平成 26 年度「土砂災害防止に関する絵画・作文」作文小学生の部 優秀賞(事務次官賞) 「門司大災害」 ますと み ゆ か 福岡県 北九州市立藤松小学校 6年 益戸 美夢景 「山が落ちる、逃げろ」と曽祖父が話をしてくれていました。私は初めて、海の津波のように山津波という言 葉があった事を知りました。 私の住む門司は、関門海峡がかかる海があり、戸ノ上山や風師山など、自然歩道の山もあり自然豊かな 所です。が、60 年以上昔、門司大災害が起こり、曽祖父は命は助かりましたが、他は全て失ったと聞きまし た。 曽祖父の話だけではなく、資料を探して調べてみました。100 年に1度と言われた豪雨、門司は海岸に向 かって急な坂が集中している事。地質も保水力の無い、花こう岩で出来ていたために、ひ害が大きくなった という事がわかりました。 全てを失い、命だけは助かった曽祖父の話はとてもおそろしいものでした。連日から続く、はげしい雨で、 茶色の水が流れ出してきたと思ったしゅん間、「山が落ちてくる、逃げろ」とさけび下へ下へとかけおりたそう です。 避難した市役所では、近所の人が亡くなった話、家族とはなればなれになった話が耳に入り、次々に遺 体も運びこまれてきたそうです。 一夜明け、外へ出ると一面泥まみれ。家やお寺もはかいしており、材木や大きな岩が転がり落ちていたそ うです。 曽祖父の体験は 60 年も昔の話ですが、最近北九州市でも、平成 21 年と平成 24 年の7月、豪雨があり、 紫川下流がはんらんし、近くのリバーウォークも水没しました。黒崎市街も同じでした。豪雨があるたび、曽 祖父の話が頭によみがえります。 しかし、そんなおそろしく思える山や川、海も私は大好きなのです。おさないころから母に連れられ、家の 近くのうぐいす谷で遊んでいます。 春先には、川エビやカニを採り、夏は魚をつかまえ、秋にはヤゴを見つけ羽化は無理でしたが、トンボを 見つけたりと、きれいな川があり続けてほしいと思います。絵本のおとぎ話ではなく、昔は本当に川は命の 水だったのです。野菜を洗ったり、洗たくをしたり、そして、水の流れを利用して、物を運んだりもしていたそ うです。 私は母と災害のニュースを見るたびに話をします。地震等の災害はいつ起こるか分かりません。家族が 一緒の時もあれば、母は会社、私は小学校、弟はようち園にいる時に起こるかもしれない。大切なことは・・ ・ 自分の命は自分で守ること。そのために、ふだんから災害のあった人の話を聞いてひ難所を調べておく 事。そして、生きるヒントは悲しく辛い体験をした人の話の中にあるんだと母は言います。 東日本大震災でも、多くの子どもたちが大人を信じ亡くなっていった事を新聞で読みました。 震災直後、学校の校庭で点呼を受け、全員無事が確認出来たにも関わらず、その後津波にのまれ、亡く なった子どもたちがいました。校庭に残った子どもたちは、先生と高台へ逃げ助かったけれど、親がむかえ に来ていた子どもたちは、親とともに帰り、津波にのみこまれてしまったのです。 私もそこにいたら、不安なので母と一緒にいたいと思うと思います。きっと、親がむかえに来てくれていた 子どもたちには、親元が一番、安心出来た場所だったと思います。だけど、安全な場所ではなかったんで す。 災害は、いつ起こるか分かりません。忘れたころにやってくるとも言われます。そのもしもの時のために、 海山川の危ない事、安全に遊ぶ事。自分の命は自分で守れるよう、行動出来るようになりたいです。 そして、今回、ダムや砂防等、環境を考えて作っていく技術も進歩している事も学びました。ありのままの 自然を大切にし、残していく事と、人工的なし設を作っていく事で、私たちの門司を守っていきたいです。
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