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次回(11月17日)はPCを使います
2 確率論速習
6
前回の Quiz
( 1 )4
1
3
=6×
表が 2 枚出る確率は 4 C2
= であり,4 枚出る確率は
2
16
8
( 1 )4
1
1
=1×
=
である.
4 C4
2
16
16
○○●●,○●○●,○●●○,●●○○,●○●○,●○○●
(端が表,あと一つどこに表が出るか?端が裏,あと一つどこに裏が出るか?)
2 枚もしくは 4 枚表がでないときの賞金は 0 円で,その確率は残りの
1−
3 1
9
− =
8 6
16
となる.(※ 0 枚も偶数で賞金が出そうだが,賞金は 0 円!)
よって,期待賞金 E[X] は
E[X] = 0 ×
9
3
1
+ 200 × + 400 ×
= 75 + 25 = 100
16
8
16
である.
2.3.
分散
[
]
2.3.1. 分散 V(X) = E (X − E[X])2
※ (X − E[X])2 は「確率変数 X と期待値 E[X] の距離の 2 乗」であるから,
分散は「ばらつき度合い」を表している.
※ ばらついている=基点からの距離が 0 でないものがたくさんある.
※ ばらついていない例として,いつでも 1 の目しか出ないサイコロを考え
よう.このとき,さいころの目を表す確率変数 X に対し,P(X = 1) = 1,
P(X = i) = 0 (i = 2, . . . , 6) となる.したがって,
E[X] = 1 × 1 +
6
∑
i × 0 = 1,
i=2
V(X) = (1 − 1)2 × 1 +
6
∑
(i − 1)2 × 0 = 0.
i=2
すなわち,V(X) = 0 である.
2.3.2. 【例】 コイン投げを実現する確率変数は,X(表) = 1,X(裏) = 0 である.
「表が出る確率が p である」ということは,P(X = 1) = p と表現できる.
この X の期待値と分散は
E[X] = 1 × p + 0 × (1 − p) = p,
V(X) = (1 − p)2 × p + (0 − p)2 × (1 − p) = p(1 − p)
となる.
3 大数の法則
3.
3.1.
7
大数の法則
独立なコピー
3.1.1. 独立
(a) 事象 A, B が独立:P(A ∩ B) = P(A)P(B)
(b) 事象 A, B, C が独立:A, B が独立,B, C が独立,かつ C, A が独立で,
さらに P(A ∩ B ∩ C) = P(A)P(B)P(C)
(c) 事象 A1 , . . . , An が独立:任意の (n − 1) 個が独立で,さらに
P(A1 ∩ · · · ∩ An ) = P(A1 ) × · · · × P(An )
(d) 確率変数 X, Y が独立:{X ≦ a}, {Y ≦ b} が独立.
(e) 確率変数 X, Y, Z が独立:{X ≦ a}, {Y ≦ b}, {Z ≦ c} が独立.
(f) 確率変数 X1 , . . . , Xn が独立:{X1 ≦ a1 }, . . . , {Xn ≦ an } が独立.
3.1.2. X の独立なコピー X1 , X2 , . . . X1 , X2 , . . . は独立で,
P(X = a) = P(X1 = a) = P(X2 = a) = . . .
P(X ≦ a) = P(X1 ≦ a) = P(X2 ≦ a) = . . .
(すべての a) となること.
3.1.3. 【例】サイコロ投げの出た目を X とする.このサイコロを繰り返し投げる.
1 回目に出た目を X1 ,2 回目に出た目を X2 ,…とする.X1 , X2 , . . . は X
の独立なコピーである.
3.1.4. いかさまサイコロ サイコロを 2 回投げる.2 回目の目は 1 回目の目と同じ
目となる確率が他の目の 2 倍であると仮定する.1 回目に出た目を X ,2 回
目に出た目を Y とすると,この X, Y は独立ではない.
上の例では独立性の暗黙の約束がある.
3.1.5. 危険な曲がり角 (for whom?):
(a) 『A, B が独立,B, C が独立⇒ A, C は独立』は嘘
例えば,トランプを引いて模様 (スーツ) を観る.
A = {♢, ♡},B = {♢, ♠},C = {♠, ♣}
(b) 『A, B が独立,B, C が独立,A, C は独立⇒ A, B, C は独立』は嘘
再びトランプ.A = {♢, ♡},B = {♢, ♠},C = {♠, ♡}
(c) 発想を変えて
i. 『X, Y が独立,Y, Z が独立⇒ X, Z は独立』は正しい?
ii. 『X, Y が独立,Y, Z が独立,Z, X が独立⇒ X, Y, Z は独立』は正
しい?
3 大数の法則
3.2.
8
大数の法則
3.2.1. 大数の法則 X1 , X2 , . . . が X の独立なコピーならば,確率 1 で,n が十分
大きければ
X1 + · · · + Xn
≒ E[X]
n
となる.
3.2.2. 【例】 表が出る確率が 0.7 のコインを n 回投げる.
{
{
1 (1 回目は表)
1 (2 回目は表)
X1 =
, X2 =
,...
0 (1 回目は裏)
0 (2 回目は裏)
とする.
1 回目
1
2 回目
0
· · · ...
(n − 1) 回目
0
n 回目
0
♠ X1 + · · · + Xn =n 回で表が出た回数
X1 + · · · + Xn
♠
=n 回で表が出る頻度
n
♠ n が大きければ,
「n 回で表が出る頻度≒ 0.7」(E[X] = 0.7)
3.2.3. 公平なコイン 公平なコイン,すなわち,表が出る確率,裏が出る確率が
それぞれ 12 のコイン.(E[X] = 12 )
♠ 「2 回に 1 回表が出る」は×
♠「1 万回に 5 千回表が出る」は○
♢ 「公平」というふれ込みのコインを 5 千回投げたら,2989 回表が出た.
公平ですか?…たぶん怪しい.
では,もし,表が出たのは 2,548 回だったら?
3.2.4. 顧客の嗜好調査 顧客 1,000 人に新商品を買いたいかどうかアンケート調査
をした.700 人が Yes.
『顧客=コイン』
『表が出る=購入する』と見做すと,
「7 割がた,購入する」と説明できる!!
3.2.5. 保険金の平均支払金額 『自動車保険での総支払額/支払件数』が平均支払
金となる.しかしこれは,単純な平均値ではなく,大数の法則に保証され
た支払金額の「推定値」である.
(支払額)=(真の支払額)+(揺らぎ)
(揺らぎ)=確率変数,期待値は 0 のはず (なぜ?)
支払額の総和
揺らぎの総和
= (真の支払額) +
支払件数
支払件数