8 社会や国への意識

8
社会や国への意識
1)社会や国に対する考え方
「まあそう思う」と
「自国で暮らすことに満足している」の問いに対して、「とてもそう思う」
回答した者の割合は、日本が4か国中最も高い。
「いまの社会は貧富の差が大きい」「自国は競争
が激しい社会である」
「外国の生活に憧れている」の問いに対しては、日本は4か国中最も低かっ
た。一方、
「国のために尽くすことは大切だ」
「国の発展は私個人の発展とつながっている」
「自国
の未来は明るい」との問いに対しては、日本は4か国中最も低い。
「いまの社会は公正だ」
「自分の国に誇りをもっている」など、11 項目を挙げ、
「とてもそう思
う」
「まあそう思う」
「あまりそう思わない」
「全くそう思わない」の4段階で尋ねている。
図 8-1 では、各項目に「とてもそう思う」と「まあそう思う」と回答した者の割合の合計を4
か国で比較している。各項目は、日本の割合の大きい順に並べてある。これを見ると、日本の高
校生は、
「日本で暮らすことに満足している」と回答した者の割合が4か国中最も高かった。その
一方で、
「いまの社会は貧富の差が大きい」
「日本は競争が激しい社会である」
「外国の生活に憧れ
ている」
「国のために尽くすことは大切だ」
「国の発展は私個人の発展とつながっている」
「日本の
未来は明るい」と回答した者の割合が4か国中最も低かった。なお、
「自分の国に誇りをもってい
る」については、中国に次いで高かった。
米国で「とてもそう思う」「まあそう思う」と回答した者の割合が高いのは、「努力しても必ず
しも報われない」
「自国で暮らすことに満足している」
「いまの社会は貧富の差が大きい」であり、
いずれも8割強を占めている。
中国は、
「自分の国に誇りをもっている」
「国のために尽くすことは大切だ」
「国の発展は私個人
の発展とつながっている」
「自国の未来は明るい」
「いまの社会は公正だ」といった項目について、
「とてもそう思う」「まあそう思う」と回答した者の割合が際立って高い。一方、「いまの社会は
貧富の差が大きい」
「自国は競争が激しい社会である」と回答した者の割合も9割を超えている。
韓国は、
「お金があれば望みはかなう」について、
「とてもそう思う」
「まあそう思う」と回答し
た者の割合が際立って高く、日米中3か国を大きく上回った。その他に、
「いまの社会は貧富の差
が大きい」「努力しても必ずしも報われない」「自国は競争が激しい社会である」と回答した者の
割合も9割前後に達している。一方、「自国で暮らすことに満足している」「自分の国に誇りをも
っている」
「いまの社会は公正だ」といった項目では、他の3か国と比べてきわめて低い水準に止
まっている。
30
30
81.9
81.9
自国で暮らすことに満足している
54.8
91.5
75.0
81.4
いまの社会は貧富の差が大きい
73.1
67.0
自分の国に誇りをもっている
87.7
41.1
68.1
努力しても必ずしも報われない
86.1
61.6
85.5
66.6
自国は競争が激しい社会である
79.1
91.5
55.2
73.4
国のために尽くすことは大切だ
71.5
50.6
外国の生活に憧れている
94.4
95.6
58.7
48.2
43.9
お金があれば望みはかなう
93.4
92.7
83.5
日本
67.3
58.1
63.5
米国
43.0
48.7
国の発展は私個人の発展とつながっている
47.5
31.8
自国の未来は明るい
韓国
49.8
88.2
33.1
31.3
27.5
いまの社会は公正だ
11.2
0%
20%
40%
中国
76.8
55.3
60%
80%
100%
図8-1 社会や国に対する考え方
(「とてもそう思う」「まあそう思う」と回答した者の割合
2)成功の要因
「人柄がよいこと」が日本、中国、韓国で
「努力すること」が、4か国とも1位となっている。
2位となっているのに対し、米国では、
「高い学歴をもっていること」となっている。
社会で成功するために何が重要だと考えているのかを探るため、10 項目を挙げ、2つまで選択
してもらった。図 8-2 はその結果を示したものである。日本は、
「努力すること」
「人柄がよいこ
と」の割合が5割を超え、他の3か国に比べて高い。特に「人柄がよいこと」の割合は 51.5%と
米中韓を2割弱も上回っている。3位の「運に恵まれること」の割合は2割弱であるが、他の3
31
31
か国に比べると際立って高い。一方、
「高い学歴をもっていること」
「お金があること」
「有力なコ
ネをもっていること」の割合が、米中韓の3か国に比べて低くなっている。
米国は、
「努力すること」
「高い学歴をもっていること」がベスト2となっているが、いずれも
4割台に止まっている。
「家族に恵まれること」は1割強であるが、日中韓に比べて高い。一方、
「運に恵まれること」
「生まれもった才能があること」の割合は、日中韓の3か国に比べて低い。
中国は、1位の「努力すること」が日本と並び7割弱の高率であるが、2位の「人柄がよいこ
と」の比率は3割台で、1位との差が大きい。3位は「生まれもった才能があること」であり、
日米韓の3か国に比べて高くなっている。
韓国のトップ2は、日本と同じく、
「努力すること」と「人柄がよいこと」である。3位の「お
金があること」の比率が3割弱で、他の3か国に比べて高い。また、
「有力なコネをもっているこ
と」の比率も2割を超え、日米中の3か国に比べて高い。
以上のように、成功の要因として、
「努力」と「人柄」が4か国ともに高く支持された。そのほ
かに、日本は「運」
、米国は「高学歴」、中国は「生まれもった才能」、韓国は「お金」と「コネ」
の回答率も相対的に高かった。
68.6
44.3
努力すること
68.0
54.7
51.5
31.9
34.9
34.7
人柄がよいこと
17.1
3.2
運に恵まれること
9.0
9.8
10.8
健康であること
10.9
16.2
13.0
5.6
生まれもった才能があること
15.2
19.0
25.3
9.9
高い学歴をもっていること
7.9
お金があること
4.8
米国
24.0
8.1
家族に恵まれること
日本
40.7
17.9
14.7
27.2
中国
14.6
4.8
4.9
3.1
有力なコネをもっていること
8.5
韓国
15.0
22.7
2.2
3.6
2.9
0.7
その他
0%
10%
20%
30%
40%
図8-2 社会で成功するために重要なこと(2つまで)
32
32
50%
60%
70%
80%