機器分析学I 期末試験(問題は裏面にもある) 2015/2/10 1 以下の文はそれぞれ正しいか誤りがあるか。解答欄に正しい場合には○、誤っている 場合には を記入せよ。 a) マススペクトルの窒素ルールから考えると、フラグメントイオンの整数 m/z が偶 数であれば、そのフラグメントイオンには窒素が奇数個含まれている。 b) IR スペクトルの吸収強度は官能基の存在比に比例するので、IR スペクトルは反応 における転化率の算出に適している。 c) α,β-不飽和カルボニル化合物の C=O は、飽和カルボニル化合物の C=O よりも長 波長の赤外線を伸縮振動により吸収する。 2 以下の波長を波数に変換せよ。有効数字が 4 桁の cm-1 で解答すること。 (a) 0.000003145m (b) 5.620 µm 3 以下の化合物の IR スペクトルには、どの領域に吸収が観測されるか。官能基と吸収位 置の組み合わせを可能な限り挙げよ。 (a) (b) OH NO2 H2N O 4 ブロモベンゼンのマススペクトルには、分子イオンに由来するピークが 2 本観測され る。以下の問いに答えよ。 a) この 2 本のピークの m/z をそれぞれ整数で答えよ。 b) この 2 本のピークのおよその強度比を答えよ。 5 マススペクトルで分子イオン(M+)が 80 である化合物に対して、できるだけ多くの可 能な分子式を書け。ただし、CとHを必ず含むが、OおよびNは含まれるかも知れな いし、含まれないかも知れないとすること。 6 以下の 2-メチル-2-ペンテンのヒドロホウ素化-H2O2 酸化は、条件によって 2-メチル-3ペンタノール、もしくは 4-メチル-1-ペンタノールが生成する。どちらが生じているか を確認するにはどんな分析で、何を確認すればよいか説明せよ。本講義で用いたいか なる解析方法を用いても良い。 1. BH3, THF 2. H2O2, OH- or OH OH ? 7 右の化合物のアシル開裂および McLafferty 転移によって生じると 考えられるフラグメントイオンの構造とそのm/zを全て書け。 O 8 以下のスペクトルを示す化合物を書け。ただし、この化合物の構成元素となり得るの は C,H,O,N,Cl,Br で、必ずしも全てが含まれるとは限らない(0個の元素もある可能 性がある)。1H-NMR スペクトルの上部にあるのは積分曲線と積分比(有効数字 2 桁)を 示している。ただし、3.2-3.5ppm および 6.1-6.5ppm に観測されているピークはそれ ぞれ 2 種のプロトンに由来するが、ほとんど重なっている。従って、積分比は両ピー クの和が示されている。また、マススペクトルの m/z が最大のピークは分子イオンに 由来する。 0.50 0.75 0.50 1.00 0.75 0.25 3092 3039 3024 134 3200 2934 ¦ 2975 3800 4000 3000 1 1598 1067 106 1045 77 1504 2000 1500 1000 wavenumber (cm-1) 500 165 150 7.19 m 3.39 t 13 (ppm) 6.74 m 3.37 q (ppm) 129.27 6.69 m 2.15 br 116.6 45.6 3.71 t 1.13 t 112.87 11.9 H C 148.2 59.9 52.5 9 この講義への要望・感想、その他何でも自由に書いてください。 各スペクトルは SDBS より 追試について 2/16 12:45 4 号館 2F セミナー室 対象者は 2/12 もしくは 13 に 3 号館及び 4 号館掲 示板に掲示。解答例についても掲示で案内する(配点も記すので、点数は自己採点する こと。点数を聞きに来られても対応しません)。 機器分析学I 期末試験解答例 1 2 3 3x3=9 a) x b) x c) O 3x2=6 (a) 3180cm-1 (b) 1779cm-1 一度 cm にしてから計算すると楽。 3x2=6 (解答中の単位 cm-1、C-O、C-N は省略した) (a) (b) 1660-2000 2100-2260 1450-1600 H H 3030-3080 NO2 3250-3340 1500-1550 H N H 3300-3500 O H 2500-3100 O 1640-1800 (a)のフェニルアラニンは実際には双性イオンになるのでカルボン酸やアミノ 基はこの位置に出ません(pH などに依存する)。 4 3x2=6。 c) 156Da, 158Da (単位は無くても可) d) 1:1 5 1x4=4 (余計なのがあると 1 点/2 種減点した) C6H8, C5H4O, C4H4N2, CH4O4 6 4 いくつか解答が可能なので、例を以下の表にまとめた。 2-メチル-3-ペンタノール 4-メチル-1-ペンタノール MS のα開裂 m/z=73,59 m/z=31 1 メチル基が 2 種類 OH に隣接するピークが 1H かつ dt(OH が分裂するよう な低温で測れば、ここが ddt、 OH が d) メチル基が 1 種類 OH に隣接するピークが 2H かつ (OH t が分裂するような 低温で測れば、ここが dt、OH が t) H-NMR 13 C-NMR(DEPT) DEPT90 でピーク 2 本 DEPT90 でピーク 1 本 DEPT135 で上向き 4 本、下向 DEPT135 で上向き 2 本、下向 き1本 き1本 その他 1Hの積分比、13Cのケミカルシフトなどは具体例があれば正解とした。分 子イオンの出やすさはどちらも出にくいのだが、級数が高い構造を多く持つ 2-メ チル-3-ペンタノールの方が出にくいという考え方は合っているので、正解とした。 ちなみに反応自体はマクマリー有機化学第 8 版(上)の p.295 問題 8.62 にある。 7 計 8 アシル開裂(構造と m/z が各 1 点) O McLafferty 転移(各 2 点) O m/z = 99 m/z = 57 OH m/z = 86 8 4 N OH 以下の化合物でもほぼ合うので正解とした(MS のフ ラグメントが違うが難しいので)。O と NH が逆だと NMR が合わない(かなり惜しいが)。 NH O 48 点満点を 40 点に換算 平均 物質 38.5 点(80.3%) バイオ 38.1 点(79.4%)
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