致死的副作用「QT延長」「TdP」により、多くの薬剤が 市場から姿を消した

致死的副作用「QT延長」「TdP」により、多くの薬剤が
市場から姿を消したが(1)、その多くが非循環器用薬剤
であった。一方、薬剤師には薬剤によるQT延長から患
者の命を守る使命があるものの(2)、その役割を十分発
揮しているとは言い難い。そこで薬剤性QT延長を起こす
薬剤の国内外の現状調査を行い、また服薬指導時に注
意すべき事項や当薬局で遭遇した事例を報告する。
(1)
(2)
(表1)
(表2)
PMDA検索システム、国立医薬品食品衛生
研究所HP、米国等における公的機関Webを
利用して、文献検索を行った。
「QT」「torsades de pointes」等を検索キーと
し、全薬剤を対象とした。
倫理規定:本研究は、ツルハホールディングス学
術研 究発表審議会の承認を得て行った(承認番
号:HD20150003)。
QT延長を起こす可能性のある薬剤(表1,2)
はその大半を非循環器系薬剤が占め(図1)、
副作用報告でも原因薬剤の47%が非循環器
用剤であった。相互作用(3)でも非循環器系
薬剤同士の併用で45%以上がQT延長を起
こしている臨床報告が確認でき、QT延長を
起こしやすい非循環器系薬剤に十分注意し
た行動が薬剤師にとって重要であることが確
認できた。また添付文書における我が国と海
外との内容の記載内容の違いや(表3)、当
薬局で経験した事例(4)より、QT延長を起こ
しやすい条件(5)を理解した服薬指導が、薬
剤師にとって重要であることを認識できた。
図1
(3)
(表3)
(4)
(5)
QT延長を防ぐため薬剤師に課せられた役割は大きく、処方せん内容や
併用薬、患者背景等から危険性を予知する「プロの眼、思考」が要求され
る。携帯心電計が普及し始めたが依然として少ない。QT延長の基本知識、
薬剤師として行うべき役割を理解した日常行動(6)は、副作用防止の観点
から大変重要と思われる。
(6)