進行形?結果の存続?それとも両方?: エネルギー導入理論に基づいた

進行形?結果の存続?それとも両方?: エネルギー導入理論に基づいた「ている」の
機能の明確化
On-going, resultative-only, or both: Re-evaluation of Te-iru using the theory of “Energy
Input”
由紀ジョンソン (ジョーンズホプキンス大学) YUKI JOHNSON (JOHNS HOPKINS UNIVERSITY)
ある動詞に「ている」が伴うと、on-going の意味か resultative の意味、または resultative の意味のみを表すことは周知の文法
である。しかし学習者の立場からみれば、どのような動詞が両方の意味を表せ、どのような動詞が resutative のみを表しうるか1
に関しては、明確な理論及び教授法が未だ明示されていない。本稿では長年のアスペクトの研究で、この点をいかに学習者にわ
かりやすく把握させるかを追求し、これまでの研究から一つの原理を導きだすことを試みた。
日本語におけるアスペクトの研究は 1950 年金田一の「ている」の考察における動詞の4分類に始まったが、それは経験的直
感的であり、出来事が実現するのにどのくらいの時間を要するかという点に依存しすぎていると批判されてきた。この問題を奥
田が指摘し、自他動詞の観点から修正を試み、自動詞+ているは resultative の意味のみを表すと説いた。しかし、その中にも多
くの例外が出てきて、その例外をどのように扱うかに関しては言及されていない2 。また、言語学におけるこのような研究は実
際の教育現場の文法解説にまでは浸透しきれず、学習者は「リスが死んでいる」や「友達は学校に行っている」は “A squirrel is
dying,” “My friend is going to school”と理解するのが現状である。
本稿では Comrie (1986)の “energy input” 理論を再考察し、「ている」文法の明確化を試みた。しかし、 Energy input 理論で
は agengivity、つまり生体物の意思操作が主な考察対象のため、なぜ無意思動詞のている形3が on-going を表しうるかを包括的
に扱いえなかった。そこで、新たに agent の限定の枠組みを外し、エネルギーの導入とみなせる自然界のすべての「力」へと枠
組みを広げた。これにより自然のエネルギーあるいは人工的に生み出したエネルギー4が繰り返し対象物にエネルギーを導入し得
る場合は、自動詞でも on-going の意味を表せると言えるのである。学習者にこのように説明すると、「ている」の意味理解及び
その使用が正確になることがわかった。
エネルギー導入理論は概念化しやすく、学習者に日本語がどのような点で英語の Progressive “ing”と異なるかを理解させるの
にも効果的であることを付加しておきたい。
朝ご飯を食べている can mean either “I am eating” or “I have eaten.” 死んでいる on the other hand, can express only a resultative meaning – “(Something) is dead.”
例えば、「飛行機は空港に着いている(自動詞)」は resultative の意味しか表し得ないというのは納得できても、「コピー機は今温まっている(自動詞))
や「魚が焼けている(自動詞)」などに関しては同じ見解が適合しない。
3 「魚が焼けている(自動詞)」など。
4 電気や火など 1 2