【補足】 吸収係数 a は、It = I0e-abl、もしくは It = I010-abl で定義される。It, I0 は、透過光、参照光強度、b は、ガ スならば圧力、固体、液体ならば濃度を示す。圧力(torr や atm)で与えられた場合、a は k(圧力-1・cm-1)、濃 度(mol/dm3)で与えられた場合はε(dm3・mol-1・cm-1)となる。kを用いた場合は、温度を決めなくてはなら ない。 モル吸光係数を吸収断面積に直す時、底が e であれば σ(cm2・molec-1) = 4.06×10-20 k(atm-1・cm-1 at 293K) ・・・・・・ ① ε(dm3・mol-1・cm-1) = 2.6×1020σ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ② となる。 まれに、k やεの代わりに、σ = k (atm-1・cm-1 at 0℃)/n0 = k/2.687×1019cm2・molec-1 で定義される吸収 断面積が使われることがある。ここで n0 は、Loshmidt number と呼ばれる定数である。 振動子強度(f)と吸収断面積σ(cm2・molec-1)の関係は、 σ = a/N = 7.75×10-18(n2 + 2)2・f ・n-1・W-1 ・・・・・・・・・・・・・・ ③ である。ここで、n; 屈折率、W; 吸収帯の半値幅(eV)、N; 吸収の原因となるものの濃度(molec/cm3)で、振動 子強度には単位がない。光吸収スペクトルと ESR 等の手法によりその吸収を与える欠陥種の濃度がわかれ ば、振動子強度を求めることができる。また、Mb(megabarns)という単位も良く用いられるが、1Mb = 10-18cm2 で定義される。吸収帯とその吸収帯の励起による発光の寿命(τ)がわかっている場合の振動子強度 (f)と吸収断面積σ(cm2・mol-1)の関係は、 σ = (πe2/mc)Nf =109 f/4 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ④ fτ = 1.5λ02 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ⑤ の関係がある。ここでλ02 は吸収波長(cm)である。具体例を紹介しよう。SiO ガス分子の吸収帯は 242nm、 発光寿命τは 25ns である。従って吸収断面積σは、 σ = 1.5×(250×10-7)2/(25×10-9×4×10-9) = 107cm2/mol = 1.7× 10-17cm2/molecules ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ⑥ となる。 近赤外∼可視∼紫外吸収の分光器は、洗練された市販品があり、特に測定に困難なことはない。ユニーク な商品として、日本分光から微弱吸収測定装置が発売されている。真空紫外の分光器としては、MacPherson, Prinston、日本分光などから分光器が発売されている。紫外域の分光器に比べると使い勝手の点で相当に問 題があるが、この 10 年ほどで、飛躍的に良くなっている。光源としては、MgF2, CaF2 等を窓材とする重水 素ランプが用いられているため、120nm より長波長での測定が可能である。さらに短波長領域の測定の光源 としては、希ガスの共鳴線などがあるが、輝線であるため扱いにくい。従って、シンクロトロン軌道放射光 (SR 光)が最も優れている。 シリカガラスの洗浄には、アセトン洗浄の後アルコール洗浄を行う。他にトルエンを用いると良いという データもある。アセトンを最後の洗浄に用いると、汚れが表面に残ってしまう。
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