平成27年度 町政執行方針

平成27年度
町政執行方針
平 取 町
平成27年第1回平取町議会定例会にあたり、私の町政執行に臨
む基本的な姿勢と取り組む施策の一端を申し述べ、議員各位をはじ
め、広く町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
私は、これまで「町民が健康で豊かに安心して暮らせる町づくり」
を目指して、誠心誠意全力を傾注してまいりました。
この間、政治や経済が大きく変動する中で、平取町を取り巻く環
境は、依然として厳しい状況にあり、これまで様々な問題に直面し
てまいりましたが、町議会議員の皆様をはじめ、町民の皆様のご理
解をいただきながら着実に町政を推進することができましたことを、
心から感謝申し上げるものであります。
さて、わが国の経済は現在、政府の経済政策いわゆる「アベノミ
クス」により回復の基調にあるとされていますが、その多くは大企
業や輸出産業が恩恵を受けていると言われ、国内経済においては、
昨年春に行われた消費税率の引き上げや円安による輸入物価高騰の
ため国内消費の低迷は収まらず、近年の公共事業の減少も相まって、
とりわけ地方においては、依然として景気の向上を実感できずにお
ります。
このような社会経済情勢の中で、当町では本年2月「平取町農協」
が日高町の「富川農協」と合併し、新たに「びらとり農協」として
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事業規模を拡大するとともに、
「びらとりトマト」の生産高が平成2
5年・26年連続で年40億円の大台を突破した一方、長引く景気
の低迷、人口減少、さらには、少子高齢化の進行や TPP 交渉の行方
など様々な課題が山積しているのも現状であります。これら諸課題
と向きい合いながら、自立への道を更に進めるためにも産業の振興、
交流人口の拡大、少子高齢化社会における福祉の充実、健全な財政
運営など、これまでの取り組みをさらに押し進め、平取町の財産で
ある「豊かな自然と輝く大地」を次の世代へしっかりと引き継ぐた
めに最善を尽くしてまいります。
また、町民ニーズを的確に反映した持続可能なまちづくりの指針
となる平成28年度を初年度とする「第6次平取町総合計画(仮称)」
については、
「平取町自治基本条例」の基本理念であります「情報共
有」と「住民参加・協働」のもと、きめ細かい住民意向の把握や、
十分な議論を経て、町民が「自分たちが作った。
」と思えるような、
住民との協働による策定作業を進めてまいります。
新年度予算案につきましては、現行の「第5次平取町総合計画」
を基本として編成したところであります。
その結果、一般会計の予算規模は、53億3,300万円で前年
当初に対し7.5%の減、 特別会計を含めての予算総額は、79億
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4,357万1千円で昨年度当初に対し1.6%の減となっておりま
す。
次に、主要な施策の推進について、平取町総合計画の基本テーマ
に従い申し述べます。
Ⅰ.平取町の資源をいかし、生産の喜びと活力に充ちたまちづくり
をめざして
第1
農業振興対策の推進について
平取町において農業は、町の基幹産業としてこれまで大きく地域
経済の発展に寄与してきました。しかし、現在の国の農業政策は転
換期を迎えており、
「攻めの農林水産業」を実行する方針が打ち出さ
れ、食料・農業・農業基本法に基づく「食料・農業・農村基本計画」
の見直し作業が進められておりますが、TPP交渉や農協改革を含
めて地方との温度差は大きなものがあります。今後は国の動向を注
視しながら伝えるべき言葉を発信していくことが重要であると考え
ます。
当町の農業は、農業者の高齢化、担い手不足、農家戸数の減少な
どに加え、消費税増税や資材価格の高止まり、肥料・飼料の価格上
昇、米価の下落などにより農業所得は減少しております。
このような中、当町の農業は昨年豊穣の秋を迎えることができ、
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びらとりトマトは、生産量約1万4千トン、販売額についても43
億円にあとわずかという史上最高の数字を記録するなど農業者及び
関係機関のご努力に対し深く敬意を表するところであります。
水田対策としては、北海道米は現在その食味や食の安全安心にお
いて全国的に高いレベルにあります。しかし、米価の下落により稲
作農家の経営は非常に厳しい状況となっていますので、国の対策等
も取り入れ、各関係団体とも協力をしながら、経営の安定化を図り
美味しく売れる米づくりを推進してまいります。
農地の維持・保全対策として実施してまいりました中山間地域等
直接支払交付金事業については、昨年度で5年間の事業期間が終了
いたしましたが、本年度より始まる第四期対策について引き続き実
施し、全町一円で耕作放棄地の防止対策活動を推進してまいります。
また、経営所得安定対策事業及び道営中山間地域総合整備事業「平
取南地区」の事業実施につきましても、地域をはじめ農業関係者や
受益者等と十分協議を重ねながら、事業を遂行してまいります。
平取町農業の大きな課題となっている担い手育成対策については、
農業者就農促進対策事業、新規参入者就農促進対策事業及び国の青
年就農給付金事業や経営体育成支援事業を引き続き推進してまいり
ます。
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新規参入者就農促進対策事業については、今年度も 2 戸の新規研
修生を受け入れ、農家研修を開始することが決定しており、それに
伴う農業研修生住宅についても、計画どおり昨年度で振内地区と紫
雲古津地区にそれぞれ 2 棟 4 戸が完成し条件整備が整ったところで
あります。新規参入者については現在まで18戸が就農し、地域農
業活性化に大きく貢献しております。しかし、今後更なる農家戸数
の減少が予想されており、また、他の自治体においても新規参入者
の受入れ対策が積極的に行われていることから、新たな就農の形と
して第三者継承や既存の農業施設の有効利用、新規研修希望者の受
入条件についても検討協議してまいります。
新規就農時の就農者負担の軽減を図るべく、農地の確保とハウス
整備については、北海道農業公社による農地保有合理化事業、北海
道の地域づくり交付金と町の補助金を組み合わせ、びらとり農協と
連携してリース型農場の整備を引き続き本年度も予算措置している
ところであります。
酪農畜産関係については、飼料購入費、素牛価格の上昇などが生
産費を押し上げており、酪農畜産農家の経営環境は依然として厳し
い状況でありますが、びらとりブランドを守っていくためにも生産
家畜の品質向上、自給飼料の増産等、生産性の向上対策について関
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係機関と協議してまいります。また、畜産公社が当町の畜産振興に
果たす役割は大きなものがありますので、そのあり方について畜産
関係者の声を聞きながら協議を進めてまいります。
一般社団法人Jミルクの予測では今年度の生乳生産量が3年ぶり
に前年度を超えるとしており、生産の過半を占める北海道が前年度
対比1.3%増と見込んで発表しております。
しかし、長期的には減産傾向にあり、当町の酪農振興のためには
良質な生乳の生産及び将来に希望の持てる農業経営のために、乳牛
検定組合や酪農ヘルパー組合への支援を行うとともに、国の施策等
も注視しながら対応をしてまいります。
また、口蹄疫や鳥インフルエンザをはじめとする家畜伝染病に対
しましては、町の家畜自衛防疫組合を中心に、関係する機関と連携
しながら迅速な防疫対応を図りたいと考えております。
軽種馬振興については、強い馬づくりの環境整備を図るため、生
産者及び関係団体と協議してまいります。また、昨年度は計画対比
で黒字となりました「ホッカイドウ競馬」への支援については、日
高管内関係団体等と連携しながら「平取町長杯」などの開催を通じ
て支援してまいります。
昨年8月には、北海道大学農学院及び農学部と農業関係をはじめ、
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学術・地域づくり・教育・文化等の振興を図ることを目的として連
携協定を締結したところであります。今年度は活動拠点となる振内
地区の森林管理署跡地住宅の整備を行うとともに、具体的な活動を
連携事務局において協議決定し実行してまいります。
今般の農協の合併により、組織・財務基盤の強化、生産販売事業
の強化が図られることから、農業者の皆様が安心して営農活動を続
けられ、そのことが地域の振興や活性化に繋がるものと期待してお
ります。町はこれまで同様に農業者及び農協と連携を密に取りなが
ら地域農業の振興に努めてまいります。
本年度で最終年となる第5次平取町総合計画につづき平成28年
度からスタートする第6次総合計画については、農業関係者や関係
機関の意見を十分に伺いながら平取町が抱える地域農業の問題点や
課題について対応する施策や事業を組み立てていく所存であります。
第2
林業振興対策の推進について
森林は、環境への負荷の少ない優れた素材である木材の供給や、
安全な国土の形成、生活環境の保全、安らぎや憩いを得る場の提供
を通して豊かな生活へ寄与するとともに、地球温暖化防止にも貢献
するなど生活と密接に関わっております。特に、町民の財産であり
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ます町有林内の人工林の多くが伐期を迎えており、循環型森林経営
の確立と地域雇用の安定を図るため、平取町森林整備計画及び森林
経営計画に基づき、40年を超えるカラマツを中心とした人工林を
計画的に毎年30ha 皆伐し、
「皆伐-植付-下刈り-除伐-間伐」の施
業を繰り返す「循環型経営」を平成25年度から実施してきており
ますが、今年度も計画に従って取り組んでまいります。
また、昨年度、平取町農協より寄付を受けました山林544haに
つきましては町民の財産として有効的に経営してまいります。
民有林整備については、森林所有者の森林整備意欲の増進を図る
ため、各種補助事業による経費負担軽減策を講じておりますが、さ
らに本年度より「天然林除伐事業・枝打ち事業」を補助事業メニュ
ーに追加したところであります。
また、地域林業の担い手であります沙流川森林組合の経営基盤の
安定を図るため、引き続き町として支援をしてまいります。
林道整備については、その他林道オユンベ線改良事業について実
施設計及び法面改良と、林業専用道芽生線の設計委託を予算計上し
たところであります。
地域の森林・木材産業の安定化を図るため、地域で生産された木
材を地域で消費する「地材地消」の取り組みとして、「カラマツ材
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利用促進事業」を引き続き実施してまいります。
また、豊かな自然環境を守り育てるための植樹活動として、植樹
祭を開催するとともに、緑化木の配布についても実施してまいりま
す。
当町の豊富な森林資源の有効活用をどのように図っていくか、森
林整備計画推進会議において引き続き検討してまいります。
第3
商工業振興対策の推進について
我が国の経済は、特に地方において依然として厳しい状況が続い
ております。
当町においても少子高齢化や人口減少が続いており、商工業を取
り巻く状況は依然として厳しいため、引き続き子育て支援とタイア
ップした「金券発行事業」を実施するとともに、地域商品券発行事
業についても町民への生活支援と町内での消費拡大及び流失防止に
大きな効果があがっておりますので、本年度は国の地方創生事業を
活用して実施してまいります。
商店経営のあり方の検討や、他との差別化を図るための地域ブラ
ンド商品開発の取り組みへの支援について、関係機関等とも話し合
いを進め、商工業の振興発展に努めてまいります。
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また、中小企業者の運転資金・設備資金等の町特別融資制度の活
用を促進し、経営の近代化等経営基盤の強化を図ってまいります。
なお、新たな制度として昨年度創設した「平取町起業化支援制度」
を活用して、町内で成長性・独創性のある内容で起業する方を対象
に支援してまいります。
二風谷地区のアイヌ伝統的工芸技術は、高い評価を得て現在も受
け継がれておりますが、伝統工芸家は減少し、後継者の育成が喫緊
の課題となっていることから、地域の産業振興につながる伝統工芸
製作に関して、平成22年度より平取町アイヌ伝統工芸の商品開発
と地域ブランド化に取り組み、一昨年3月に経済産業省から北海道
初の「伝統的工芸品」の指定を受けた「二風谷イタ」と「二風谷ア
ットゥシ」を始めとする工芸品の販売拡大を図ってまいります。
また、「二風谷アイヌ文化博物館」
・「萱野茂二風谷アイヌ資料館」
と民芸店を結ぶ地域を「匠の道」と命名し、着地型観光の形成によ
る販売促進の基盤づくりも行っており、さらなる伝統的産業の振興
を図るべく予算措置をしたところであります。
振内地区、貫気別地区における商店街活性化につきましても、各
地域及び関係団体と連携を密にしながら協議し対応してまいります。
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第4
観光・レクリエーションの振興について
昨年の観光客入込数については、びらとり温泉「ゆから」がオ
ープンした効果もあり増加しております。
昨年は福岡で開催された「北海道フェア」や札幌大通り公園での
「オータムフェスト」への出店、サッポロビヤガーデン「ふるさと
ステージPR」、サッポロファクトリーで開催しました「びらとりト
マト・和牛フェア2014」など町と特産品のPRを実施しました。
また、昨年の沙流川まつりでお披露目した町の公認マスコットキ
ャラクター「ビラッキー」は、町内外の各種イベント等で町のPR
に役立ちました。本年度も積極的に町の宣伝のために活躍させてま
いります。
当町の代表的なイベントである春の「すずらん観賞会」、夏の「チ
プサンケ」、秋の「沙流川まつり」、冬の「全道 PK グランプリ」は、
道内外での認知度も高まっており、本年度もこれらのイベントを柱
として、観光資源を活かした町の PR に努めてまいります。
びらとり温泉「ゆから」は、昨年7月のグランドオープン以来多
くの方々に来館していただいております。町民の皆様には憩いの場
として、また、町外からのお客様には町の観光や文化、地場産品を
知っていただく拠点施設としての役割を担っておりますので、交流
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人口が増え、波及効果として関連産業に好影響を与えることができ
るよう今後も努力してまいります。
町の観光振興には、観光協会の果たす役割が重要となることから、
その組織のあり方や運営についてプロジェクトチームによる検討を
昨年来実施してまいりましたが、今年度はその内容について関係機
関等との協議を経て、平成28年度から新たにスタートできるよう
条件整備を行ってまいります。
日本百名山のひとつである幌尻岳は、観光資源として重要との認
識を持って施設整備や登山者への条件整備を行ってまいりましたが、
渡渉が魅力であると同時に事故の危険も大きいことから、本年度は
山岳会の協力を得ながら、新たな登山ルートについて検討を行いま
す。
また、シャトルバスの運行に関しても登山者に浸透してきました
ので、本年度も事故のないよう安全管理に努め、全国から集まる登
山者に満足をしていただけるよう対応してまいります。
「ニセウエコランド」については、自然に恵まれた地の利を十分
に生かしながら、パークゴルフ、ホタル観賞会など様々な自然体験
のできるキャンプ場として、トイレを洋式化するなど環境整備に努
めてまいります。
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また、地域資源を活用した都市住民との交流人口の増加をめざし
札幌駅北口発平取行きや関東圏の都市住民を対象とした千歳空港発
無料シャトルバスの運行を実施するとともに、東日本広域圏の国公
私立の大学等と地域が連携し、
「効率的かつ実質的な教育の質保証・
向上システム」の確立に向けステーク・ホルダーとして協力し、学
生や教員の現地体験宿泊型「大地連携ワークショップ」を誘致し、
アイヌ文化の理解促進と普及啓発にも取り組んでまいります。
第5
雇用対策について
過疎化の進行や雇用情勢の悪化に伴い、雇用の創出は喫緊の課題
であります。
本年度においても町有林造成事業等に係る作業員の雇用について
予算措置を図り、町内経済の活性化及び雇用促進に努めてまいりま
す。また、東胆振・日高・平取地域通年雇用促進支援協議会と連携
をしながら季節労働者の通年雇用促進と生活安定に努めてまいりま
す。
なお、国が今後実施する雇用対策についても、的確な情報確保に
努め、町内雇用の場の確保と地場資源を活用した産業の創造を積極
的に図ってまいります。
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勤労者生活安定資金については、制度活用の需要が多くあること
から、継続して予算計上を行い、併せて労働講座等の開催について
も支援してまいります。
Ⅱ.自然と共生し、快適で安全な暮らしづくりをめざして
第1
土地利用の促進について
土地利用については、移住・定住対策の一環として平成26年度
完成した分譲宅地の募集を開始しました。本年度はこれを引き続き
実施し、町内外向けとして8区画の宅地分譲地の募集をしてまいり
ます。
また、町有地などの有効活用について引き続き検討してまいります。
第2
道路・交通機関の整備について
道路網の整備を図ることは、町民が安全で安心して暮らせる地
域づくりのために極めて重要なことでありますが、事業実施にあた
っては、緊急度・優先度を十分勘案するとともに、投資的効果が高
まる道路づくりと事業コスト縮減に努め、取り組んでまいります。
本年度の町道整備につきましては、荷負本村線・川向学校シラウ
川線・振内市街川沿線の整備を引き続き実施し、新規事業として、
本町高橋分譲線・二風谷ファミリーランド線・二風谷学校前線を整
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備してまいります。
道路法の改正により、道路施設の老朽化や大規模災害などの発生の
可能性を鑑み、現状把握を踏まえた点検の実施は、道路管理者が5
年に1度行うことが明確化されました。
道路、橋梁、付属施設の老朽化が進んでおり、維持管理費が増加
しているため、効果的かつ効率的な維持管理・更新を目指し、本年
度より町道の各施設の現状把握を行う点検を順次実施するとともに、
橋梁長寿命化修繕計画に基づき、緊急性の高い橋梁から順次補修し
てまいります。
国道整備については、懸案事項でありました国道237号線振内橋
架替え事業が平成29年度完成を目指し推進されているところであ
りますが、一層の事業促進が図られるよう要請等を行うとともに、
歩道設置及び局部改修等の整備促進につきましても、関係機関等に
強く要請してまいります。
道道整備については、道道平取静内線貫気別市街地の拡幅事業が
進められ、本年度も引き続き用地買収・物件補償等がおこなわれる
予定になっておりますので、町も補償契約等が完了するよう協力し
ながら工事の推進を関係機関に強く要請してまいります。
また、宿主別振内停車場線拡幅改良事業の促進につきましても、
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関係機関等に強く要請してまいります。
交通ネットワークの整備については、町民の足の確保対策として、
道南バスへの生活交通路線維持補助金を引き続き予算措置するとと
もに、地域公共交通の確保については、平取町地域公共交通活性化
協議会にて検討を重ねてきた総合連携計画に基づき、本町、振内地
区におけるデマンドバスの本格運行、貫気別地区については試験運
行を行っておりますが、さらに、これからの当町の公共交通に求め
られる住民ニーズ、現在の取り組みの成果等も検証し、より効率的
なシステム等の構築にむけ、費用対効果等も勘案しながら、公共交
通網の確立に努めてまいります。
第3
情報通信の整備促進について
IT社会の到来により、日常生活において高速通信網の整備が急
務とされていましたが、本町では、平成21年度から光ファイバーに
よる高速通信網の整備に合わせ、地上デジタルテレビ放送の難視聴
解消、ブロードバンドサービスの提供を可能なものとしてきました。
その結果、町内における情報通信の格差解消が図られております。
今後、これらを活用した福祉、医療及び教育などの公共分野や、
民間などでの有効活用が図れるよう、引き続き「平取町ICT活用
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検討委員会」などで積極的に検討してまいります。
第4
町民生活の向上について
最近の社会情勢の変化、生活環境や価値観の変化に伴い、巧妙な
手口による振り込め詐欺等が身近なところで起きており、特に高齢
者の資産を標的とした特殊詐欺の深刻化も明らかになってきており
ます。
「町民が健康で豊かに安心して暮らせる町づくり」を推進するため、
関係機関・団体と連携し、地域安全活動を通じ町民の防犯意識の高
揚に努めてまいります。
また、防犯灯の LED 化事業については、環境保護、地球温暖化
防止及び維持管理費の軽減を図るため、本年度も引き続き予算措置
いたしました。
交通安全対策については、門別警察署及び平取町交通安全推進委
員会並びに、平取町交通安全協会、各関係機関・団体との連携を図
り、年間を通じた交通安全運動を展開し、町民の交通安全意識の高
揚、及び運転者に対する交通安全の啓発に努めてまいります。
戦没者遺族への支援でありますが、戦没者に対して、追悼の誠を
捧げるとともに、平和への誓いを新たにするため引き続き戦没者追
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悼式を開催するとともに、遺族会の活動についても支援してまいり
ます。
第5
防災・消防・救急救助体制について
防災対策については、災害発生時に迅速且つ的確な対策を行うこ
とができるよう、地域防災計画に基づき、日頃から関係機関と密接
な連携を図るとともに、防災ガイドマップの活用や災害図上訓練
(DIG)及び避難の実地訓練を実施できるよう自治会と共同で計画
し、日常的な防災意識の向上を図るとともに、緊急時には携帯電話
での避難情報を提供する「緊急速報メール」の活用などを通じた情
報提供を行ってまいります。
また、避難所で使用する生活必需品を計画的に備蓄し、防災体制
の充実に努めます。
治山・治水対策における、本年度の補助営小規模治山事業につい
ては、貫気別の「丸山地先」の流路を施工する計画としております
が、山地災害等を未然に防止するため、今後とも計画的な施設整備
となるよう関係機関等に対し、強く要請してまいります。
消防については、当町における昨年の火災発生件数は、春の乾燥
した気象条件により著しく増加し14件となりましたが、救急出動
件数268件とドクターヘリ要請13件、防災ヘリ等の要請3件に
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ついては減少傾向にあります。
町民の生命と財産を火災と災害から守るため、出動指令の円滑化
を目的とした地図検索システムの更新を行い、消防施設の維持管理
と充実に努めてまいります。
救急業務については、高規格救急車に搭載の半自動式除細動器の
更新を行うとともに、デジタル無線を活用したドクターヘリ、北海
道防災ヘリとの合同訓練を実施し、一層の技術向上と連携強化を図
り、救命率の向上に努めてまいります。
平取消防団については、災害現場における迅速な活動を安全かつ
効率的に行うため、団員130人分の安全装備品の配備を4ヵ年計
画で行い、現場活動の向上と消防団の活性化を目指してまいります。
第6
自然保護・みどり豊かな環境について
当町は、日本一の清流「沙流川」が育んだ素晴らしい自然環境に
恵まれ、安らぎと潤いのある生活や生産が営まれる自然と共生する
町であります。
この恵まれた自然環境を破壊することなく、後世に引き継ぐこと
は、私どもの最大の使命であることを改めて認識し、町民の協力の
もとに、自然環境の保全と美化意識の向上に努めてまいります。
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景観計画の推進については、審議会を通じ町民とともに豊かな水
辺や緑の保全等に引き続き努めるとともに、沙流川の豊かな恵みの
下に人々が営々と暮らしてきた「歴史と川が織りなす景観」をベー
スとした重要文化的景観の追加選定に向けた取り組みと普及啓発も
進めてまいります。
また、基幹産業でもある森林・林業の再生と、緑のダムとしての
機能の充実、そして、アイヌの人々が先住民族と認められた現在、
かつてのアイヌ民族のおかれてきた歴史的な経緯をふまえ、アイヌ
の人々の権利を尊重し、伝統文化振興・継承のため、自然素材等が
安定的に供給され、しかも古(いにしえ)に数多くの物語が生まれ
語り継がれる場となった、そのような森が育まれるようにと、一昨
年、4月に「21世紀・アイヌ文化伝承の森再生計画」推進のため、
北海道森林管理局、平取アイヌ協会及び町の三者間で協定書を締結
いたしました。
これは、日本で3番目、北海道では最初のプロジェクトであり、
社会的にも非常に注目され期待の高いものとして、総力をあげてそ
の実現に向けて取り組んでまいります。
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第7
環境保全及び環境衛生について
「平取町新エネルギービジョン」に基づき、びらとり温泉「ゆか
ら」や学校等の公共施設、各家庭等へのペレットストーブ、太陽光
発電施設の普及、農業ハウスへの木質燃料ボイラー等の試験的な導
入を行ってまいりました。本年度は、「ふれあいセンターびらとり」
への太陽光発電施設の導入を予定するとともに、当町の再生可能エ
ネルギー等の活用指針などを示す「平取町バイオマス産業都市」の
指定に向けて国等に働きかけて行きたいと考えております。
公衆衛生については、町民の健康の保持・向上、また、良好な環
境を保つため、ごみの不法投棄の防止、並びに公衆トイレ等の維持
管理に努めてまいります。
また、各自治会で設置しているゴミステーションの老朽化に伴う、
新設費用の助成を本年度も引き続き実施してまいります。
一般廃棄物処理については、平取町外2町衛生施設組合における
ごみの排出抑制と資源化・リサイクル化により循環型社会の形成と推
進に努めてまいります。
有害鳥獣駆除事業については、エゾシカ等による農林業被害がシカ
侵入防止柵等の効果があり減少しつつありますが、依然として深刻
化・広域化しており、交通事故も発生している状況にあります。北海
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道が策定する「エゾシカ捕獲推進プラン」に基づき、猟友会沙流川支
部と連携しながらクマ・エゾシカ等の捕獲対策・食資源等への有効活
用を図ってまいります。また、担い手確保対策として狩猟免許取得に
係る費用の助成を新たに予算措置いたしました。
第8
住宅・住宅環境について
町外への人口流出防止と若者等の定住促進対策として、快適で安
心して生活を営める町営住宅については、計画的にその整備を推進
してまいります。
本年度においては、去場住宅団地の敷地造成・用地買収事業につ
いて、予算計上いたしました。
また、併せて老朽化した町営住宅の改修等について、予算措置を
行い、居住環境の改善に努めてまいります。
「平取町住宅リフォーム促進事業」に基づく助成については、申請
件数も多いことから、さらに助成枠を拡大し、制度を継続してまい
ります。
移住定住対策については、
「地域おこし協力隊」事業を継続すると
ともに、短期間滞在していただく、
「ちょっと暮らし」事業を本格的
に実施してまいります。
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また、主に札幌圏からの交流人口の増を目的とする農園について
は、継続的に募集を行う考えです。
一昨年に創設した、民間の賃貸住宅の建設を促進するため、アパ
ートなどの建設費を支援する「民間賃貸集合住宅整備費助成制度」
も継続してまいります。
第9
上水道・生活雑排水の整備について
上水道事業については、町民に安全な水を安定的に供給するた
め、水道施設の適切な維持管理を行うとともに、老朽化した配水管
の更新については、将来に向け安定した給水ができるよう「配水管
長期整備計画」に基づき実施してまいります。
なお、本町地区簡易水道施設整備事業として、増圧ポンプ場施設
整備のための調査費を予算計上いたしました。
また、耐用年数が経過した量水器の更新についても、計画に基づ
き所要の予算措置を講じ、安全で安心な飲料水の供給に努めてまい
ります。
生活雑排水対策については、各施設の適正な維持を図るため、引
き続き管理経費について予算措置を行うとともに、各処理施設の大
規模改修については、年次計画に基づき実施してまいります。
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また、本町地区における未整備箇所の調査費を予算措置いたしま
した。
なお、合併処理浄化槽設置に対する助成についても、快適な生活
と美しい環境を守るため引き続き実施してまいります。
第10
沙流川総合開発事業に係る水源地域の推進について
平成24年12月の自民党への政権交代に伴い、それまで凍結さ
れていた平取ダム建設事業が本格的に再開され、昨年度堤体本工事
の施工企業体が決定し、本格的な工事が本年度から開始される予定
です。今後も、流域住民の生命と財産を守るためのダム建設事業の
早期完成を力強く訴えるほか、地元活用についても地域の商工業者
とともに強く要請してまいります。
また、沙流川総合開発事業に伴うアイヌ文化環境保全対策事業に
ついては、北海道開発局からの委託事業である「平取ダム地域文化
調査業務」を柱に、引き続き取り組んでまいります。
平取ダム地域文化保全対策検討会における審議や、アイヌ文化の
保全に関する地域的要望をふまえた対策案が開発局から示されてい
ますので、町としても関係部門が連携・協力して具体化を目指して
まいります。
24
Ⅲ.生涯を通じ生きがいと元気にあふれるまちづくりをめざして
第1
健康づくりの推進・医療機関の充実について
町民が生涯にわたり健康で安心して生活ができるよう保健事業の
充実を図り、「自分の健康は、自分でつくり、自分で守る」という
自己意識の涵養と、自ら積極的に健康管理していただくための健康
診査・がん検診など受診体制の向上に努めるとともに、保健指導・
健康教育など各種事業の総合的な健康づくり活動を推進してまいり
ます。
また、
「食は人を育み、地域を育てる」基本理念の下、
「びらとり
町食育推進計画」を実施して5年目を迎え、本年度第2期の計画を
策定いたします。今後も、食育推進計画運営委員会に諮りながら、
町民一人ひとりが食を通じた健康づくりを目的に知識を学び実践で
きる力を育ててまいります。
国民健康保険病院の運営については、本年度においても医療体制
の確保に努めるとともに、振内診療所の運営を行い、医療サービス
の提供に努めてまいります。
医師体制は、常勤医3名による内科・外科診療と非常勤医師によ
る専門診療の循環器内科・皮膚科並びに「ものわすれ外来」の診療
25
を継続してまいります。
また、
「医療相談・地域連携担当」を新たに設置して、患者・利用
者の相談窓口を明確にし、地域包括支援センターなど介護・福祉と
の連携の強化、さらに他の医療機関との連携窓口としてサービスの
向上を図ってまいります。
救急診療については、出張医の応援を得ながら引き続き体制の堅
持に努めてまいります。
振内診療所は固定医1名と札幌・西岡病院からの医師の出向によ
り診療を行い、地域の医療機関として継続運営をしてまいります。
病院の改築については、補助事業を活用すべく関係機関からの情
報を収集し、財源を確保して早期着工に向けた努力をしてまいりま
す。
国の法律の改正により、医療と介護・福祉の連携の強化が求めら
れ、それにより地域の医療機関の効率的かつ効果的な医療供給体制
を構築するための北海道の地域医療ビジョンの策定が昨年度から進
められており、これにより新たな地域医療の連携と充実を期待して
おります。
国保病院は今後も地域唯一の病院として、より多くの方に来院し
ていただけるよう経営努力をしてまいります。
26
第2 国民健康保険・介護保険制度及び後期高齢者医療制度並びに
国民年金制度の推進について
国民健康保険制度は、町民一人ひとりの経済的な負担を軽減し、
いつでも安心して医療を受けられる保険制度で、町民の健康を守る
重要な役割を担っております。
しかし、社会構造の変化や急速な少子高齢化の進展に伴い様々な
課題に直面しており、国は平成25年12月に成立した社会保障制
度改革関連法に基づき、将来にわたって持続可能な社会保障制度の
確立と財政健全化の改革を進めようとしており、大きな変革の時期
を迎えようとしております。
このような状況の中、一昨年度策定した「第2期特定健康診査等
実施計画」に基づき、特定健康診査の受診率向上や特定保健指導の
充実に取り組み、疾病の早期発見や生活習慣病予防により町民の健
康保持増進と医療費の抑制を図り、国民健康保険事業の健全な運営
に努めてまいります。
後期高齢者医療制度については、75歳以上の高齢者の医療を国
民全体で支える制度として、平成20年4月に運用が始まり、6年
が経過いたしました。北海道後期高齢者医療広域連合と連携を図り、
被保険者が安心して医療が受けられる保険財政の運営に努力してま
27
いります。
介護保険制度については、現在、当町の高齢化率は31%を越え、
全国・全道平均と比較して高く、年々介護サービスを利用する方が
多くなり給付費も増加している状況であります。 介護保険は、「予
防」と「安心」を目指して暮らしを支える制度であり、
「第6期高齢
者福祉計画・介護保険事業計画」のもと、介護サービス利用者が安
心して介護が受けられるよう、介護給付費の適正化と安定的な保険
財政の運営に努めてまいります。
また、要介護認定者の増加や認知症対応型グループホームの整備
をはじめとする介護サービス量の増加に伴い、必要な介護給付費を
確保するため、一人当たりの保険基準額を見直します。
国民年金については、やがて訪れる老後における生活安定の一助
であることから、日本年金機構苫小牧年金事務所等と連携を密にし、
町民に対し制度等の周知、普及啓発に努めてまいります。
第3
子育て支援対策について
子ども・子育て関連3法に基づき、本年度から5ヵ年間にわたる
幼児期の学校教育・保育・地域の子育て支援施策などを定める「子
ども・子育て支援事業計画」が、4月よりスタートします。
28
次世代の社会を担う子ども一人ひとりの育ちを社会全体で応援す
るため、子育てにかかる経済的負担の軽減や安心して子育てができ
る環境整備のための施策など、総合的な子ども子育て支援に努めて
まいります。
母子保健事業については、妊娠・出産・子育てに関する不安を軽
減し、「安心して子どもを産み育てたくなるやさしい町づくり」を
推進するため、妊婦健診・両親教室・乳幼児健診や各種予防接種な
ど必要な母子保健事業の充実を図ってまいります。また、引き続き
第1子からを対象とした「すこやか赤ちゃん誕生祝い金」の支給、
不妊治療に係る助成なども実施し、子育て家庭と赤ちゃん誕生を望
む世帯に対する支援を進めてまいります。
併せて、安心して子育てができるように、乳幼児の医療費助成、
小・中学生についての医療費の無料化を引き続き実施してまいりま
す。
保育所については、幼児期の教育が生涯にわたる人格形成の基礎
を培う重要な場所であり、子育て支援にはなくてはならない施設で
あります。
社会福祉法人が経営する常設保育所へ支援するとともに、町が運
営するへき地保育所の維持、子どもが健やかに育ち、安心して保育
29
できる環境整備を図ってまいります。
また、保育料についても、子育て世帯を支援するため引き続き負
担軽減の措置を行います。
児童館については、子どもの遊び及び生活の援助と地域における
子育て支援を行い、子どもを心身ともに健やかに育成をするもので
あることから、一層の活動内容の充実に努めてまいります。
また、放課後児童クラブについても、保護者の就労支援施策の面
からも、放課後の適切な遊びと生活の援助を提供してまいりますが、
対象学年の拡大に伴い受入できる人数も限られるため、今後、すべ
ての児童を受入れできるよう十分検討してまいります。
児童虐待防止対策については、虐待の背景が多岐に渡ることから、
保健福祉・病院・学校・警察など地域における関係機関及び町民の
幅広い連携と法のもとに適切な措置を講ずるほか、発生の予防及び
早期発見、早期対応に努めます。また、児童相談所の権限や専門性
を要する場合、連携を強化し密接に情報を共有し、有効な対応を行
ってまいります。
子ども発達支援センターについては、発達の遅れのある子どもた
ちの療育のために、引き続き日高町と共同して運営します。
近年の利用児童数の増加に対応するため、臨床心理士・言語聴覚
30
士・作業療法士などの支援を受けながら、専門的な療育を施し、発
達支援事業の推進を図っているところです。今後も身近な地域にお
いて安心して療育を受けられるよう、さらに環境・体制の整備に努
めてまいります。
ひとり親家庭対策については、医療費の助成、児童扶養手当の受
給進達及び母子会の活動並びに相談体制の充実等を図るため、社会
福祉協議会との連携のもとに、側面的に自立を助長する方向で支援
してまいります。
第4
高齢者福祉対策の充実について
すべての高齢者が可能な限り住み慣れた地域で、いつまでも安心
して自分らしい生活ができるよう、医療・介護・住まい・在宅の生
活支援など地域の特性に応じた「地域包括ケアシステム」の構築に
向けて取り組んでまいります。さらに、高齢者が地域社会へ積極的
に参加することにより、介護ボランティア活動など地域貢献を通じ
た生きがいづくりの体制整備を各関係機関と連携し取り組んでまい
ります。
また、社会福祉法人平取福祉会が運営する「びらとりディサービ
スセンター」については、引き続き利用者及び介護者の立場に立っ
31
た質の高いサービスの提供をしていただくため運営費の支援をして
まいります。
高齢者虐待防止対策については、ネットワーク会議を開催し、町
民への啓発を図り、虐待を受けた高齢者の迅速かつ適切な保護及び
適切な養護者に対する支援を各関係機関と連携し、対応に努めてま
いります。
第5
障がい者福祉対策の充実について
障がい者が、基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわし
い日常生活又は社会生活を営むことができるよう「障害者総合支援
法」に基づき、必要な障害者福祉サービスの提供や地域生活支援事
業を実施するほか、当町の基本方針であります、障がい者が住み慣
れた家庭や地域で自立した社会の一員として生きがいを持って安心
して生活ができるよう、平取町障がい者計画等に則った事業を引き
続き実施してまいります。
また、障がい者の権利擁護の取り組みについては多くの課題があ
ることから、今後も課題解決へ向けた体制整備に努めてまいります。
第6
アイヌ福祉対策の推進について
国は、アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会からの報告書を
32
もとに、福祉分野を含む総合的なアイヌ民族政策を具体化するため
の作業を進めております。
当町においても、平取町アイヌ文化振興基本計画を指針として、
平取町アイヌ文化振興推進協議会、平取町地域活性化協議会での協
議を重ね、平取町地域再生計画による各種事業の様々な組み合わせ
によるアイヌ文化振興をはじめとした総合的な政策の実施により、
「地域資源をいかした持続的な産業創造」を図り、生業に結びつき
息づくアイヌ文化の継承と生活基盤の安定を目指してまいります。
また、アイヌ子弟の教育支援対策として北海道等が支援している
高校及び大学等の修学援助について、申請などを円滑に進めるため
事務の支援を行うとともに、雇用対策と技術習得を図る機動職業訓
練の受託についても業務が円滑に進むよう支援してまいります。
併せて、住宅環境改善対策として、住宅改良資金貸付金を引き続き
予算措置しました。
Ⅳ.平取町の歴史風土や文化を愛する心豊かな人づくりをめざして
第1
伝統文化の保存伝承と文化遺産の保存・保護について
アイヌ文化振興・研究推進機構が、当町で先行的に進めているイ
オル再生事業については、これまでの事業実施経過について、高い
33
評価を得ております。
同機構が定める「新たな中期的展開方針」では、当町での各種事
業が計画されており、この方針に沿って関係機関・団体と十分な連
携を取りながら、事業を計画的に実施することにしております。
また、伝承活動の基盤として整備しているコタンの再現空間・イ
オルの森・水辺空間を、多くの方々が体験交流や伝統文化に気軽に
触れることができるよう必要な予算計上をいたしました。
平取ダム地域文化調査業務については、引き続き国から受託する
予定としておりますが、平取ダム本体工事着手に向けた取り組みが
本格化するものと予想されることから、従来の業務に加え失われる
文化的所産の保護・保全対策についても平取アイヌ協会及び関係機
関との協調のもとに具現化を推進してまいります。
平取町アイヌ文化情報センターにおける情報発信機能については、
従来のイオル再生及び博物館等のアイヌ文化資料の情報発信に加え
北海道初の伝統的工芸品、また地域文化保護・保全対策についての
情報発信を強化し充実してまいります。
さらに、当町はもとより近隣町における文化及び環境資源を結び
つける持続可能な産業モデルを創造するとともに伝統文化を愛し守
り育てる人づくりと人的ネットワークの形成を目指してまいります。
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シシリムカ文化大学については、回を重ねるごとに受講者も増加
し定着化が図られておりますが、国際交流事業等との連動に加え、
地域文化調査等の成果を組み入れた運営を図り、貴重な伝統文化の
次世代への確実な継承と地域振興への活用を促進してまいります。
Ⅴ.人と人とのつながりを大切にし、魅力的で個性あふれるまちづ
くりをめざして
第1
町民自治活動・まちづくり運動の推進について
住民が主体となり、地域コミュニティの活性化を図る取り組みと
しての町民税1%まちづくり事業は、5年が経過しましたが、各団
体においてユニークな事業が計画実施されており、共に創るまちづ
くりに相応しいものとなっています。
本年度においても、引き続き予算計上いたしましたので、さらに
アイデアを重ねた事業が申請されることを期待しております。
第2
広報広聴活動について
町政への理解と信頼関係を深めるためにも、情報の共有は不可欠
であり、町民が行政に関心を持っていただけるよう「広報びらとり」
は、カラーページを増やし、紙面の充実と町民目線に立った情報の提
供に努めます。
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町のホームページは、行政の情報発信の手段として、今や重要な役
割を担っていることから、町内外に対してより解りやすい情報提供が
できるよう努めます。
また、町民との対話「ひざ・びらとり」についても、引き続き定
期的に開催し、行政に対する町民一人ひとりのご意見・ご要望をい
ただき、その声を町政の運営に活かしてまいります。
第3
行財政改革の推進及び財政の健全化について
現下の地方財政を取り巻く環境は依然として厳しい状態が続いて
います。このような中、町民の多様なニーズに対応するためには将
来負担の軽減と簡素で効率的な行財政運営を図る必要がありますの
で、第4次行財政改革大綱を基軸として、未来につなぐ持続可能な
行財政の構築に努める方針を堅持しつつ、町民に対する行政サービ
スを低下させないよう町の組織機構の見直しを行い、より効率的で
効果的な体制を作ります。
また、財政健全化法に基づく健全化判断4指標を公開し、これら
を予算運営の指針としながら、行政と町民が果たす役割を明確にし
て、協働のまちづくりに向けて努力してまいります。
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第4
広域行政の推進について
交通網の整備や情報通信技術の進歩により、町民の日常生活圏は
町の境を超えて拡大しており、環境衛生・福祉・消防及び救急など
多くの課題において、広域化が求められております。
当町は自立を堅持しながら、事務事業ごとに必要な広域行政のあ
り方について引き続き検討してまいります。
以上、平成27年度の町政執行にあたり、私の主な所信を申し上
げました。
地方自治体を取りまく環境は、非常に厳しいものがありますが、職
員が一丸となって効率的な財政運営と効果的な住民サービスを維持
し、町民の生活の向上と、私たちの「ふるさと平取町」が未来に向か
って更に発展するよう、私は町民の先頭に立って力の限りを尽くす所
存であります。
町民の皆様、町議会議員の皆様の一層のご理解とご協力を心から
お願い申し上げ、
「平成27年度町政執行方針」の結びといたします。
37