第13回日本乳癌学会東北地方会 「教育セミナー 治療部門」

2016.03.05 仙台国際センター
第13回日本乳癌学会 東北地方会
「教育セミナー 治療部門」
東北大学 腫瘍外科
宮下 穣
症例 1
58歳 女性
既往歴・合併症:特になし
乳検MMGで右石灰化を指摘され精査
US:右C領域に40mmの腫瘤非形成性病変, 内部点状高エコーを伴う
MRI:右C領域にsegmental, non‐mass‐like enhancement, 40mm大
CNB:DCIS, ER(80%), PgR(30%), HER2(0), Ki67(20%), Grade 2
cTisN0M0
乳房温存手術を希望されている
Q1:術式はどうしますか?
1. 乳房部分切除術
2. 乳房部分切除術 + 腋窩センチネルリンパ節生検
3. 乳房部分切除術 + 腋窩リンパ節郭清
4. その他
手術施行
病理結果:DCIS, pN0, Grade2, ER(80%), PgR(30%), HER2(0), Ki67(20%)
切除標本マッピング
切除範囲
乳頭側
乳頭側最終断端に乳管内癌が露出
Q2:追加治療はどうしますか?
1. 経過観察
2. 温存乳房に対する放射線療法
3. 再乳房部分切除術 →温存乳房に対する放射線療法
4. 乳房切除術
5. その他
Q3:術後内分泌療法を行いますか?
1. 無し
2. タモキシフェン
3. アロマターゼ阻害剤
4. その他
術後5年目,右A領域に15mm大の腫瘤出現
→CNB:IDC, ER(80%), PgR(0%), HER2(0), Ki67(30%), Grade2
全身検索の結果:
病変は右A領域の腫瘤のみ
腋窩リンパ節・遠隔転移無し
Q4:治療方針はどうしますか?
1. 再乳房部分切除術
2. 乳房切除術
3. 非手術、薬物治療
4. その他
手術施行
病理結果:
IDC, 15mm, pN0, ly0, v0, Grade2, ER(80%), PgR(0%), HER2(0), Ki67(30%)
Q5:術後薬物療法はどうしますか?
1. 内分泌療法5年間
2. 内分泌療法10年間
3. 化学療法 → 内分泌療法5年間
4. 化学療法 → 内分泌療法10年間
5. なし
症例 2
68歳女性
既往歴・合併症:特になし
左乳房AC境界に4.8cm大腫瘤
左腋窩には少なくとも3個の転移リンパ節を認める
CNB:IDC, ER(100%), PgR(20%), HER2(2), FISH(1.6), Ki67(20%), Grade2
cT2N1M0
現段階では整容性から乳房切除術の適応
ご本人は乳房温存手術を希望されている
Q1:術前治療はどうしますか?
1. 術前化学療法
2. 術前内分泌療法
3. 手術先行(乳房切除術)
4. その他
術前薬物治療 → 左Bp+Ax
病理:
IDC, 25mm, pN1(3個),Grade2,
ER(100%), PgR(20%), HER2(2), FISH(1.6), Ki67(15%)
Q2:放射線療法はどうしますか?
1. 温存乳房
2. 温存乳房, Sc
3. 温存乳房, Sc, Ps
4. その他
放射線療法施行
アロマターゼ阻害剤内服
4年後(72歳)に再発
肝転移2cmが3個, 肺転移1cmが4個
肝転移巣生検: IDC, ER(100%),PgR(20%), HER2(3)
自覚症状無し
血液検査・心機能異常なし
Q3:再発1次治療で薬剤を選択する際に考慮する因子は?
1. 全生存期間, 無増悪生存期間
2. QOL
3. 患者年齢
4. PS
5. 経済面
6. その他
Q4:どの治療を選択しますか?
1. トラスツズマブ + ペルツズマブ + 化学療法
2. T‐DM1
3. トラスツズマブ + 化学療法
4. トラスツズマブ + 内分泌療法
5. 化学療法
6. 内分泌療法
7. その他
トラスツズマブ + ペルツズマブ + パクリタキセルを6コース施行
肝転移・肺転移はいずれもPR
その後, 末梢神経障害の増悪を認め, トラスツズマブ + ペルツズマブのみで継続
計12コース施行後に, 肝転移・肺転移が再増悪
Q5:どの治療を選択しますか?
1. トラスツズマブ + ペルツズマブ + 化学療法
2. T‐DM1
3. トラスツズマブ + 化学療法
4. トラスツズマブ + 内分泌療法
5. 化学療法
6. 内分泌療法
7. その他