平成27年度 施政方針

平 成 27 年 度
施 政 方 針
平成27年3月10日
本 部 町
平成27年度
施政方針
はじめに
本 年 は 、戦 後 7 0 年 の 節 目 の 年 に 当 た り ま す 。こ の 間 、
我が本部町も多くの困難な課題に直面する中で、町民各
位・関係者が力を合わせ努力したおかげで、町民の生活
は着実に向上してまいりました。平成27年3月定例会
の開会に当たり、この場をお借りしまして、先人達のこ
れまで築き上げた功績に感謝の意を表します。私は、今
後ともなお一層の、本部町発展に向け、国や県を始めと
する関係各方面の協力、支援を得ながら、町民福祉の向
上に向け、全力で町政運営に取り組んでまいります。
それでは、平成27年第3回本部町議会定例会の開会
に当たり本町の行財政運営全般に亘っての基本姿勢並び
に主要施策の概要をご説明申し上げます。
本定例会で提出されております諸議案については、
様々な観点からご議論いただき、議員各位及び町民の皆
様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
本年度の一般会計予算は、総額69億円余でございま
す。昨年度の当初予算に比べ、5千万円弱の増額予算で
あります。これは、本部中学校校舎の改築事業に伴う予
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算が3億円余り増額になったためであります。
本年度の主な事業として、本部中学校の部分改築に3
億7千万円余り、保育所緊急整備事業に1億9千万円余
り、一括交付金関連で4億9千万円余りの事業を計上し
ております。また、予算額としては小額ですが、地域の
防災組織づくりに百万円余りの予算を計上し、地域の防
災力強化を図ってまいります。
それでは、平成27年度の主要施策の概要についてご
説明申し上げます
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1.地域の活性化について
本町の山や川、海が一体となった自然景観は、他地域
に誇れる財産であり、多くの人々に心の安らぎと穏やか
な気持ちを与えてくれます。去る2月には「フクギの里
宣言」を行い、これまで、先人たちが残してくれた貴重
な財産である、フクギをしっかりと未来に引き継いでい
くと同時に、フクギを通して自然豊かなまちづくりを誓
ったところであります。
町民一人ひとりが向き合うことによって、相互協力と
信 頼 と 連 帯 感 が 生 ま れ 、コ ミ ュ ニ テ ィ 活 動 が 活 発 に な り 、
地域力が高まり、防災力の強化にもつながると確信して
おります。そのため、地域力を高める考えのもと、町と
して積極的に地域に対して支援してまいります。
地域住民の融和によるイベントや取り組みは、まちの
特性を発揮させる点で重要な役割を果たしていることか
ら「カルスト山百合まつり」や「もとぶ観光文化フェス
タ 」、「 自 治 宝 く じ コ ミ ュ ニ テ ィ 事 業 」 等 、 地 域 と 行 政 が
連携した地域づくり事業を、本年度も引き続き支援して
まいります。
町の今後の地域振興を図るうえで、最重要課題と位置
付けておりますのが、上本部飛行場跡地の開発・利活用
であります。昨年、農産加工飲料施設が完成し、シーク
ヮーサーを中心に健康飲料の生産が始まっております。
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今後、町道や上下水道等のインフラ整備と並行し、跡地
の有効活用について、引き続き積極的に検討してまいり
ます。
国の動向といたしましては、人口減少への対応と、首
都圏への一極集中化する現在の流れの脱却を目的に、地
方創生を掲げ「まち・ひと・しごと創生法」が成立いた
し ま し た 。本 町 で も 、本 年 度 中 に 総 合 戦 略 の 策 定 を 行 い 、
心豊かに安心して生活できる環境整備、地域に愛着をも
ち「武本部」の精神を育む人材づくり、地域特性を生か
した就業機会の創出、特に子育て支援については積極的
に、取り組んでまいります。
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2.産業の振興について
(1)農業の振興
本町の農業を取り巻く環境は、依然として厳しく、農
業従事者の高齢化や農業後継者等の不足により耕作放棄
地 が 発 生 し 、生 産 性 低 下 の 大 き な 要 因 と な っ て お り ま す 。
その対策として、国の耕作放棄地再生利用緊急対策事
業を活用し、平成21年度から平成26年度までの6年
間で、延べ8.5haの耕作放棄地を解消してまいりま
した。今後も同事業を活用するとともに、平成26年度
からスタートした農地中間管理事業により、耕作放棄地
の発生の抑制、農地の集積を図ってまいります。
また、平成24年度から実施しております青年就農給
付金事業では、これまで計12名の新規就農者に対し支
援を行ってまいりました。本年度も引き続き、県や関係
機関と連携をとりながら新規就農者の増加に向けて、今
後、人・農地プランの充実を図り、地域の中心となる経
営体並びに農業生産法人の育成に積極的に取り組んでま
いります。
基 幹 産 業 で あ る サ ト ウ キ ビ は 、相 次 ぐ 台 風 襲 来 や 塩 害 、
干ばつ等の影響により、大幅な減産となりました。町と
しましては、生産者の意欲を損なうことなく、生産向上
に向けて、優良種苗の配布を行うとともに、農薬の助成
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を行うほか、収穫面積の確保並びに単収向上のため、関
係機関と連携して取り組んでまいります。
本町の農業を振興するうえで、農産物の付加価値を高
めるブランド化を推進してまいります。拠点産地として
認定を受けている輪ギク、アセローラ、タンカンの振興
を図るとともに、生果用のパインアップルの増殖、リゾ
ート果樹としてパッションフルーツの普及にも力を入れ
てまいります。
また、昨年整備した、農産加工飲料施設を活用する面
か ら 、シ ー ク ヮ ー サ ー 等 の 生 産 振 興 に 努 め て ま い り ま す 。
次に、カラス等の有害鳥獣による被害対策といたしま
しては、平成24年度から捕獲箱の設置や銃器による駆
除、平成25年度からは、捕獲個体の買い取りも併せて
行なっております。本年度も引き続き捕獲個体の買い取
りを行うとともに、サトウキビ等で被害が発生している
マングースの捕獲も重点的に強化いたします。
野菜振興に対する施策といたしましては、台風等、自
然災害からの被害低減をめざし、平成24年度から園芸
農業防災施設整備事業として農業用ハウスの施設整備を
進めており、これまでに13棟(6,638㎡)を整備
しました。本年度も引き続き、野菜生産農家の所得の安
定を図ることを目的に、同事業を進めてまいります。
また、平成26年度は、町の単独事業により比較的小
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規模、かつ低コストで実現できる簡易ハウスの実証試験
を行ない、一定の成果を得ております。平地や中山間部
等、様々な地形に対応できる本町独自の「もとぶ型ハウ
ス」として、本年度も引き続き実証試験を推進してまい
ります。
その他、重点品目以外にも、本町で古くから食されて
きた島ヤサイの復活プロジェクトとして、その振興を図
ることで本町独自の食文化を継承し、主要産業である観
光業との連携を図ってまいります。具体的には、キンキ
ンゴーヤー、もとぶ香りネギ等のように需要が高まって
いる品目については、栽培講習会などを行い生産体制の
確立に取り組んでまいります。
平成26年度に農業従事者が結束し「本部町の農業を
元気にするネットワークの会」が発足し、活発に活動し
ています。農業の振興は地域活性化の観点からも重要で
あり、今後も農業者の活動に対し、積極的に支援してま
いります。
農業基盤整備につきましては、地域農業の活性化を図
るため、辺名地地区において現在、県事業による農地保
全 整 備 事 業 を 実 施 し て お り ま す 。( 平 成 2 6 年 度 末 で 9 3 .
8%完成、平成28年度完成予定)
農業基盤整備促進事業として、平成26年度に具志堅
地区の排水整備設計を行い、本年度は引き続き排水整備
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工事及び舗装整備を予定しております。
今後とも県と連携し、これらの事業を推進することに
より、地域農業従事者の営農支援に積極的に努めてまい
ります。
(2)林業の振興
林業の振興につきましては、林構施設内における桜の
保育等について、森林環境保全整備事業等を活用し、引
き続き実施してまいります。自然豊かな本町の中でも、
特に八重岳の森林地域は貴重な財産であり、森林資源の
保全・活用に向けて今後とも積極的に取り組んでまいり
ます。
去る2月9日に、フクギを活用したまちづくりの推進
を目的にフクギの里宣言を行いました。今後、フクギ林
の保全、活用、創生に向けても積極的に取り組んでまい
ります。
一方、町全域に被害が拡がっております松食い虫の防
除につきましては、補助事業等を活用し、伐倒駆除と樹
幹注入を行い、駆除・予防対策を行ってまいります。
(3)畜産業の振興
畜産業の振興につきましては、肉用牛の生産振興策と
して、平成25年度から「もとぶブランド牛基盤づくり
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支援事業」を実施し、これまで63頭の優良繁殖雌牛を
導入しております。本年度は、45頭を導入する予定で
あります。優良繁殖雌牛の導入を図ることで、地域の生
産基盤の整備を推進してまいります。
また、本部町優良繁殖雌牛更新事業や子牛生産助成金
の支給などで、品質に優れた子牛の生産を奨励すること
により、肉用牛生産農家の生産意欲を高めていきます。
次に、肉用やぎの生産振興策でありますが、平成25
年度より「もとぶピージャー産地確立推進事業」を実施
しており、山羊舎の建築により産地形成を図ってまいり
ます。また、平成24年度から「肉用やぎ早期ブランド
化事業」において、肉用山羊の改良増殖を行っており、
ブランド山羊としての確立に積極的に取り組んでまいり
ます。
畜産衛生関係につきましては、生産者に対し、悪臭防
止法や水質汚濁防止法を遵守するよう、地域環境に配慮
した指導を適切に行ってまいります。
(4)水産業の振興
本部町の水産業はカツオ、ソデイカなどの沿岸漁業と
モズク養殖、マグロ養殖、海ブドウ養殖などの養殖業が
中心であります。
水産業の今後の振興につきましては、平成26年度に
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一括交付金を活用し、観光漁業基盤整備事業で伊江島近
海にパヤオ2基を設置しております。観光業と連携する
ことにより、新たな水産業の可能性に向けて支援してま
いります。また、漁業施設(製氷機等)の機能高度化に
向け、調査を検討してまいります。
サンゴを食害するオニヒトデの駆除や漁の妨げとなる
サメの捕獲についても、漁業組合等の関係機関と連携し
て取り組んでまいります。
さらに、全県的な問題でもあります赤土流出防止対策
につきましては、本町においても大きな課題であり、沖
縄県をはじめ環境関連機関や農業関連機関、漁業関連機
関等と連携し、これまで同様引き続き、力を入れて取り
組んでまいります。
(5) 観光・商工業の振興
平成26年における沖縄県の観光入域者数は700万
人を超え、過去最高を記録しております。本町への入域
者数も前年の404万人を超える429万人が訪れ、好
調な推移を見せており、大変心強く思っております。言
う ま で も な く 観 光 は 、沖 縄 県 の リ ー デ ィ ン グ 産 業 で あ り 、
本町の重要な産業となっております。
特に近年は、円安等が続いていることから、アジアを
中心とした外国人観光客が大幅に増加しております。
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今後も、この様な傾向が続くと予想されることから、
国内及び訪日旅行需要が高まり、沖縄を訪れる観光客は
更に増えることが予想されております。
本町としても、国内外から訪れる観光客の多様なニー
ズに対応していけるよう、観光協会を中心に、商工会や
関係団体との連携を更に密にし、来訪者への満足度を高
めていくような施策を展開してまいります。特に観光施
設の核である、海洋博公園内の美ら海水族館や八重岳桜
の森公園、海洋ウェルネスリゾート施設や本部半島円錐
カルスト地形等との連動した周遊型観光への取り組みを
進めてまいります。
主な事業として、一括交付金を活用し、観光窓口の強
化と一元化を図ることを目的に、観光プラットフォーム
構築事業を継続し実施いたします。
また、近年、修学旅行の形態が、沖縄の農業・料理・
自然・文化などを直に体験出来る民泊事業が盛んになっ
てきており、昨年度に引き続き、民泊事業をより継続・
発展させるための人材育成や体験メニュー創出などに対
し、積極的に支援してまいります。
加えて、農業や漁業、自然を活用したグリーンツーリ
ズムやブルーツーリズム等の体験型観光や町運動公園を
拠点としたスポーツ合宿誘致についても、引き続き観光
協会をはじめとする関係機関と連携し、取り組んでまい
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ります。
また本年度、本部港の岸壁拡張工事が完了予定となっ
ており、より利便性が高まることから、町内関係団体と
連携したクルーズ船受け入れを沖縄観光コンベンション
ビューロー等と連携して取り組んでまいります。
次に、商工業の推進につきましては、地域ブランドの
確立に向け、商工会、観光協会、生産者等関係者が一体
となり、本部ブランドの確立に取り組んでおります。特
に「もとぶのマーサムン・ミジラシムン」支援事業では
地 域 の 隠 れ た 素 材 に ス ポ ッ ト を 当 て 、「 お い し い も の・め
ずらしいもの」の商品開発に取り組んでおります。本年
度も引き続き、町産農水産物を中心にした、六次産業化
への取り組みとして、シークヮーサーやタンカンなどを
活用した高付加価値商品の開発及び工芸品等においても
開発・販路展開を積極的に推進してまいります。
雇用対策につきましては、引き続き、国及び県の雇用
事業を活用し、人材育成や事業拡大など地域ニーズにあ
った雇用の安定確保に努めてまいります。
最後に、本年度の商工振興の目玉として、町内におけ
る消費喚起及び生活支援を目的とした、プレミアム商品
券(仮称)を発行し、地域経済の活性化を図ってまいり
ます。
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3.生活環境の整備について
(1)道路・橋梁の整備
先ず、主要地方道名護本部線についてでありますが、
本年度、1.5kmの実施設計が完了予定であり、用地
交渉にも着手しております。
町としましても、引き続き県と連携し、平成34年度
完了に向けて協力してまいります。
国道449号の塩川から大小堀川付近の道路について
は、平成27年1月末で残工事をすべて完了し、4車線
解放を行っております。
国道449号の大小堀川からモトブリゾートの間の道
路については、平成26年度は、用地取得、補償業務、
工事については、本部大橋南側の橋台・上部工、本部大
橋 北 側 の 橋 台・橋 脚・上 部 工 を 施 工 し て お り 、本 年 度 は 、
用地取得、補償業務を継続し、本部大橋南側・北側橋台
への取付道路、上部工を施工する予定であります。引き
続き、県と連携し平成28年度完了に向けて協力してま
いります。
国道505号、県道114号線については、歩道が狭
く 利 便 性 が 損 な わ れ て い る た め 、早 期 改 良 の 実 現 に 向 け 、
引き続き、沖縄県へ要請を行ってまいります。
町道健堅本部落線の進捗につきましては、全長1,4
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00m区間中、終点側約120mを施工しております。
本年度も引き続き、用地及び補償完了箇所から重点的に
施工し、早期改良の実現に向け努めてまいります。
石川謝花線道路改築事業の進捗につきましては、全長
814m中起点側から約400m間の改良及び舗装工事
を実施しております。本年度は橋梁部区間のA1及びA
2橋台を改良し、その後、隋時、橋梁上部工の架橋及び
終点側国道505号取り付け改良工事の施工を行い、平
成28年度早期完了に向けて取り組んでまいります。
次 に 、町 内 の 橋 梁 の 状 況 で あ り ま す が 、老 朽 化 が 進 み 、
そ れ ら の 安 全・安 心 の 信 頼 性 が 失 わ れ つ つ あ る こ と か ら 、
平成22年度から平成23年度にかけて、橋梁調査を実
施し、長寿命化計画を策定しました。同計画に基づき、
平成26年度は、長寿命化計画の改善順位により伊野波
橋と第一渡久地橋の実施設計を行っており、本年度は仮
設工を実施し、平成30年度完了に向けて努力してまい
ります。今後とも順次、計画に沿って、取り組んでまい
ります。
(2)港湾整備について
本部港本部地区の整備の状況は、県事業として、平成
21年度から岸壁バース及び緑地帯の工事に着手し、本
年度に完成予定となっております。
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緑地帯の整備は、駐車場及び管理棟がすでに完成し、
本年4月の供用開始予定となっております。
ま た 、本 部 港 本 部 地 区 に お い て 整 備 予 定 の 沖 防 波 堤 は 、
平成26年度に調査・設計を終え、平成29年度の完成
を予定しております。
さらに、本部港瀬底地区の物揚場・船揚場の整備は、
平成26年度に調査・設計を終え、本年度以降の工事着
手を予定しております。今後とも、港湾の機能充実を図
るため、県と緊密に連携し事業を支援してまいります。
(3)満名川の整備について
満名川の整備については、平成26年度から河口部か
らウナジャラ川河口付近までの浚渫工事を実施しており、
本 年 度 も 引 き 続 き 、河 口 部 付 近 の 護 岸 嵩 上 げ 工 事 を 含 め 、
予定しております。町としても県と連携し早期改修に向
けて協力してまいります。
(4)景観形成及び都市計画について
本町は、景観法による景観行政団体となっており、平
成23年9月1日から本部町景観条例が施行されており
ます。
本 部 町 景 観 計 画 で は 、景 観 形 成 重 点 地 区 と し て 、「 記 念
公園周辺地区」及び「備瀬地区」の2地区を位置付けて
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おりますが、平成26年度から新たな景観形成重点地区
として、役場庁舎前の名護本部線周辺を検討しておりま
す。本年度は、昨年度取りまとめた地域住民の意見をも
とに、本部町景観委員会において景観形成基準の検討を
行ってまいります。
都市計画につきましては、本部町都市計画マスタープ
ランの基本計画に基づき、取り組んでまいります。
本年度、国道449号の4車線化に伴い、一部潰れ地
となる谷茶公園の公園区域変更が予定されており、平成
28年度に新たな公園区域に合わせた公園整備を実施予
定であります。なお、公園区域変更による公園面積の増
減はございません。
(5)町営住宅について
町営住宅につきましては、現在170戸が建設されて
おり、入居率は100%となっております。引き続き快
適な居住環境の維持や、未納家賃の徴収強化を図り、町
営住宅の適切な管理に努め、また今後の町営住宅の新た
な整備の必要性についても検討してまいります。
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4.福祉・保健・衛生について
(1)福祉の充実
地域福祉につきましては、次の時代を担う子どもたち
や、高齢者、障がい者をはじめ、すべての住民が住みな
れた地域で支えあいながら、安心して暮らせるまちづく
りを進めることが求められています。
先ず、子育て支援についてでありますが、平成26年
度より計画しております新規法人保育園の施設整備に取
り組んでいくとともに、本年度より施行開始となります
「子ども・子育て新制度」による地域型保育事業等の充
実 を 図 り 、沖 縄 県 と 連 携 し 早 期 の 待 機 児 童 解 消 を 目 指 し 、
子どもを産み育てやすい環境づくりに努めてまいります。
加えて、子ども医療費助成の通院対象年齢を就学前児
童まで引き上げ、児童福祉サービスの充実を図ります。
高齢者福祉につきましては、急速に進んでいる高齢化
社会へ対応するため、現在地域で行われている健康教室
等を継続的に支援し、健康講話や運動教室等の介護予防
事業についても引き続き実施するとともに、高齢者が積
極的に社会参加できる老人クラブ等の活動支援を行いま
す。さらに、認知症対策として、認知症の人やその家族
を地域ぐるみで支えられるよう、認知症への理解の普及
啓発に努めてまいります。
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障がい者福祉につきましては、平成26年度に沖縄県
が制定しました「沖縄県障害のある人もない人も共に暮
らしやすい社会づくり条例」を基本に、障がいのある人
に対する理解を深めるための事業等を実施してまいりま
す。
これからも、住民、地域、ボランティア活動の育成な
ど、住民一人ひとりが福祉の担い手となり、支えあえる
よう、意識の醸成に取り組むとともに、社会福祉協議会
や関係団体、民生委員・児童委員、区長会等との連携に
より、福祉のまちづくりに努めてまいります。
(2)保険・衛生について
国民健康保険事業は、国民皆保険制度を支える大きな
役割を担っております。町の同事業の運営状況でありま
すが、被保険者1人当たりの医療費が県平均を大幅に上
回る等、厳しい状況に変わりはありません。
このような状況の中、医療費の低減化を図る対策とし
て、健康の大切さの意識の低下が影響していると考えら
れることから、その点に着目して、各団体等との連携を
図りながら、健康運動教室や健康料理教室など、健康を
テーマとした各種事業を継続して実施し、健康づくりに
対する町民意識の高揚につなげてまいります。
国民健康保険税につきましては、長期未納者への滞納
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処分の実施、未申告者への申告勧奨等、適正な課税に努
めるとともに、嘱託納税相談員による納付相談、分納指
導を継続して取り組んでまいります。
町民の健康支援につきましては、乳幼児健診や住民健
診などの健診事業の推進、2次検診の勧奨の他、保健師
等による健康相談や訪問指導など、きめ細やかに対応し
てまいります。
予防接種事業につきましては、乳幼児の定期予防接種
及び、全町民を対象としたインフルエンザ予防接種の助
成に加え、成人向けの風しん予防接種や高齢者肺炎球菌
予防接種の助成も継続して実施し、疾病の感染及び重症
化予防に努めてまいります。
環境衛生につきましては、ごみの減量化を図るため、
平成18年度から5種類分別を導入して、分別排出方法
は、一定程度町民へ浸透しているところであります。一
方、町内のごみ排出量は増加傾向にあり、その処理費用
は 増 加 し て お り ま す 。ご み 処 理 の 現 状 を 改 善 す る た め に 、
町民と行政が一体となった取り組みが必要であり、この
ことから、平成26年度に本部町今帰仁村ごみ減量化検
討委員会を設置して、その方策などについて検討を重ね
るとともに、住民説明会を実施してまいりました。同委
員会からは、ごみの排出抑制、資源化の推進、負担の公
平性という3つの観点から、平成27年度中のごみの有
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料化の導入が必要である、との答申がでております。本
年度は、同答申を参酌して、リサイクルの推進等、ごみ
減量化に向けた取り組みを進めてまいります。
その他に、近年生息域を拡大している外来種のタイワ
ンハブ対策につきましては、捕獲作業を強化しており、
引き続き撲滅に向けて取り組んでまいります。
墓地対策につきましては、平成26年度に、墓地等の
経営許可の権限が、県から委譲されております。同年、
町では、明確な基準の指針となる本部町墓地基本計画を
策定しました。本年度は、同計画に基づき関係条例等の
改正を行い、墓地の散在化防止に向けて取り組んでまい
ります。
20
5.
水道事業について
水道事業につきましては、一時期2億円余りあった累
積欠損も経営改善等により、平成26年度に解消いたし
ました。本年度からは、より一層安定した経営を目指し
努めてまいります。
施設の整備面では、平成22年度から平成26年度の
5ヵ年をかけて整備してまいりました沖縄簡易水道等施
設 整 備 (上 水 道 施 設 整 備 )事 業 に お い て 、 平 成 2 2 年 度 か
ら平成23年度に、東ポンプ場・辺名地ポンプ場・渡久
地ポンプ場の改築工事を行い、平成24年度から平成2
6年度にかけて、伊豆味簡易水道時代の老朽管の布設替
えの工事を行い、平成26年度まで総事業費8億4千8
百万円で完了いたしました。
本年度からは、塩川簡易水道を町の上水道接続に向け
て、取り組んでまいります。また、より効率的・安定的
な水道事業運営のため、浄水場の統廃合をはじめとした
本町全体の水道網を見直す検討を行い、平成 3 年度以来
の認可変更と施設の再編成に向け準備を進めてまいりま
す。町民の日常生活に不可欠なインフラとして、安全で
安心な水を安定的に供給できるように努めてまいります。
また、有収率の向上のための漏水調査や、水道料金徴収
率の向上のための催告通知、電話督励、給水停止等を積
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極 的 に 実 施 し 、健 全 な 水 道 事 業 運 営 に 努 め て ま い り ま す 。
6.
下水道事業について
下水道事業につきましては、接続率の向上により、経
営の安定化に積極的に取り組んでいるところであり、今
後とも安定的な経営を目指してまいります。
本年度の施設改良につきましては、汚水管渠の長寿命
化計画に基づき、谷茶地内の管渠長寿命化工事を実施い
たします。
また、浄化センターにつきましては、舗装工事(A=
3,847㎡)及びフクギの植栽を平成26年度で完了
し、センター周辺の環境美化に努めており、今後も地域
景観に配慮した運営管理を行ってまいります。
下水道の接続率は、平成25年度末で80.2%とな
っております。今後も引き続き未接続住宅への戸別訪問
等を行い、住民への理解と協力を得て積極的に接続率の
向上に取り組んでまいります。
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7.教育・文化・スポーツの振興について
本町の教育目標は、平成26年度に引き続き、人間尊
重 の 精 神 を 基 調 と し 、本 町 の 自 然・歴 史・風 土 を 踏 ま え 、
古くからムトゥブンチュ気質である『武本部(ブームト
ゥ ブ )』 と 称 さ れ る 「 質 実 剛 健 」 で 「 進 取 の 気 性 」 に 富 ん
だ 、「 文 武 両 道 」 の 児 童 生 徒 の 育 成 と 、 豊 か で 住 み よ い 文
化的な町づくりに貢献する人材の育成を目指して、教育
施策を推進してまいります。
(1)学校教育
学校教育においては、幼稚園期、小学校低学年期、小
学校高学年期、中学校期と4段階に区分し、各年代に応
じた学校教育の指標を示し、子ども一人ひとりが逞しく
成長できるよう、学校教育の施策に取り組んでまいりま
す。
昨 年 度 は 、「 学 力 向 上 元 年 」 と 位 置 付 け 、 学 校 、 家 庭 、
地域、行政が一体となって、児童生徒の学力向上を目指
し 取 り 組 ん で ま い り ま し た 。そ の 結 果 、「 平 成 2 6 年 度 全
国学力学習状況調査」において、本町の児童生徒の学力
が大幅に向上しております。そのことは、学校教職員の
熱 心 な 取 り 組 み は も ち ろ ん の こ と 、家 庭・地 域 で の 教 育 、
そしてなにより、児童生徒の頑張りが躍進の結果につな
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がったものであります。本年度においても、一括交付金
を活用し、13人の学推教師を各学校へ派遣し、きめ細
かい授業に取り組んでまいります。また、平成26年度
か ら 始 め ま し た 、「 も と ぶ っ 子 夏 休 み 地 域 学 習 教 室 」を 本
年度も地域の協力を得て、夏休みの期間中に開催するこ
とにしております。
加えて、各種検定(英検・数検・漢検)受験料の補助
を本年度においても継続して行います。児童生徒の学習
意欲・挑戦意欲の高揚につながるよう支援してまいりま
す。
新規事業としまして、上本部中学校と本部中学校に吹
奏楽の楽器を購入し、吹奏楽部の活動の支援を予定して
おります。また、中学生と高校生を対象とした短期留学
に対し、費用の一部の助成を予定しており、中高生が自
らの語学力の向上のため、チャレンジしやすい環境を整
えてまいります。
学校現場におきましては、さまざまな問題から、悩み
事を抱え、心のケアが必要な児童生徒がいます。スクー
ルソーシャルワーカー、スクールカウンセラーを継続雇
用し、寄り添った支援を実施してまいります。また、発
達障害や身体の障がいを抱えた児童生徒については、特
別支援員を配置し、学校生活での必要な支援を行ってま
いります。
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次に、町内の学校校舎改築についてでありますが、平
成26年度に、本部中学校の校舎改築設計が完了しまし
た。本年度は、同中学校の校舎改築工事に取り掛かり、
平成28年度で完成する予定となっております。
懸案であります本部高校の存続支援策につきましては、
本部高校チャレンジ塾を継続して開設いたします。生徒
が大学などへの進学にチャレンジし、その目標が達成で
きるよう支援してまいります。
また、新規支援としまして、本年度から3年間の予定
で 、「 本 部 高 校 魅 力 化 事 業 」を 展 開 し て ま い り ま す 。具 体
的には、教育支援コーディネーターを1人配置し、本部
高校がさらに魅力ある学校へ、そして町内中学生の多く
の子ども達が進学したい学校になるよう、本部高校、行
政、地域とのパイプ役になる教育支援コーディネーター
の配置を予定しております。
(2)社会教育
社会教育につきましては、生涯学習推進の拠点となる
社会教育施設を中心に、
「 い つ で も 、ど こ で も 、だ れ で も 」
学ぶことができ、潤いと生きがいのある生涯学習社会の
構築に、引き続き努めてまいります。
本町では、公民館講座終了後、任意にサークル活動へ
移 行 す る 団 体 が 多 く 、中 央 公 民 館 及 び 体 育 施 設 を 中 心 に 、
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活動の幅は広がっております。今後とも町民が楽しく、
生きがいのある生涯学習ができる環境整備に取り組んで
まいります。
文化振興につきましては、町民が等しく芸術文化に触
れる機会を確保するとともに、生きがいと喜びを感じる
文化活動に取り組めるよう、その活動を支援してまいり
ます。
スポーツ振興につきましては、町スポーツ推進委員を
中心に、町民がスポーツに親しむ機会の充実やスポーツ
に よ る 健 康 づ く り の 機 会 と し て 、健 康 ウ ォ ー キ ン グ 大 会 、
スポーツ健康デー、ジュニアマラソン大会、壮年ソフト
ボール大会など、各スポーツイベントを引き続き実施し
てまいります。
また、本年度から国頭郡体育協会の事務局を 2 年間、
本町が担うことになっております。国頭郡の体育振興に
努めるとともに、陸上競技をはじめとする各種郡大会が
本町を中心に開催できるよう、取り組んでまいります。
平成26年度は、地域の子ども会の育成にも取り組ん
でまいりました。夏休み地域学習教室の開催もあり、子
ども会が立ち上がった地域もありました。本年度は、さ
らに地域の子ども会の充実を図り、地域のリーダーと連
携 を 図 り 、将 来 を 担 う 子 ど も 達 の 支 援 を し て ま い り ま す 。
また、スポーツ大会、発表会等で優秀な成績を収めた
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児童生徒については、県外で開催される上位の大会へ積
極的に派遣を行ってまいります。
(3)学校給食
学校給食につきましては、本年度から全幼稚園におい
て給食を開始いたします。給食をとおして食べ物に対す
る食育を実施してまいります。
給食の食材については、地元食材の優先使用を進め、
本町の農家で運営しております「もとぶかりゆし市場」
と連携を図り、さらに地元食材を活用してまいります。
季節に応じた新鮮な食材で料理した給食を児童生徒に提
供してまいります。また、給食費の納付において、口座
振替を奨励し、納付率の向上に努めてまいります。
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8. 自 主 財 源 の 確 保 と 行 財 政 改 革 の 推 進 に
ついて
地方分権が進むなか、地方自治体は、自主性・自立性
を柱に自らの判断と責任において、地域の実情に沿った
行政を推進していくことが求められております。日本経
済は、依然として厳しい状況が続くと予想されておりま
す。今後、地方自治体も地方交付税や各種交付金の増額
は期待できず、むしろ厳しい運営が予想されます。この
ような財政環境下であっても、適正かつ必要な行政サー
ビスの確保に努めることが、行政に課された責務だと認
識しております。
今後とも町民ニーズに的確に対応しつつ、将来にわた
り持続可能な財政運営を進めていく必要があり、町税を
はじめとする自主財源の確保・拡充をしっかりと図って
まいります。
本町では、平成24年度から取り組んだ収納体制の改
革により、一定の収納率の向上が図られました。ちなみ
に、平成23年度から平成25年度の収納率(現年度分
+過年度分)を比較しますと、
住民税が
8 6 . 7 % か ら 9 4 . 8 % へ ( 8.1% 増 )
固定資産税が
7 7 . 4 % か ら 8 4 . 1 % へ ( 6.7% 増 )
軽自動車税が
8 6 . 3 % か ら 9 1 . 3 % へ ( 5.0% 増 )
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となっており、2年間で5千万円余の大幅な自主税源の
確保が図られております。
しかしながら、県内市町村の収納率の状況からみます
と、県内では平均を下回っており、今後とも自主財源の
確保に向け、積極的に取り組んでまいります。
本年は、新庁舎元年であり職員一同、新たな気持ちで
気を引き締めて、これまで以上に、町民サービスの向上
に努めてまいります。当然のことながら、町民本位の行
政運営を基本とし、事務事業の見直しや改善、効率化・
合理化の徹底を図ってまいります。
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おわりに
以上、平成27年度の町政運営に当たり、施政方針と
考え方の一端を申し述べました。
町政を取り巻く環境は、少子高齢化への対応を含め、
ますます厳しい状況ではありますが、平成27年度のキ
ーワードを「日本一元気なまち」として健康で明るく躍
動感あふれる本部町づくりに向けて、全職員の英知を結
集し、全力で諸施策の実現に向けて積極果敢に取り組む
ことをお約束し、議員の皆様並びに町民の皆様のご理解
とご協力を賜りますよう切にお願い申し上げ、平成27
年度の施政方針といたします。
平成27年3月10日
本部町長
30
高 良
文 雄