亀ケ崎小学校 校長通信「子どもを見つめて」15号 平成27年8月20日 校長 大谷 智之 クーラーと暗唱 < 7 月のある日> この日は、通知表配付。保護者の方が校長室を訪れる場合もあるかとクーラーを入 れていました。学校では、日々様々なトラブルが発生しています。この日も放課後に 2 名の男子が校長室に来て、私から話を聞かれることになっていました。 2 名の男子が、クーラーのきいた校長室にくるなり、 「あ~~~涼しい。俺、校長先生になろうかな。」 と、つぶやきました。ぜひともなって欲しい、校長に。 あまり校長室にクーラーは入れずにきたのですが、クーラーを入れてるだけで校長 先生を目指すのであれば、校長室にもっとクーラーを入れようと思いました。 < 7 月のある日> 最近、ネームプレートやそうじのみじたくを忘れると、正直に校長室に断りにくる 子どもたちがいます。以前は、ネームプレートをつけてなくても平気、そうじの時に みじたくをしてなくても平気ということが多く、放送で呼び出し、話を聞いたことが 何度かありました。それから、しばらくして、自分から校長室に断りに来る子どもが 増え始めたのです。 「正直に断りに来たので、よろしい。明日は必ず、もってくるように。」 と話して、返すようにしています(もっと別のことを言う場合もあるし、何年生でし たっけといやみの一つも言うことが多々あります)。 この日も、校長室前の廊下は、すでにそうじが始まっていました。そうじが始まっ てから「みじたく忘れ」を断りに来た子どもがいたのです。きっと、同じそうじの班 の友達から校長室に断りに行くように言われたのでしょう。子どもが校長室に入ろう と、校長室の戸を開けた瞬間、ちょうど、廊下をふきそうじをしている子ども通りか かりました。 「あ~~~涼しい。」 と言って、校長室の中を見て、にやりと笑ったのでした。 < 7 月のある日> 保健室に行ってみると、具合の悪そうな子どもたちがいる。気温も高い。 「保健室に、クーラー入れてはどうですか?」と私。 「さきほどまで、クーラーを入れていたんですけど、保健室に用事の無い人がたくさ ん来てだめだったので、消したんです。」と保健の先生。子どもたちは、涼しいとこ ろを見つけるのが得意である。 < 7 月のある日> 「聞いて下さい。」 と言って、女の子2人が来て差し出したのは新聞大魔王の「論語」の一文だった。だ いぶ前に配布したプリントだったので、もう誰ももっていないだろうなと思ったら、 まだ大切にもっていてくれたのだった。もう一人の女の子は、 「プリントがないんだけど、言えるので聞いて下さい。」 そう言うと、論語の一文を暗唱してくれた。 < 7 月のある日> 百人一首を競い合いながら、覚えている女の子が二人いる。一人が覚えると、負け てたまるかともう一人の女の子が覚える。二人とも、現在 15 首まで覚えている。 「夏休み中は、校長先生聞いて下さいと来ても聞きませんから、家で覚えて、始業式 の日にまとめて言って下さいね。」 と話した。 < 7 月のある日> 宮沢賢治の作品や平家物語や寿限無等、様々な文学作品を覚えている学年がある。 時々、校長室にきて、覚えた作品を聞かせてくれる子どもがいる。この日も、二人の 女の子が校長室に来て、覚えた作品を聞かせてくれた。 「最初の部分だけでなく、自分の好きな作品を最初から最後まで暗唱してみたら?」 と言ってみたけれど、やるとは言わずに、にこにこしているだけでした。残念。 < 7 月のある日> 何人もの女の子が校長室にやってくると、 「ピンクの紙下さい。ピンクの紙。」 何のことを言っているかと思ったら、百人一首が 5 首ずつ書いてある紙のことでした。 圧倒されそうな勢いです。現在、子どもたちに配っているのは、百人一首が 5 首ずつ 書いてある紙、4 種類。つまり、20 首分を配布しています。 「これは、百人一首を覚えたいという人にあげているので、宿題ではありません。」 というと、 「宿題じゃないんだー。」 それなら、いらないという雰囲気が校長室に漂いました。無理矢理覚えさせられる宿 題だと思ったらしいのです。 「その紙、全部もらいます。」 と一人の女の子が言うと、 「じゃあ、私は一枚だけ。」 と、何人かの子どもが続けてもらいました。 小さいときに覚えたことは、忘れにくいものです。覚えるには、最適な時期があり ます。その時期を逃すと、覚えるのに苦労します。私は、大人になってから百人一首 と出会ったので、好きな百人一首しか覚えていません。大会に出るわけでもないので、 自分の好きな歌と出会えるだけでもいいのかな、と言う気持ちで百人一首と接してい ます。私の好きな百人一首。 ・かささぎの渡せる橋に置く霜の 白きを見れば夜ぞ更けにける ・天の原ふりさけ見れば春日なる 三笠の山にいでし月かも ・人はいさ 心も知らずふるさとは 花ぞ昔の香ににほいける
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