中身」についての理解を学校の授業の中で進めることが可能となり、
政治との距離が縮まるのではないかと私は考えた。もちろんこの授業は先生から教わるこ
とだけでなく、政策のメリット・デメリットやそれに対する自分なりの改善案を各自で考
えたり、その意見を発表してクラスで共有したりすることも必要だと思う。なぜなら、自
分の意見を持ち、様々な意見を聞くことで、今まさに進められている日本の政治に対して
タイムリーに関心を持つことができるからだ。高校生・中学生のうちに日本の政治の「外
見」だけでなく「中身」についても教育をしっかり行っておくことで、自分たちも有権者
になるのだという自覚を早くから持たせることと共に、成人してからも政治に対する理解
を進め、政治を身近に感じることができる。
次に、家庭での政治・選挙の教育である。私はこれが若者の政治参加を促進する上で一
番重要な教育であると考えている。家族は私たちが一番長い時間を共有する相手だから、
家庭内での親の言動が子どもに大きな影響を与えかねない。50・60 代の投票率が下がって
いる事から分かるように、今の 10・20 代の親の世代である人の選挙への関心がだんだん薄
れてきている。親が選挙に行っていなければ、選挙は行かなくてもよいものだ、と子ども
たちは誤解してしまうだろう。また親が政治に興味・関心がないことで、家庭内で政治に
ついて子どもが触れる機会が減ってしまい、それによって何となく政治を敬遠してしまい
がちになる。逆に言えば、親がきちんと選挙に行っていたり、政治に興味をもっていたり
すれば、家族で政治的な話題を話すことも増える。政治的な話題に限らずニュースの内容
を家族で話し合うことで、自然と日本の諸問題を考えるきっかけになるため、問題を解決
する手段である政治についても興味をもちやすくなるのではないか。子どもも幼い頃から
そのような話題に家族の会話の中で少しでも触れることで、政治に対して親近感をもつこ
とができるということだ。私が家庭内での教育が特に重要だと考えるのは、家族の政治に
対する態度がその子どもの政治に対する興味・関心に大きな影響を与えるからだ。若者の
政治参加は、彼らの基礎を作り上げる家庭での政治への教育無くしては進まない。
また幼い頃から政治に興味・関心を抱くことで、先述した学校での話し合いの授業に主
体的に取り組むことが可能になり、政治へのより一層深い理解を進めることができる。同
様に、家庭内で政治や選挙について話し合える環境が整っていれば、学校の授業で考えた
ことを今度は家族と話し合うことでさらにたくさんの意見を吸収できる。
家庭での教育のメリットは他にもある。学校では先生方が、どこか一つの政党を支持す
るような授業をする事はできないため、どうしても当たり障りのない授業になってしまい
がちだ。しかし家庭なら、親がどの政党を支持しているのか、その政党のどんなところが
いいのか、といった学校ではあまり触れられない一歩踏み込んだ内容まで話すことができ、
それは子どもが自身の政治観について考えることにもつながる。自分自身の政治観を持つ
ことで、有権者になったとき選挙に無関心になったり時代に流されたりすることなく、自
分の意志で投票する若者が増えるのではないか。
ここまでは、主に若者の政治への関心を高める方法について書いてきたが、ここからは
若者が投票だけでなく、いかに政治の表舞台に立って行動しやすくするかについて書きた
いと思う。先述したように若者が政治に参加する機会は制限されている。しかしたびたび
メディアで取り上げられているように、積極的に政治について考え、行動しようとしてい
る大学生・高校生もいる。選挙権が 18・19 歳の若者たちにまで与えられたことで少しでは
あるが政治に積極的に関与できる幅が広がった今、若者がより主体的に政治に参加する機
会を逃してはいけない。現在衆議院・参議院の被選挙権はそれぞれ 25・30 歳であるが、比
較的若者の政治参加が進んでいると言われている北欧の国々は 18 歳がほとんどだ。ここで、
被選挙権も引き下げてはどうか。若者自身が政治の中核に関わることができる可能性を広
げることで私たちが政治に触れる機会が増え、政治に興味をもつ若者も増加すると思うか
らだ。もちろん社会的に成熟していない若者たちが簡単に立候補してよいのかという懸念
もある。しかし、学校や家庭を通じて政治について教育を受け、政治の「中身」について
自分で考え抜いてきた若者たちならば、日本の政治の中核に関わる事への責任と気概を持
って行動することができると思う。現在日本が抱えている問題は若者に関わることもたく
さんある。そのような問題を解決するという点で、若者が積極的に行動することで、政治
に新しい視点を与えることが可能になると思う。
4、まとめ
今メディアでは非常に些細なところまで取り上げて、政治家を糾弾する。しかし自分た
ちが批判している、その政治家を選んだのは私たち国民であるということは忘れられては
いないだろうか。一生懸命国民の代表として働いてくれる政治家を選ぶのか、そうではな
い政治家を選ぶのか、それは有権者の投じるその一票にかかっている。有権者になるとい
うことは、選挙で自由に投票できる権利を得ることと同時に、日本の政治を動かす人を自
分が選ぶ責任も背負わなければならないということだと思う。そして私たちが一番忘れて
はいけないのは、その責任の方であると思う。この国の今、これからを決める人のために
自ら投じた一票の重さを決して忘れてはいけない。今日本は外交、経済、教育などにおい
て様々な問題に直面している。それらを解決していく重要な手段として政治があるにも関
わらず、私たちはだんだんとそれに関心を失いかけている。自分に政治は無関心だと思っ
ていてはその責任を果たすことはできない。だからこそ自分たちが政治に関わる事への責
任を、これからの日本を担う若者たちが心に刻んでおかなければいけないと私は思う。日
本を取り巻く数多くの問題の解決なしには日本の明るい未来はない。現状に満足せず、自
らの手で日本をより良くしようという気概に満ち溢れた若者たちが政治の舞台で活躍する
ことで、日本の政治に新風を吹き込ませることができる。これからの日本の未来を作り上
げ生きていくのは私たち若者である。若者が未来の日本を自分たちで創り上げるのだとい
う責任と自負を持ってこれからの政治に参加することが、日本のよりよい明日につながる
のではないだろうか。