【IR】赤外顕微鏡を用いた錠剤表面の近赤外イメージング

FT/IR application data
新しいFT/IR分析情報
分析情報
しい
● 200-MR-0213
Date October 16,2009
● 赤外顕微鏡
赤外顕微鏡を
を用いた錠剤表面
いた錠剤表面の
錠剤表面の近赤外イメージング
近赤外イメージング
<はじめに
はじめに>
はじめに
近赤外光は、ガラス容器を透過する、中赤外光に比べて吸収ピークが弱いなどの特長から食品や医薬品
の非破壊評価を中心に広く利用されています。最近では、FDAが提唱するPAT(医薬品の製造工程における
分析技術)への導入も行われており、主にバイアルに封入した試料の混合均一性の評価、インライン測定に
基づく水分含有量の評価、近赤外顕微鏡による錠剤の成分含量の評価などに用いられています。
近赤外分光器で用いる分光手法は、分散型、フィルター分光型、AOTF型など多岐にわたりますが、
フーリエ変換型(FTIR)はこれらに比べ、波数拡張性、スループット並びに波数精度に優れています。
日本分光の赤外顕微鏡IRT-5000/7000はオプションで検出器着脱ユニットが搭載できるため、一台のシ
ステムで近赤外まで波数拡張が可能です。今回はFT/IR-6100とIRT-7000を近赤外まで拡張して、錠剤の分
布を近赤外イメージングによって解析しました。
図1
検出器着脱ユニットによる検出器の交換
<実験
実験>
実験
近赤外仕様の赤外顕微鏡を用いて一般用医薬品(鎮静剤)の断面と表面をイメージングしました。
<測定条件
測定条件>
測定条件
マルチチャンネル型赤外顕微鏡 (近赤外仕様)
・光源
:ハロゲン
・ビームスプリッタ
:CaF2
・検出器
:InGaAs (単素子)
・測定
:反射
・分解
:8 cm-1
・積算
:50回
・アパーチャサイズ
:200×200 um
・測定点数
錠剤表面 58×58点
錠剤断面 30×40点
図2
赤外顕微鏡 IRT-7000
本社・
TEL 042(646)4111 代表 FAX 042(646)4120
本社・工場 192-8537 東京都八王子市石川町2967-5
東京都八王子市石川町
東京 03(3294)0341 / 北海道 011(741)5285 / 北日本 022(748)1040/
/筑波 029(857)5721 /西東京 042(646)7001 /
神奈川 045(989)1711/
/名古屋 052(452)2671 / 大阪 06(6312)9173 / 広島 082(238)4011/
/九州 092(588)1931
<結果>
図3に錠剤断面の各位置から測定した近赤外ス
ペクトルを示します。図3の各成分固有のピーク
表面コート層
高さを使用して色分け図を作成しました(図4)。
0.5
図4の結果から錠剤は3成分が4層で構成されてい
ることが確認できました。次に錠剤表面を測定し
てアセチルサリチル酸における表面コート層のピ
Abs
ーク高さ比の色分け図を作成したところ、表面の
制酸剤
成分は不均一であることが確認できました(図6)。
以上のことから、近赤外顕微イメージングシス
アセチルサリチル酸
テムを用いることによって非破壊で錠剤表面の成
分の可視化が可能となります。この結果から近赤
7500 7000
外イメージングは、これまで原因不明であった製
造過程における不具合を解決できる手段として、
図3
6000
5000
4000
Wavenumber [cm-1]
各成分の近赤外スペクトル(錠剤の断面から測定)
医薬品設計や品質管理での有用な分析ツールと考
えられます。
表面コート
表面コート層
コート層 ( 4380 cm-1 )
5600
制酸剤
( 6973 cm-1 )
2800
アセチルサリチル酸
アセチルサリチル酸 ( 4680 cm-1 )
1400
表面コート
表面コート層
コート層
0
0
2000
図4
4000
X [um]
6000
( 4380 cm-1 )
7780
錠剤断面の近赤外イメージング
1.5
10800
Y [um]
Y [um]
4200
5400
0
0
図5
一般用医薬品(鎮静剤)の写真
5450
X [um]
10900
図6 表面コート層のイメージング
ピーク比 4380 cm-1 / 4680 cm-1