レポート課題 - 長崎県立大学

空中操作インタフェースのインタラクティブデジタルサイネージへの応用
辺見 一男 (長崎県立大学 国際情報学部)
A Spatial Operating Interfaces and an Applications to the Interactive Digital Signage
Kazuo Hemmi (University of Nagasaki)
1.はじめに
我々の研究室では、TV カメラを用いて人の動きを検出し、
空中で操作可能なインタフェースに関する研究を行ってきた
[1]-[2]。本稿では、このインタフェースをデジタルサイネー
ジに適用する方法について述べる。
サイネージは人が注目してくれることが最も重要である。
そこで、人の動きを検出し、その動きに合わせて表示を変え
る仕組みを組み込んだサイネージに関する研究が行なわれて
いる[3]-[5]。このようなサイネージはインタラクティブデジ
タルサイネージと呼ばれ、効果的なマーケティングツールと
して注目を集めている。
本稿では、TV カメラで撮影した映像に特定の領域(ターゲ
ットエリアと呼ぶ)を設け、その領域を画面表示を切り替え
るためのスイッチとして用いることでインタラクティブなデ
ジタルサイネージを構築する手法について述べる。ここで提
案する手法では、操作者はシステムに触れることなく、空中
で手を動かすことによって操作を行うことができるため、シ
ステムと利用者の間にガラスなどの透明な遮蔽物があっても
機能するという特徴を有する。これは、ショーウインドウ内
にサイネージを設置しても、店舗の外側から操作を行えるこ
とになり、店舗内で利用するデジタルサイネージとして非常
に有効となる。
ゲットエリアにおける二次元相関係数 R を(1)式により算出
し、R の値により接触判定を行った。
R=
m
n
x
y
∑∑ ( f ( x, y) − f )( g ( x, y) − g )
m
n
m
2
x =1 y =1
(1)
n
∑∑ ( f ( x, y) − f ) ∑∑ ( g ( x, y) − g )
2
x =1 y =1
ここで、f(x , y)は基準画像の(x , y)座標における画素の諧調
値、g(x, y)は評価画像の(x , y)座標における画素の諧調値を示
す。
f
は基準画像の諧調値の平均値、 g は評価画像の諧
調値の平均値を表す。
ターゲットエリアに手先などが入っていない場合、両者は
同一画像となるので、R = 1である。反対に、ターゲットエ
リアに手先などが入った場合、両者は異なった画像となるの
で、R < 1 となる。本システムでは R の値が基準値を下回っ
た時にターゲットエリアに接触したと判定した。この方式を
用いることにより、操作者がターゲットエリアにタッチした
かどうかを安定して検出することが可能となった。接触判定
手順を図1に示す。
2.システム構成
2.1 システムの概要
本システムは、ターゲットエリアを、画面を切り替える(画
面の状態を遷移させる)ためのスイッチとして用いる。操作
者が、ターゲットエリアに触れた場合に画面の状態を切り替
える仕組みを導入した。ターゲットエリアに触れるためには、
自分の映像を見ながら空中で手を動かすだけで良く、タッチ
パネルやマウスなどのデバイスを用いる必要はない。そのた
め、利用者とシステムの間にガラスなどの透明な遮蔽物があ
る場合も正常に機能する。これはショーウインドウ内にサイ
ネージを設置しても、店舗の外側から操作を行えることを意
味する。今回は、ターゲットエリアへの接触をトリガーとし、
画面を2状態に遷移する機能を持たせた。
2.2
ターゲットエリアへの接触判定
本システムでは、TV カメラの映像より、操作者がターゲッ
トエリアに接触したかどうかの判定を以下の手順により行う。
すなわち、現時点のビデオフレーム画像(評価画像と呼ぶ)
と、1フレーム前のフレーム画像(基準画像と呼ぶ)のター
図1 接触判定手順.
2.3
表示コンテンツの切り替え方法
本システムでは、表示コンテンツに2つの状態(状態 A と
状態 B)を持たせ、ターゲットエリアにタッチすることによ
って2状態間を遷移させる仕組みを導入した。これにより、
操作者がインタラクティブにコンテンツを操作することが可
能となった。表示コンテンツの状態遷移図を図2に示す。