学校関係者評価

二葉栄養専門学校
学校関係者評価報告書
(平成26年度)
実施日:平成27年8月3日
学校法人古屋学園
二葉栄養専門学校
二葉栄養専門学校 学校関係者評価委員会報告書について
学校法人古屋学園 二葉栄養専門学校は、質の向上を目指し学校自己点検・自己評
価制度を導入するため、平成20年に「自己点検及び評価等実施委員会」を組織し、
同年5月に平成20年度の「自己点検・自己評価」を実施しました。以来、点検・評
価結果による学校運営の改善に努めてきましたが、平成22年からは同年に策定され
た「学校法人古屋学園学校品質向上5ヵ年計画」とリンクさせ、より有機的で実効性
のあるものとし継続的に実施してきました。
これまでの活用をより適切かつ充実したものとするために、平成24年度には本校
と関係の深い、外部の方々のご意見を学校運営に反映させるべく、委員会を設置し「学
校関係者評価委員会」を開催いたしました。多くの率直かつ貴重なご意見をいただき、
あらためて「学校関係者評価」の意義と重要性を認識した次第です。
平成25年8月には、文部科学省が認定する職業実践専門課程が制度化され、本校
におきましても、平成27年度より本課程の認定を受け、従来にも増して高度な知識
と技術を身につけた、実践力のある職業人を養成する教育機関として、その社会的責
任を果たしてきました。
この度、広く関係者の評価を問い、ご意見を頂戴いたしたく平成26年度「学校関
係者評価委員会」の報告書を公表いたします。
平成27年8月3日
学校法人 古屋学園
二葉栄養専門学校
学校長 小川 万紀子
学校関係者評価委員ご紹介
<職能団体>
一般社団法人
<業界団体>
公益社団法人
全国栄養士養成施設協会
常務理事・事務局長
有 馬
克 彦
氏
日本メディカル給食協会
専務理事
千 田
隆 夫
氏
<地域住民代表・関係団体>
東京都武蔵野食品衛生協会
会
長
服 部
清
道
氏
<保護者代表・関係企業>
プリンスホテル(高輪・品川)
営業リーダー
中 村
幸 一
氏
<卒業生代表・関係業界>
女子栄養大学 栄養クリニック
管理栄養士
与 島
優 希
氏
学校関係者評価委員会
1.開
次第
会
2.学校法人古屋学園
理事長
手嶋 達也 挨拶
3.二葉栄養専門学校
校
小川 万紀子 挨拶
長
4.評価委員自己紹介
5.職員紹介
理事長〔手嶋 達也〕、校長〔小川 万紀子〕、副校長〔髙橋 興亜〕、
事務局長〔寺島 秀親〕、校務運営部長〔大長 修〕、栄養士科学科長〔熊江
調理師科学科長〔猪狩 竜二〕、経営推進課長〔山口 直美〕、
庶務室長〔山田 美範〕
6.委員長・議長選出
7.意見交換
(1)配布資料の確認
(2)平成 26 年度 自己点検・自己評価結果報告
(3)質疑応答・ディスカッション
8.その他
隆〕、
基準毎の評価
基準1 教育理念・目的・育成人材
建学の精神「涵養の精神と職業人としての自立」のもと、①高度な専門知識及び技術の習
得、②徹底した実践教育、③人間性豊かな明晰なる感性の涵養、等を建学・教育の理念とし
て掲げている。明確な教育理念・目的に基づき、時代に即した“社会に貢献できる栄養士・管
理栄養士・調理師”の養成に取り組んでいる。人材育成目標を実現するため、複数の資格取
得のための新たなコース制の設定・カリキュラムの見直し等を適宜行っている。
製菓学校等を併設している本校の特性を活かした、ダブル・トリプルライセンス取得によ
る多様な人材育成、また学外実習の単位数を多くし、実践力を身につけた人材育成は本校の
特色といえる。
基準2 学校運営
建学の理念や目標人材像に基づく、学校の目的・目標を実現するための学校運営方針は設
立趣意書・中期計画(
「学校品質向上5ヵ年計画」)等で明確に定められている。教職員にも
明示され、各種会議を通じて周知を図っている。具体的事業計画は「年間行事予定表」等で
明示している。
運営組織や意思決定機能は「学園職務分掌」や「校務分掌」で明確になっており、中期計
画・年間行事予定等の学校運営に係わる重要な案件は、評議員会・理事会で決議される。校
長を頂点とした意思決定システムも、各種会議や事業を実行するなかで特に問題なく機能し
ている。
人事考課制度を導入し、適切な評価と昇進・昇給等「給与規程」とリンクさせた有効な運
用に努めている。
基準3 教育活動
教育目標や育成人材像は、業界の人材ニーズを反映するよう努めている。教育内容・レベ
ルは就業年限に対応するとともに、業界のニーズに応えられるものとなっている。
現在のカリキュラムは、平成22年度に外部の学識経験者を交えた「カリキュラム検討委
員会」により編成している。教育目標達成のための十分な内容を持ち、体系的に編成されて
いるとともに、学科の科目は法規に基づきその中で適切に位置付けられている。
専門性、資格等要件を備えた教員の確保に努めており、さらに、校長・学科長等により適
宜、教員の専門性や教授力については把握・評価しているが、学生による教育・授業評価は
未実施のため、教育効果を高めるために実施する方向で検討する。また、教員の専門性・教
授力向上を図るため学会・研修会等への積極的な参加を勧めるための支援体制を整えている。
教員間の協力・協業は授業編成や管理栄養士国家試験対策等で、適切かつ効果的に行われて
いる。
成績評価・単位認定の基準は明確に規定されており、進級・卒業審査はこの基準に則して
適切に行われている。
取得できる各種資格は学則やカリキュラムで明確に定められており、資格取得のためのサ
ポートは教育内容でも指導・支援体制からも十分なものになっている。
基準4 教育成果
就職支援室の就職指導と支援体制を整備し、企業訪問による就業先企業の拡大や求人依頼、
さらに個別面談を徹底して行っている。また、外部カウンセラーによるキャリアカウンセリ
ングを実施して就業意識を高めるなどの結果、ほぼ100%の就職率を達成している。
調理師、栄養士の免許は卒業と同時に全員取得するため、修業年限内に卒業できるよう学
習指導・生活指導を強化し、成果をあげている。管理栄養士国家試験対策の支援体制は整っ
ており、更なる合格率アップに向け指導・強化を図っている。
保護者との連携のもと学生の学習・生活状況の的確かつ迅速な把握に努め、退学防止への
努力を払っている。
就職支援室担当者の企業訪問等により、卒業生の動向はよく把握している。学外実習が多
いために新入生のための特別講習や、学外実習の事前特別講義等の講師が積極的に学生を指
導している。各種のメニューコンテストには多くの在校生が参加しており、高い評価を得て
いる。
基準5 学生支援
就職・進学指導、生活面での相談、経済的側面での支援、健康管理等の体制は整っている
といえる。特に就職指導では就職支援室に十分な専任を配置するとともに、外部カウンセラ
ーによる
キャリアカウンセリングを定期的に実施するなど、個別相談重視の就職指導体制
は、有効に機能し、成果を上げている。
保護者との連携を重視した学生相談は、主としてクラス担任が受け持つが必要に応じ随時、
学科長、教務部長、校長がバックアップしている。また外部カウンセラーも適宜対応するな
ど、相談体制は評価できるものである。
経済面の支援が重要課題となっている。学費の分納・延納制度で対応するほか、外部の奨
学金の活用や教育ローンの紹介・斡旋等を積極的に行っている。働きながら学ぶことができ
る「自立進学制度」は高く評価できる。遠隔地出身者の経済的負担軽減を図るため、学生寮
を学園として保有・管理している。専門業者の「学生会館」も積極的に紹介・斡旋している。
基準6 教育環境
施設・設備は平成 22 年落成の新校舎の建設に際して、教育上の必要性に十分対応できる
よう整備されたものになっている。加えて第6校舎の改修工事も行い、ハード面の環境は一
気に整備されている。調理設備や学習機器は日進月歩であるが極力、最新設備の整備に努め
ている。
調理師科の学外実習、栄養士科の校外実習・インターンシップ、管理栄養士学科の臨地実
習・インターンシップ等を実施しているが、外部の関係機関との連携・教育体制は整ってお
り、問題はない。
「消防計画」に基づく防災組織の編成、防災訓練の実施など、防災体制は整備され、問題な
く機能している。
基準7 学生の募集と受け入れ
学生募集は広報室を設けており、担当職員が広報会議により募集計画を企画し、実行して
いる。教育内容等が理解しやすい学校案内(「入学案内」)の提供、体験入学を含めた入学相
談会の実施、随時の窓口相談、ホームページによる募集案内、高校訪問等により活発な学生
募集活動が適切に行われており特に問題はない。また、就職実績・状況、各種資格取得実績、
卒業生の活躍状況等の教育成果は冊子等により正確に伝えられている。
入学選考は学科ごとに「入学選考基準」を設け、
「入学審査会」により適切かつ公平に行わ
れている。学納金は中長期的計画に基づき理事会で決定されるが、教育内容や学生・保護者
の負担を考慮した妥当なものとなっている。
基準8 財務
本校の財務は学校法人古屋学園の一部門として取り扱われている。過去における財務経過
(法人)は校舎の建替えも重なり平成20年度期を底として厳しい状況にあったが、平成2
2年度期からは回復に向かい、以降順調に翌年度繰越超過を増やしている。少子化のなか校
舎新築負債の返済期間にあるが、中長期的に安定した財務を図っているといえる。
予算・収支計画は年度毎に各部門より事業計画に基づいた予算案が出され、評議員会・理
事会の決議を得て執行されている。
公認会計士による適切な監査が実施されており、監事による監査を経て評議員会・理事会に
て報告・意見聴取をすることとなっている。それら全てがスケジュール化され、翌年度の予
算に反映されている。
決算報告にて開示された財産目録・貸借対照表・収支計算書及び事業報告書を毎年5月末
までに作成しており、関係者からの閲覧要求があれば応じる体制をとっている。
基準9 法令等の遵守
法令や専修学校設置基準等については、毎年『養成施設指定基準に係る自己点検表』
(関東
信越厚生局)に則り適正なる遵守と運営に努めている。個人情報に関する職員への啓発活動
は、継続的・日常的に『個人情報保護法』の啓蒙を行っている。更に本校の『個人情報保護規
程』に従い、個人情報の取り扱いに特段の注意をしていることを評価する。
平成20年度から「自己点検・自己評価」を実施し、適宜公開するとともに問題の把握・
改善に役立てている。今後、評価結果のより積極的な活用と公開に努める。
基準 10 社会貢献
“地域とともに歩む”を標榜している本校は行政機関、学校、企業、業界団体及び地域との
連携・交流を積極的に行っている。本校の教育資源や施設を活用した各種の講習会・料理教
室・料理コンクール等の実施、講習会・講演会等への講師派遣、講習会への施設の開放・提供
が主たる事業であるが、地域社会への貢献度は高く評価できる。
活動時間の確保や安全面での問題から学生のボランティア活動は自主的なものとしており、
積極的な奨励・支援はしていない。今後の課題としたい。
以上
主な質疑応答等(要旨)
(有馬) ご指名ですので進行役(委員長・議長)を務めさせていただきます。ご協力をいた
だきながら進めてまいりますので宜しくお願いします。
(有馬) 資料の確認
①平成26年度 学校関係者評価委員会議事録
②
〃
自己点検・自己評価報告書
③
〃
学校関係者評価委員名簿・レジュメ
(有馬) 昨年度の取り組みの概要についてお願いします。
「平成26年度学校評価委員会検討事項に基づいた取り組み」
(髙橋) 職業実践専門課程は、平成27年度からの認定に向けて26年度から取り組んでお
り、昨年度末に認定されました。認定を受けますと要件を満たさなければ取り消さ
れますが学外実習をしないで取り消しになった学校があり、監査は大変厳しいもの
です。本課程の監査は、ホームページ等で情報公開したものを監査すると聞いてい
ます。尚、情報公開も認定要件の一つであるため、議事録を当然開示しなければな
りません。今回は、平成26年度分につき本校で自己点検・自己評価したものを、委
員の皆様に評価を得て学校運営に反映させることで、お集まりいただきました。
本日は、職業実践専門課程の認定を受けまして最初の委員会になります。昨年、委
員の方からご意見のありました、表に向けた就職先の開示、管理栄養士国家試験合格
率の学内、ホームページ上での開示、人事考課については記載方法、評価方法の見直
し、教員の研修も分野毎に実施、学内の教員研究発表(ミニ学会)、メンタル不調者
への対応として学外講師を招請し講演会の実施、教員の意識高揚を図るための「教育
現場における教員の役割」検討会、カリキュラムの見直し、本課程においては学生、
卒業生の意見を重視することから同窓会の立ち上げ等、改善に向けて教職員が一丸
となり取り組んでいます。
(有馬) 基準1から基準10まで説明いただき、意見交換をしたいと思います。
「基準1 教育理念・目的・教育人材」
(小川) 平成25年度の報告書と特に変更はない。理念、目的、育成人材像は教職員に周知
しており学外にも広く公表していることから、適正に評価して昨年より一つ評価を
上げている。
(有馬) 基準1については、昨年に比べ非常に努力しているので、評価を上げてきているの
は良く分かる。頑張っていると感じた。
「基準2 学校運営」
(小川) 教員採用については、従来の採用規定に変更がありませんので、評価の変更はない。
(服部) 客観的に自分の学校を評価していると思う。制度としては整備されているが、運用
や活用を工夫する余地もある。
(寺島) 評価、考課の結果、一定の評価を得たから一足先に昇格ではなく、評価結果と職員
数で考えさせてもらっている。
(服部) 教職員で突然辞める方がしばしば見られるのか?
(寺島) しばしばではないが、寿退職などの途中退職で一年単位の採用だと、上期に退職す
ると下期はどうするのか。問題が生じる。
(有馬) 人事面では中・長期的な採用が難しいようですが、先生方は専門性が求められてい
るので、直ぐ採用というのが難しくなっている。
「基準3 教育活動」
(小川) 教育活動については、カリキュラム委員の選出と委員会を立ち上げている。まだ充
分ではないが見直しをして、授業に反映させる。平成26年度に懸案だった学生に
よる学校評価アンケートを実施している。
資格取得の指導体制は、今後も高い評価を維持していきたい。
(有馬) カリキュラムは国である程度制約されているため、学校側の自由度が余りなく専門
性を身につけるために組み入れることがあっても、時間的にできないことがある。
(小川) 系統立てた授業が学生には理解が深まると思っているが、決められた要件がある。
例えば、必要教科の履修が終了していなければ学外実習に出せない。そこで、本校
では特色を持たせるための科目を、少しずつ組み入れるように考えている。
(服部) 他の学校にない、特色のある授業を組み入れていく魅力作りが大事だと思う。
(小川) 本校は、栄養士科も管理栄養士学科も、厚生労働省で決められた実習時間より多い
のが特色であり、次年度からは、さらに特色を見出すように考えている。
(中村) 娘が数多くの実習で学んできたことを、楽しそうに話しているのを見て、とても安
堵したことと、実習先で多くのことを学んできたと思う。現場を知って実社会にで
るので、カリキュラム編成のうえでは大変であるが実習時間は多い方がよい。
(髙橋) 学外実習は、管理栄養士の場合は4単位、栄養士は1単位と法で規定されているが、
本校は実践力を高めるため、管理栄養士6単位、栄養士2単位と、それぞれ多く学
外実習をしている。
(小川) 管理栄養士学科で必須科目の栄養教諭は、今の3年生で廃止になる。その理由とし
ましては、栄養教諭の募集が数少ないことである。廃止した部分を、基礎セミナー
として授業に組み込んで基礎学力を高めるために活用していく。
(有馬) 管理栄養士国家試験の合格率が上がってきている。先生方は相当ご苦労されている
と思うが、世間の知名度も上がっているので、今後も努力してもらいたい。
「基準4 教育成果」
(大長) 退学率の低減については、クラス担任制度を設け、きめ細かく対応しているが、学
生の気持ちを充分に聞き取ることができず退学者がでた。また、卒業生や在校生の
学外での活躍を充分把握できなかった。昨年の実績としては、情報発信が出来なか
ったこと、情報の収集が不十分であったことが反省点である。
(服部) 気になるのは退学者のことで、退学を何とか防ぐために工夫されていると思うが、
退学する理由は?
(大長) 理由の一つとしては、経済的な問題で学費が払えない。分割制度、延納制度はある
が支払いに追いつかない。二つ目は授業についていけない。三つ目はメンタル不調
者であり、これらが大きな原因である。
(服部) 授業についていけないで退学する者は、どちらかというと調理師科より栄養士科の
方が多いのか?
(大長) そうなります。
(服部) 毎年、退学は増加傾向にあるのか?
(大長) 退学者は増えていないが、諸問題を抱えている学生は増えてきていると先生方は認
識している。
「基準5 学生支援」
(小川) 学校医、産業医の業務提携ができていなかったので、今年度より双方の医師を決め
委託契約を締結した。本年12月からは、産業医として精神科医のメンタル不調者
へのサポートが義務付けられるので、学生へのサポートも含め今後詰めていく。
(大長) 学生相談は授業のことだけではなく、個別の相談も担任が分掌するも、指導室のス
ペースが充分とはいえない状況である。経済的支援は育英資金と学生支援機構の奨
学金制度を活用している学生が多数いる。奨学金とアルバイトをプラスしても支払
いの遅れる学生がおり、授業料の納入について個別相談を受けているが、それでも
滞る学生がいる。
(与島) 学生相談にのっていただいているが、経済的なこと、精神面のケア等について具体
的な相談窓口が学生に周知されていないと感じた。学費の分割制度はありがたく、
卒業までにすべての学費を納入すれば良いので幅広く受け入れてもらった。経済的
な問題では、特待生制度による対象者が、良い成績を維持するために、学業とアル
バイトの狭間のなかで悩むこともあるので、この辺を支援していただけると助かる。
(有馬) 学校の方も大変かと思うが、少しでも配慮があれば、学生のためには非常に良いの
ではないか。
(千田) 例えば、企業が二葉栄養専門学校の奨学金制度に対して、学費提供の申し出があれ
ば契約を結ぶ。その代わりに就職後3年間は企業で働くことを前提に、企業側から
学校側に奨学金を提示する方法はどうか。
(小川) 個人的には勉強したいが、親が失職や病気のために続けられないという学生はいる。
決められた年数は契約した企業で働き、その代わりに奨学金を企業から学校に支払
うことが可能であれば良い案と思う。
(手嶋) このような問題は検討してみないと即答できない。
(千田 )最低条件として、1年間の教育費を企業から学校に納める。教育費が4年間であれ
ば、全部の学費を企業側で負担する。
(熊江) 個人の将来に対する束縛になりかねないのと、実際に就職する時になり止めたとの
事例がある。奨学金の形ではなく、授業料減免との方法でも途中で逃げて行った場
合でもペナルティが課せない。事例を集めて、本当に成り立つのか充分検討しない
と危険な側面もある。
(千田) 学生すべてではなく、一人でも二人でも救済できればと思い、一つの方法として申
し上げた。協会会員に声をかけた場合に、賛成が得られるか否かはまだ分からない。
カウンセリングに関しては、カウンセラーと学生が約束をして実施し、結果について
は必要に応じて校長、担任で解決することと教わった。
(小川) カウンセリングに関しては、今度、精神分野の産業医を入れることにしております。
メンタル不調の学生に対しては、本人の意思で自由にさせるべきで、学校側でフィー
ドバックする必要もない。カウンセリングの場所も考えているが、個人的には学外の
方が良いと思っている。
メディカル給食協会から申し出のあった、企業からの奨学金提供について問題点を
解決し、できる範囲で活用できるものなら考えたい。その他に思慮していることは、
栄養士科から管理栄養士学科、管理栄養士学科から栄養士科への編入のことである。
カリキュラム編成が大変ではあるが、この制度を実現することにより経済的なこと、
学力的なこと、学業意欲等の向上等が改善されるのであれば、退学者を食い止める手
段となるのではないかと希望をもっている。
(有馬) 二葉栄養専門学校には、編入制度がないのか?
(小川) 栄養士科2年を卒業し、調理師科に入る学内進学はあるが、栄養士科、管理栄養士
学科間の編入はない。編入制度を新設するには、文部科学省や厚生労働省へ届出が
必要になる。
(有馬) 栄養関連ではない。カリキュラムの問題だけである。
(小川) カリキュラムの見直しだけで可能か?
(手嶋) 定員の変更がある。
(有馬) 定員に対し、10%以上在籍している時に編入させると違法になる。
(小川)
定員の縛りがあっても、編入が可能であれば、留年、休学などの問題で幅が取れ
る。
(服部) 入学してみたら理数系の授業についていけない、との学生がいるようであるが、授
業に向いていない人は、資格を取るのが難しいことを伝えているか。
(髙橋) 入試面接では言っているが、高校では化学が選択科目になっており選択する学生が
少ないので、入学が決定した段階で基礎知識を教育することにしている。
(服部) 経済的な問題、精神的なこと、勉強の能力的な問題も早く手を打つ必要がある。早
くしなければ問題解決がますます難しくなる。学生の悩み、苦しみなどのシグナル
を早く察しなければならない。
(熊江) 遅刻・欠席が重なる場合は、複数名の教員と学生とで面談を行い、その理由を聞い
た上で対処している。欠席が多くなってきた場合には、留年することも視野に保護
者に郵送で現状を知らせ、協力要請をしている。
(有馬) 調理師科の方で何かあるか。
(猪狩) 経済面からアルバイトをする学生が多くなっているので、遅れないように指導して
いる。勤務しながら勉強している進学就職の者は、企業にお世話になっているので、
その点はある程度考慮している。遅刻、欠席者については特に問題ない。
「基準6 教育環境」
(大長) 施設環境については、前年と変わらない。学外実習については、改善する余地はあ
ると思っている。その一例として、実習先の企業から勉強不足との報告を受けるこ
ともあり、学校としての反省と改善が求められている。
(服部) 実習依頼先の拡大が急務とあるが、実習依頼先を探すのは大変か?
(大長) 依頼施設はある程度確保しているが、どの分野で実習させるかの割り振り、自宅と
実習さきの距離、実習の時期、意欲などを総合的に判断し調整するのが大変である。
(服部) 実習を通して自覚していくので、とても大事だと思っている。準備は大事であるが、
学生にとっても、企業にとっても互いにプラスになる。
(有馬) 学校で種々検討し、学生の要望を汲み取りいい方向にいってくれれば良いと思う。
「基準7 学生の募集と受け入れ」
(山口) 学生の募集に関しては、体験入学、入学相談会を年間30回行っている。各科にお
願いし実験、実習、各料理など参加型の実習などを学生に選んでいただき、豊富な
内容を用意してある。個別相談に力を注いでおり、きめ細かく対応している。AO
入試が多くなっているが、学生が勝手に受けるのではなく、高校の先生と連携を図
り、推薦していただくようにしている。
(有馬) この回数は相当大変ではないか?
(山口) 夏休みに入る7月から 8 月にかけては、学校を上げて実施しています。
(有馬) 学生募集については評価が高く、自信をもって活動しているのが目に見える。
これを継続し、学校経営も良い方向に進むようご努力いただきたい。
(服部) 学校が吉祥寺駅の傍にあり、環境も良く場所的には有利なところにある。こんな立
地条件の良いところで、学生が集まらなかったらおかしい。学生が集まらなければ
教職員の責任である。教育内容を良くすれば必ず学生は集まる。
「基準8 財務」
(寺島) 私立専門学校の財務面を見るとき3つの指標がある。一つ目は収入に対する支出で、
昨年度はほぼ平均値。昨年度までは中期5ヵ年計画の仕上げの年で、設備面の投資
を積極的に行った。したがって、27年度以降は平均値よりも下がるとみている。
二つ目は人件費比率であるが、平均値を下回っている。三つ目は総資産に対する借
入金の割合である。全校平より平均高いが、金融資産と預貯金を合わせると借入金
より上回っている。実質的には無借金まできている。10年後にはすべての借入金
の返済が終わるので、健全な財務体制を目指していける状態である。
(有馬) 健全経営をしなければ学生にも影響がでる。財務的なことでご努力をお願いしたい。
「基準9 法令の遵守」
(髙橋) 専修学校設置基準に関しましては、変更があればチェックしている。本年度から調
理師科2年養成の認可を受けまして、学則の変更をし教職員に対し周知している。
設置基準は遵守しないと監査で指摘をけるので、間違いのなきようにしなければな
らない。個人情報保護法については、本校に保護規定もあり厳しく対応しておりま
す。USB メモリーも学生名が入っている物は持ち出し禁止を徹底している。職業実
践専門課程における自己点検・自己評価は学内委員において討議しているところで
あるが、四半期に一度位は目を通すべきだろうと思っている。尚、職業実践専門課
程につきましては必要項目を情報公開する。
「基準10 社会貢献」
(大長) 社会貢献するために、ハード、ソフト、人的資源、ボランテアについては外に発信
して、施設の貸与、研修会などへの教員、講師の派遣、また、学内の施設を使って教
員が社会貢献するのは充分可能である。ボランテアは授業の関係から学生の意思に
まかせているのが状況である。
「全体を通しての意見」
(服部)
冒頭に理事長が話された、創立80周年を迎えられたということは、この地で発
展し続け地域に根ざした地域交流。さらに、学校から地域に出て行き先生も生徒も
学校の良さをアピールしていただきたい。又、近くの高校と交流し積極的に先生、
学生をお呼びする機会を作ることが必要である。
(千田)
人材不足においてご苦労されているとお聞きしているので、協会としてもお手伝
いさせてもらう。
(中村) 食の安全・安心問題で騒いでいるので、学校、学生、企業ではなく、食材を扱う者
として少しでも支援したい。
(与島) ここに入学する学生は、大学ではなく敢えて専門学校を選んで来ている学生がほ
とんどである。学校を辞める学生がいるのは在学中から感じていたが、入ったから
には自信をつけて卒業したいし、メリットを感じられるような、新しい試みをして
もらいたい。
(有馬)
これをもちまして、学校関係者評価委員会を終了いたします。本日は有難うござ
いました。