あ と が き 今年は,この「保育専門講座」を担当して4年目に当たりました。思い返してみると, 担当者になりたての頃は,それまで小学校教育が専門だったため,幼稚園の保育は大変難 しく,どこをどうとらえてよいのか戸惑うばかりでした。 一昨年の春,ある一冊の本に出会いました。そのことで,状況が一変したのです。それ まで,教育書は,つまみ食いで必要なところだけ読んでいました。が,その本は,全部一 気に読み終えてしまいました。 そ れ は , 福 島 大 学 人 間 発 達 文 化 学 類 教 授 , 大 宮 勇 雄 先 生 の 著 :「『 学 び の 物 語 』 の 保 育 実践」です。子どもを肯定的に見るとはどういうことか? 子どもを大切にする保育の視 点,子どもを見取る5つの評価視点:「何かに関心をもったとき」 「 熱中しているとき」 「困 難 に 立 ち 向 か っ て い る と き 」「 自 分 の 考 え や 気 持 ち を 表 現 す る 行 動 」「 人 の 立 場 か ら 見 よ うとする行動」など,具体的に記されていて分かりやすく,すとんと腑に落ちました。 その後,この講座の保育研究のため幼稚園に出かけると,子どもたちが,鮮明に目に映 り身近に感じられ,その行動の意味が理解でき,教師がどう触れ合えばよいかが分かった のです。小学校在職中にこの書に出会っていれば,もっともっと子ども観が変わっていた かもしれません。 ま た , 4 年 間 こ の 講 座 を担 当 さ せ て い た だ い て強 く 感じ た こと は,「好 き なこ と や得 意 なこと,熱中できることや秀でた才能など,幼児一人一人みんなに“その子ならではのよ さ ” が あ る 。」 と い う こ と で す 。 言 う ま で も あ り ま せ ん が ,「 子 ど も た ち を , 常 に 温 か い 目と心,つまり,プラス思考で愛情たっぷりに保育に当たり,その子のよさをとらえられ るか が 鍵 で あ る。」 と い う こ と です 。 子 ど も た ち の心 の ベク ト ルが 上 を向 き ,活 動 が無 尽 蔵に豊かに広がるか,はたまた,心のベクトルが下をむきしぼんでしまうか,鍵は,教師 の手の内(力量)にあることを実感しました。 「 結 果 の 出 せ る プ ロ の 教師 」 を め ざ し て 実 施 され た 「保 育 改善 専 門講 座」。ほ め られ る どころか,あえて欠点を指摘されてどう改善していくかその方策を探るというハードな研 修。そこに挑もうとした川合恵美先生,青山千晃先生の真摯な研修意欲に敬意を表します。 と同時に心から拍手を送りその労をねぎらいたいと思います。 「菜の花」は,「冬の寒さに充分当てないと春になっても花が咲かない。」と言います。 受講生お二人の先生方にとって,この講座が,菜の花にとっての寒さに値し,先生方が将 来,大きく花開かれることを期待しております。 最後に,本年度の「保育改善専門講座」の運営にかかわってくださった全ての方々に, この場をお借りして感謝申し上げます。ありがとうございました。 平成28年 2月 講座担当 福島市教育実践センター - 35 - 指導員 伊藤 きみ子
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