電動バイクづくりで県内学生と地元企業とをつなぐ

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電動バイクづくりで県内学生と地元企業とをつなぐ
「スマコマながさき電動バイクコンテスト」
ものづくりを通じて長崎県内の学生と地元企業との交流を深めよう、という地元企業のアイデ
アから生まれた「スマコマながさき電動バイクコンテスト」の第2回目の大会が昨年(2015年)
11月8日、長崎市のあたご自動車学校で開催され、高校生、大学生が競技に取り組んだ。スマコ
マ(SMACMA) と
は、「Small and Medium enterprises and Academia Collaboration
Manufacturing」の略で、“中小企業と学生によるものづくり交流”の意味である。
本県の最重要課題は“若者の県外流出”であり、その抑制には地元就職の促進が欠かせない。
そこで、地元製造業・信栄工業㈲の樫山和久社長が注目したのが、県内の学生と地元企業にもの
づくりを通じて交流してもらう機会を早い段階から増やし、若者の目を地元企業やその技術に向
けてもらうことである。そのための仕掛
けとして、地元中小企業と学生が電動バ
イクを共同製作しその性能を競う「電動
バイクづくりコンテスト」を発案した。
この取り組みは、産・学・官・金の協力
を得て「スマコマながさき実行委員会」
(委員長:樫山氏)の立ち上げに繋がり、
2014年に第1回の大会実施に漕ぎ着けた。
コンテストの仕組みは
コンテストに参加する各学生チームは、スマコマながさき実行委員会から3カ月前(8月)に
配布される電動化部品を使用して、設計からバイクの外観、車体のバランスやクラクションなど、
各部品に工夫を凝らし、地元企業からのアドバイスを受けて製作する。ただし、バッテリーや
モーター、コントローラーなどの改造は認められていない。
競技は、学生が企業の協力を得て作り上げた電動バイクを持ち寄り、走行コンテストを行って
性能を競うことになる。「2輪の部」では大学生・高校生からなるチームがフリー走行によるタ
イムトライアルや一本橋走行を行い、
「3輪・4輪の部」では、高校生のチームがタイムトライ
アルに加え、消費電力量や登坂力、操縦の安定性について競う。
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ながさき経済 2016.3
ト ピ ッ ク ス
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電動バイクづくりで県内学生と地元企業とをつなぐ「スマコマながさき電動バイクコンテスト」
参加チームは
2014年に開催された第1回目の大会には、学生側から長崎大学5チーム、長崎総合科学大学2
チームの計7チームが参加し、県立大村工業高校の1チームがオブザーバーとして参加した。一
方、企業側はイサハヤ電子㈱と信栄工業㈲が協力した。
そして、2回目となる今回は、学生側が長崎大学3チーム、長崎総合科学大学2チーム、県立
大村工業高校と県立佐世保工業高校から各2チーム、県立鹿町工業高校から1チームと、合計10
チームが参加、協力する地元企業も1回目の2社に宮本電機㈱が加わり3社となるなど、参加チー
ム・企業も増えてきている。
参加した学生は
コンテストに参加した学生のコメントをみると、優勝したチームは「今大会には、前回の反省点
を踏まえて臨みました」としており、また、他チームからは「普段の授業では使わない機械を使
う機会を得られ、応用力を身に着けることができた」、「学校の文化祭で、コンテスト出場用に製
作した電動バイクに子供たちを乗せたところ、大変喜んでもらった」、「校内にあった廃材をうま
く利用できた」との声が聞かれるなど、学生の能力や技術を高めることに一役買っているようだ。
スラローム走行
フリー走行
一本橋走行
今後に期待
スマコマながさき実行委員会の樫山委員長は、「電動バイクの製作を通して研究・開発するテー
マはまだあり、長崎発の技術を創り出したい。コンテストは16年も引き続き開催する」と語って
いる。また、この取り組みは、若い人材による新たな技術創出で、長崎の製造業の発展にも寄与
することも視野に入れており、学生や地元企業の参加はまだ多くはないが、今後、注目度が増し
ていくことが期待される。
(橋口 不二郎)
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