12/15/2006 Ver. 2.00 産業エネルギー政策論 日時: 教室: 第十一回講義 「自由化」に向けて -国際経済体制への復帰 北海道大学公共政策大学院 倉田 健児 [email protected] 国際経済体制への復帰 1955年 1964年 • GATT加盟 • IMF8条国に移行 – 自由貿易の原則 – 為替取引に対する制限の禁止 • OECDに正式加盟 – 国際資金移動に対する制限の 撤廃 • GATT35条援用の撤回 – 対日貿易差別の解消 © kenji kurata 2006 北海道大学公共政策大学院 倉田 健児 2 自由化を巡る国際情勢-1 • 1948 ヨーロッパ経済協力機構 (Organization for European Economic Cooperation: OEEC)設立 – OEEC域内での自由化の開始 • 1950 ヨーロッパ支払同盟(European Payments Union: EPU )設立 – 多角的決済制度の創設 © kenji kurata 2006 北海道大学公共政策大学院 倉田 健児 3 自由化を巡る国際情勢-2 • 1958 ヨーロッパ経済共同体(European Economic Community: EEC) • 1958 通貨の交換性の回復 • 1960 ヨーロッパ自由貿易連合(European Free Trade Union: EFTA) © kenji kurata 2006 北海道大学公共政策大学院 倉田 健児 4 自由化率の推移 58 EEC設立 100 60 EFTA設立 48 OEEC設立 64 GATT8条国移行 自由化率(%) 80 60 OEEC域内 自由化率 50 EPU設立 40 20 OEEC対ドル 自由化率 日本の 自由化率 55 GATT加盟 19 67 19 69 19 71 19 73 19 75 5 19 6 63 19 61 19 59 19 57 19 55 19 53 19 51 19 49 19 47 19 19 45 0 出所:経済財政白書及び通商白書の各号に基づき作成 © kenji kurata 2006 北海道大学公共政策大学院 倉田 健児 5 貿易為替自由化計画大綱(1960)-1 • 貿易面 – 自由化率(自由化品目が輸入通関総額(政府輸 入物資を除く)に占める比率)の向上 – 35年4月の41%から、3年後に約80%(石油、石 炭を自由化した場合は90%)に引き上げ • 為替面 – 経常取引を2年以内に原則として自由化 – 資本取引の規制も漸次緩和 © kenji kurata 2006 北海道大学公共政策大学院 倉田 健児 6 貿易為替自由化計画大綱(1960)-2 • 早期に自由化すべきもの – 普通鋼鋼材、民生用電気機器、船舶、原綿 • 近い将来(3年以内)に自由化すべきもの – 石油、特殊鋼、工作機械、塗料 • 所用の時日後に自由化すべきもの – 乗用車、重電機、産業用電子機器、尿素、技術開発途上の 機械・工作機械、パルプ、ウィスキー、ワイン、皮革製品 • 自由化困難 – 硫黄、バナナ、パイナップル缶詰、砂糖、酪農製品、小麦 © kenji kurata 2006 北海道大学公共政策大学院 倉田 健児 7 貿易自由化の推移 100 500 自由化率(%) 80 60 鋼材 バス トラック 400 300 電子計算機周辺装置 乗用車 40 集積回路 200 電子計算機 20 輸入制限品目数 輸入制限品目数 100 自由化率 カラーフィルム 0 19 50 19 52 19 54 19 56 19 58 19 60 19 62 19 64 19 66 19 68 19 70 19 72 19 74 19 76 19 78 19 80 0 出所:安場安吉、猪木武徳編 『日本経済史8 高度成長』 p.234 表5-8 及び経済財政白書、通商白書の各号から作成 © kenji kurata 2006 北海道大学公共政策大学院 倉田 健児 8 平均関税率の推移 30 80 平均関税率(全輸入) 25 平均関税率(有税品輸入) 70 有税品輸入率 20 50 15 40 30 10 有税品輸入率(%) 平均関税率(%) 60 20 5 10 0 19 4 19 6 4 19 9 5 19 2 5 19 5 5 19 8 6 19 1 6 19 4 6 19 7 7 19 0 7 19 3 7 19 6 7 19 9 8 19 2 8 19 5 8 19 8 9 19 1 9 19 4 9 20 7 0 20 0 03 0 出所:大蔵省(財務省) 『財政金融統計月報』 © kenji kurata 2006 北海道大学公共政策大学院 倉田 健児 9 有税品の平均関税率(品目別) 化学品 15 機械類 平均関税率(%) 食品類 10 5 0 1973 1975 1977 1979 1981 1983 1985 1987 出所:大蔵省 『財政金融統計月報』 © kenji kurata 2006 北海道大学公共政策大学院 倉田 健児 10 経済協力開発機構(OECD) • 1961年に、OEEC加盟国にアメリカ、カナダを 加えて設立 • OECDの目的は以下の三つ – 財政金融上の安定を維持しつつ、経済成長を達 成 – 発展途上国の経済発展に貢献 – 世界貿易の多角的、かつ、無差別な拡大に貢献 © kenji kurata 2006 北海道大学公共政策大学院 倉田 健児 11 資本自由化に対しての考え方 • 商品の自由化と異なり、日本の資本力は脆弱であることから、 対策が必要 • 一方で、国際経済社会に加入した以上は避けられず、これに 耐え得る体質強化が必要 • 外資による過度の業界支配を避ける • 漸進的、計画的な自由化 • 積極的に業界の体制整備、体質改善 出所:通商産業省 『資本取引の自由化に対する考え方について(1966年6月16日)』 © kenji kurata 2006 北海道大学公共政策大学院 倉田 健児 12 資本自由化の推移 • 1967年以降1973年まで5次に分けて実施 • 1973年の第5次資本自由化により、例外5業種を除 き、自由化を達成 – 農林水産業、石油業、皮革・皮革製品製造業、店舗数11超 の小売業 →個別審査対象業種 – 鉱業、店舗数11以下の小売業 →50%自由化業種 • 「戦略産業」は別スケジュールで – 71自動車、 74集積回路、75電子計算機、76情報処理 © kenji kurata 2006 北海道大学公共政策大学院 倉田 健児 13 貿易収支の推移 400 150 輸出 100 輸入 収支 50 1991 1986 1981 1976 1971 1966 1961 -100 1956 0 1951 100 1946 輸出入額(BUS$) 200 0 収支(BUS$) 300 -50 -200 -100 -300 -400 -150 出所:日本銀行 『経済統計年報』 © kenji kurata 2006 北海道大学公共政策大学院 倉田 健児 14 国際収支の推移 150 経常収支 100 長期資本収支 1991 1986 1981 1976 1971 1966 1961 1951 1946 BUS$ 0 1956 基礎的収支 50 -50 -100 -150 出所:日本銀行 『経済統計年報』 © kenji kurata 2006 北海道大学公共政策大学院 倉田 健児 15
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