12. イチゴ炭疽病のヘソディム

イチゴ炭疽病のヘソディム
左:本圃の発病
下:育苗圃の発病
三重県農業研究所
〒515-2316 三重県松阪市嬉野川北町530
TEL : 0598-42-6357
― 155 ―
対
象
診断手順
1
イチゴ炭疽病について
イチゴ炭疽病とは
調査方法
評価方法
現在、病原菌の再分類が行われてい
ますが、糸状菌の一種である
Glomerella cingulata種複合体および
Colletotrichum acutatum種複合体に
より引き起こされる病害です。
炭疽病菌の分生子
診 断 票
病徴は、局部病斑と全身症状の萎凋に大別され、前者は、
葉、ランナーなど地上部の各部位を侵し、ランナーや葉柄で
は、黒色、紡錘形の浅く陥没した病斑を生じます。後者は、
はじめ、葉の1~2枚が垂れ、その後枯死します(写真参
照)。クラウン部の切断面が赤褐色に変色しているのが特徴
です。
対策技術
第一次伝染源は潜在感染株と罹病残渣を含む土壌と考えら
れ、多湿条件で病斑上に多量の分生子を形成し、雨水によっ
て分生子が飛散し二次伝染します。そのため、育苗期に甚発
生した場合、炭疽病により苗が全滅することもあります。
留 意 点
特に三重県の主要品種である「章姫」は炭疽病に罹病性で
あることから、防除対策として育苗期の雨よけ栽培や定期的
な農薬散布が行われています。しかし、定植後に急激な萎凋
症状を示す場合もあり、対策に苦慮しています。
そ の 他
出典:日本植物病害大事典
― 156 ―
対策技術
留 意 点
対策技術の選定
対策技術の選定
診 断 票
品種の病害抵抗性
品種の病害抵抗性
前作発病程度
前作発病程度
土壌中の病原菌密度
土壌中の病原菌密度
評価方法
本圃の調査
本圃の調査
調査方法
対策技術の選定
対策技術の選定
診断手順
品種の病害抵抗性
品種の病害抵抗性
親株更新の有無
親株更新の有無
前作発病程度
前作発病程度
象
育苗圃の調査
育苗圃の調査
2
対
診断の手順
診断の手順
そ の 他
― 157 ―
対
象
診断手順
2
調査方法
イチゴ栽培においては、育苗期間中
に潜在感染した苗の本圃への持ち込み
による発病が見られます。そのため、
「育苗圃」の調査と「本圃」の調査が
必要です。
表.育苗圃発病と本圃発病の
相関係数(単回帰分析)
調査年度
2カ年
2014年
2015年
平均
0.79
0.31
0.55
調査圃場数:21圃場(2014年)
11圃場(2015年)
評価方法
診 断 票
【品種の病害抵抗性】
品種により炭疽病抵抗性
程度の強弱が異なります。 発
栽培予定品種の病害抵抗性 病
度
を把握することが重要です。
右図は、三重県の主要2品
種で調査しました。
100
90
80
70
かおり野
60
章姫
50
40
30
20
10
0
0
10個/mL
100個/mL
1000個/mL 10000個/mL
土壌中の炭疽病菌密度
図.土壌中の炭疽病菌密度と発病の関係
対策技術
【親株更新の有無・前作発病程度】
第一次伝染源は潜在感染株が考えられます。親株の更新が行わ
れていない場合、前作の発病程度により、潜在感染している可能
性が考えられます。
留 意 点
そ の 他
【土壌中の病原菌密度】
試験的に作成した炭疽病菌汚染土壌において、PCR法での病原
菌検出限界は、104cfu/mLでした。「章姫」は、炭疽病菌密度
10cfu/mLで発病したことを考慮すると、病原菌が検出されなく
ても、前作発病程度を参考に診断を行うことが必要です。
― 158 ―
調査方法
炭疽病菌密度10
炭疽病菌密度104個/mLの土壌に
個/mLの土壌に
「かおり野」(左)と「章姫」(右)を
「かおり野」(左)と「章姫」(右)を
定植しました。
定植しました。
9月16日
9月16日
(定植)
(定植)
4
1.65×10
1.65×10 4
11月17日
11月17日
1月5日
1月5日
2月16日
2月16日
3
1.3×10
1.3×10 3
++
++
0
0
--
2
4.3×10
4.3×10 2
--
0
0
-
1)
PCR法
PCR法1)
1)PCRは3回行い、「++」は2回検出、「-」は非検出
1)PCRは3回行い、「++」は2回検出、「-」は非検出
留 意 点
平板希釈cfu/mL
平板希釈cfu/mL
10月16日
10月16日
対策技術
表.発病調査期間中の土壌中の炭疽病菌推移(2014年)
表.発病調査期間中の土壌中の炭疽病菌推移(2014年)
診 断 票
圃場内の土壌を採取し、選択培地を用いた平板希釈法やPCR
圃場内の土壌を採取し、選択培地を用いた平板希釈法やPCR
法で調査します。
法で調査します。
試験的に発病させた土壌を1年間保存し、「章姫」を定植しま
試験的に発病させた土壌を1年間保存し、「章姫」を定植しま
したが、発病しませんでした。同様に萎黄病の試験で「かおり
したが、発病しませんでした。同様に萎黄病の試験で「かおり
野」は、発病したことから、炭疽病菌は土壌での生存性が、萎
野」は、発病したことから、炭疽病菌は土壌での生存性が、萎
黄病菌に比べ劣ると考えられます。
黄病菌に比べ劣ると考えられます。
評価方法
図.炭疽病発病の品種間差
図.炭疽病発病の品種間差
4
土壌中の病原菌密度
土壌中の病原菌密度
診断手順
試験的に作成した炭疽病菌汚
試験的に作成した炭疽病菌汚
染土壌において、「かおり
染土壌において、「かおり
3
野」は菌密度10
cfu/mLで
野」は菌密度103cfu/mLで
発病し、「章姫」は
発病し、「章姫」は
10cfu/mLで発病しました。
10cfu/mLで発病しました。
象
品種の病害抵抗性
品種の病害抵抗性
対
3
診断方法
診断方法
そ の 他
― 159 ―
対
象
診断手順
3
【品種の病害抵抗性】
調査方法
栽培予定品種の病害抵抗性を把握する際に、利用できます。
①炭疽病菌をPS培地にて25℃、137rpm、7日間振とう培養します。
②園芸培土と山砂を1:1の体積比で混合した土壌に、
土壌体積あたり、101~104cfu/mLになるように炭疽病菌を
混和接種します。
③調査したい品種を定植し、発病の有無により炭疽病に対する感受性を
確認できます。
評価方法
【検定用の土壌採取】
圃場の4隅と中心部の計5点以上から採取します。採取は、表層の土を
1㎝程度取り払い、深さ10㎝程度の土壌を100g程度採取します。
5点の土壌をまとめてビニル袋に入れ、2㎜の篩で篩掛けし、
よく混ぜます。
診 断 票
【PCR法による病原菌検出】
対策技術
①50mLの遠沈管に供試土壌10mLを入れ、 Mathur培地を2mL添加
し、28℃で7日間静置培養します。
②改変塩化ベンジル法(Kageyama、2003)を用いてDNAを抽出後、
MagExtractor-plant genome kitにより、DNAを精製します。
③鈴木ら(2008)のPCR条件を参考にし、PCRを行います。
その後、1.5%アガロースでPCR産物の電気泳動(135V、20分)を
行い、バンド(683bp)の有無で判断します。
【選択培地を用いた病原菌検出】
留 意 点
①供試土壌10gと生理食塩水90mLを30分間、強振し10-1希釈液
とします。
②適宜10-2、10-3・・・希釈液を作成します。
③これらの希釈液を100μLずつ、 Mathur培地に塗抹し25℃で
2日間培養し、生育の有無を確認します。
そ の 他
― 160 ―
低
高
レベル1
レベル3
かおり野
章姫
他品種(病害抵抗性不明) (罹病性品種)
親株の更新
有
前作発病程度
総合評価
無
一部発病
発病
ポテンシャル1 診断項目の合計レベルが3
ポテンシャル3 診断項目の合計レベルが5~6
本圃の調査
高
レベル1
品種
レベル2
レベル3
かおり野
章姫
他品種(病害抵抗性不明)
前作発病程度
無発病
(罹病性品種)
一部発病
総合評価
ポテンシャル1 診断項目の合計レベルが3
ポテンシャル2 診断項目の合計レベルが4~5
ポテンシャル3 診断項目の合計レベルが6
― 161 ―
そ の 他
※育苗期に発病が見られる
場合、総合評価に関わらず
本圃での発病の危険性が
あります。
検出
留 意 点
土壌中からの病原菌検出
非検出
※前作が無発病の場合:レベル1
前作発病したが、土壌中から病原菌が検出されなかった場合:レベル2
前作が発病したが、土壌中から病原菌が検出された場合
:レベル3
発病
対策技術
診断項目
発病危険度(発病ポテンシャル)
低
診 断 票
ポテンシャル2 診断項目の合計レベルが4
評価方法
無発病
(親株の更新が無い場合)
※親株の更新がある場合:レベル1
更新が無いが前作無発病の場合:レベル1
更新が無いが前作発病の場合 :レベル3
一部更新
調査方法
品種
レベル2
診断手順
診断項目
発病危険度(発病ポテンシャル)
象
育苗圃の調査
対
4
評価方法
対
象
診断手順
4
調査方法
「2診断手順」に示したように、イチゴ栽培においては、育苗期間中
に潜在感染した苗の本圃への持ち込みによる発病が見られます。そのた
め、育苗期に発病が見られる場合、総合評価に関わらず本圃での発病の
危険性が高まります。
発病ポテンシャルの考え方
評価方法
診断項目「品種」では、「かおり野」は抵抗性品種ですが、気象条件等
により発病する品種であるため「レベル2」にしています。
品種の病害抵抗性を調査するためには、「3調査方法」を参考にしてく
ださい。また、土壌中からの菌密度検出も、 「3調査方法」を参考にし
てください。
診 断 票
総合評価の考え方
例(育苗圃)
発病危険度(発病ポテンシャル)
低
対策技術
診断項目
高
レベル1
レベル2
品種
かおり野
他品種
他(病害抵抗性不明)
親株の更新
前作発病程度
留 意 点
(親株の更新が無い場合)
レベル3
章姫
(罹病性品種)
有
一部更新
無
無発病
一部発病
発病
そ の 他
上記の場合、「品種」では「レベル2」、親株の更新は無いため「前
作発病程度」で判断し「レベル1」のため、合計レベルは「レベル2」
+「レベル1」より「レベル3」と判断し、総合評価は「ポテンシャル
1」になります。
― 162 ―
調査圃場
親株定植予定日
本圃定植予定日
栽培作物・品種
品種の病害抵抗性
育苗方法
育苗培土の種類
親株の由来
診 断 票
土壌消毒剤の履歴
農薬散布の履歴
前作の発病状況
評価方法
生産者
調査方法
土壌採取日
診断手順
調査日
象
診断票
5
対
診断票
施肥量
対策技術
(炭疽病、萎黄病、他)
コメント他
留 意 点
前作の発病状況を問診す
る際は、栽培品種や土壌
消毒の種類も同時に聞き
取ることが重要です。
そ の 他
― 163 ―
対
象
診断手順
5
調査方法
イチゴ栽培生産者への問診を行う際に利用します。
診断および対策を行うにあたって、栽培管理、農薬の散布履歴を
知ることが大切です。診断票は炭疽病を対象にするだけでなく、萎
黄病や他病害の診断や対策に役立てるため、炭疽病に対する診断項
目以外の項目も設けています。
評価方法
また、健全なイチゴを栽培するためにはイチゴ栽培に適した施肥
管理が重要となります。土壌分析を行うことで下記のような診断票
が栽培の参考にできます。三重県では、「三重県土壌診断・堆肥流
通支援システム」
(http://www.taihi.pref.mie.lg.jp/U620000.aspx)によって、
施肥計画の確認ができます。
診 断 票
例
対策技術
留 意 点
そ の 他
― 164 ―
本圃の対策
本圃の対策
初発後の農薬散布
初発後の農薬散布
本圃定植前、3日間程度の葉かきを避ける
本圃定植前、3日間程度の葉かきを避ける
ポテンシャル3 本圃定植前、3日間程度の葉かきを避ける
ポテンシャル3 本圃定植前、3日間程度の葉かきを避ける
定期的な地上部の農薬散布
定期的な地上部の農薬散布
留 意 点
ポテンシャル1
ポテンシャル1
ポテンシャル2
ポテンシャル2
対策技術
育苗期に発病が見られた場合は、本圃への感染苗の持ち込
育苗期に発病が見られた場合は、本圃への感染苗の持ち込
みが考えられます。地上部の農薬散布を検討してください。
みが考えられます。地上部の農薬散布を検討してください。
診 断 票
本圃の土壌消毒に関しては、炭疽病だけでなく萎黄病の発
本圃の土壌消毒に関しては、炭疽病だけでなく萎黄病の発
病ポテンシャルを参考にする必要があるため、土壌消毒等の
病ポテンシャルを参考にする必要があるため、土壌消毒等の
対策技術については、萎黄病を参照してください。
対策技術については、萎黄病を参照してください。
評価方法
雨よけ栽培の実施、10~14日間隔の農薬散布
雨よけ栽培の実施、10~14日間隔の農薬散布
雨よけ栽培の実施、7日間隔の農薬散布
雨よけ栽培の実施、7日間隔の農薬散布
雨よけ栽培の実施、7日間隔の農薬散布
雨よけ栽培の実施、7日間隔の農薬散布
育苗圃や子株用培土の土壌消毒または購入培土の利用
育苗圃や子株用培土の土壌消毒または購入培土の利用
調査方法
ポテンシャル1
ポテンシャル1
ポテンシャル2
ポテンシャル2
ポテンシャル3
ポテンシャル3
診断手順
育苗圃の対策
育苗圃の対策
象
6
対
対策技術
対策技術
そ の 他
― 165 ―
対
象
診断手順
6
農薬散布
調査方法
イチゴ炭疽病は、発病した株上に多量の分生子を形成し、雨水によって分生子が
飛散し二次伝染します。そのため、土壌消毒だけでなく、地上部の防除も必要と
なります。
2010年~12年にかけて、炭疽病に対する農薬の防除効果を確認しました(田口
ら,2012)。
100
100
80
80
枯
死 60
株
率 40
%
20
70
60
防
除
価
50
( )
評価方法
90
40
30
20
0
診 断 票
10
8/28
0
マンゼブ水和剤
プロピネブ水和剤
2010年
キャプタン水和剤
2011年
9/4
7日間隔
有機銅水和剤
2012年
9/11
9/18
10日間隔
9/25
10/2
14日間隔
10/9
無散布
図.散布間隔別の枯死株数の推移
図.殺菌剤の防除効果(防除価)
調査年度:2012年 品種:章姫
散布体系:マンゼブ剤、プロピネブ剤、
キャプタン剤のローテーション散布
病原菌接種:炭疽病菌胞子懸濁液を
7日間隔で、噴霧接種しました
調査年度:2010~12年 品種:章姫
無処理の発病度(調査年度)
:59(2010年)、58(2011年)、48(2012年)
対策技術
定植直前の葉かき処理
土壌中に炭疽病菌が存在した場合、定植3日前までの葉かき処理はイチゴ炭疽病
の発病を助長することを確認しました。そのため、発病ポテンシャルが高い圃場
にイチゴを定植する際は、葉かき処理を行わずに定植することが望まれます。
留 意 点
60
100
90
50
80
70
40
60
発
病 50
度
40
発
病
度
30
そ の 他
20
30
20
10
10
0
0
10/8
10/15
10/22
対照
10/29
葉かき
11/5
11/12
根傷み
11/19
11/26
12/3
12/10
12/17
葉かきおよび根傷み
図.定植直前の葉かきや根傷みが
イチゴ炭疽病の発病におよぼす影響
― 166 ―
10/2
10/9
定植1週間前
10/16
10/23
定植3日前
10/30
11/6
定植直前
11/13
11/20
無接種
図.葉かき処理の定植前日数が
イチゴ炭疽病におよぼす影響
留 意 点
三重県で主に栽培されている品種である「かおり野」と「章
姫」について、調査を行いました。これらの品種は、炭疽病と萎
姫」について、調査を行いました。これらの品種は、炭疽病と萎
黄病についての病害抵抗性に特徴があり、診断や対策を行うにあ
黄病についての病害抵抗性に特徴があり、診断や対策を行うにあ
たって、重要な項目となりました。
たって、重要な項目となりました。
全国的にも、両病害に対して抵抗性を示す品種は限られており、
全国的にも、両病害に対して抵抗性を示す品種は限られており、
品種ごとに問題化する病害を対象として診断する必要があります。
品種ごとに問題化する病害を対象として診断する必要があります。
対策技術
3)品種
3)品種
三重県で主に栽培されている品種である「かおり野」と「章
診 断 票
イチゴ炭疽病については、現在、病原菌の再分類が行われてい
Glomerella
ます。今回、調査および試験の対象にした菌株は
Glomerella
ます。今回、調査および試験の対象にした菌株は
cingulata種複合体です。三重県では、 Colletotrichum
Colletotrichum
cingulata
種複合体による被害は報告されていませんが、こちら
acutatum種複合体です。三重県では、
種複合体による被害は報告されていませんが、こちら
acutatum
の原因菌については総合評価を再検討する必要があります。
の原因菌については総合評価を再検討する必要があります。
評価方法
2)炭疽病菌について
2)炭疽病菌について
イチゴ炭疽病については、現在、病原菌の再分類が行われてい
調査方法
マニュアルに記載した内容は、2013年~2015年に三重県内
で調査した内容をもとに作成しています。
で調査した内容をもとに作成しています。
栽培地域により、品種や栽培方法が異なります。そのため、診
栽培地域により、品種や栽培方法が異なります。そのため、診
断を行うにあたっては、地域の実情に応じて調整する必要があり
断を行うにあたっては、地域の実情に応じて調整する必要があり
ます。
ます。
診断手順
1)マニュアル内容
1)マニュアル内容
マニュアルに記載した内容は、2013年~2015年に三重県内
象
7
対
留意点
留意点
そ の 他
― 167 ―
対
象
診断手順
7
調査方法
4)親株の潜在感染
三重県では、親株の更新割合は低く、前年に育苗した
苗を各生産者の圃場で保管し、春先に親株として定植し
ています。そのため、前作で発病が見られた圃場では、
親株の中に潜在感染した苗が含まれ、伝染源となること
があります。
評価方法
5)前作発病程度
診 断 票
毎年の炭疽病の発病程度を知ることは、圃場での炭疽病発病の
しやすさを測るうえで大切な情報になります。どの程度、いつ頃
から発生したか、記録をつけるようにしてください。
特に、炭疽病菌は土壌からの検出感度が低い病原菌です。その
ため、前作発病程度を参考に診断を行うことが必要です。
対策技術
6)土壌中の病原菌密度
留 意 点
調査した圃場では、ほとんど検出されませんでした。また、発
病苗の根系土壌からも一部で検出された程度です。そのため、検
出された場合は、発病の危険性が高いと考えられます。今回は、
イチゴ炭疽病・萎黄病・疫病感染苗検査マニュアル(千葉県他
2012)を参考にしています。
7)育苗期の発病
そ の 他
育苗期の感染が原因と思われる発病を本圃で確認しています。
健全な苗を作るためには、土壌病害の観点だけでなく地上部病害
の防除が必要となります。
― 168 ―
診断手順
調査方法
評価方法
診 断 票
対策技術
留 意 点
【参考文献】
平山喜彦・鈴木
【参考文献】 健・伊東靖之・岡山健夫・西崎仁博・松谷幸子(2008).
病原菌特異的プライマーを用いたPCR
による潜在感染株からのイチゴ炭疽
平山喜彦・鈴木
健・伊東靖之・岡山健夫・西崎仁博・松谷幸子(2008).
病菌の検出.日植病報 74:198 .(講要)
病原菌特異的プライマーを用いたPCR
による潜在感染株からのイチゴ炭疽
病菌の検出.日植病報 74:198 .(講要)
イチゴ炭疽病・萎黄病・疫病感染苗検査マニュアル(「イチゴ健全種苗生
産のための病害検査プログラムの構築」研究プロジェクトチーム).
イチゴ炭疽病・萎黄病・疫病感染苗検査マニュアル(「イチゴ健全種苗生
産のための病害検査プログラムの構築」研究プロジェクトチーム).
Kageyama, K., Komatsu,T., Suga, H.(2003). Refined PCR protocol
for detection
plant pathogens
in soil. J. Gen.
PlantPCR
Pathol.
Kageyama,
K.,of
Komatsu,T.,
Suga, H.(2003).
Refined
protocol
69:153-160.
for
detection of plant pathogens in soil. J. Gen. Plant Pathol.
69:153-160.
日本植物病害大事典(岸 國平 編集).全国農村教育協会,東京,p493
日本植物病害大事典(岸 國平 編集).全国農村教育協会,東京,p493
鈴木 健・田中千華・伊東靖之・植松清次・平山喜彦・岡山健夫 (2008) .
イチゴ炭疽病菌に対する特異的プライマーの作成.日植病報
74:198.
(講
鈴木
健・田中千華・伊東靖之・植松清次・平山喜彦・岡山健夫
(2008)
.
要)
イチゴ炭疽病菌に対する特異的プライマーの作成.日植病報 74:198. (講
要)
田口裕美・鈴木啓史・黒田克利(2012).イチゴ炭疽病に対する各種
殺菌剤の残効期間と防除体系.関西病虫研報 54:53-59
田口裕美・鈴木啓史・黒田克利(2012).イチゴ炭疽病に対する各種
殺菌剤の残効期間と防除体系.関西病虫研報 54:53-59
辻 朋子・黒田克利・鈴木啓史・對馬誠也・吉田重信(2014).イチゴ
炭疽病菌および萎黄病菌の土壌菌密度と発病の関係.日植病報
81:86
辻
朋子・黒田克利・鈴木啓史・對馬誠也・吉田重信(2014).イチゴ
(講要)
炭疽病菌および萎黄病菌の土壌菌密度と発病の関係.日植病報
81:86
(講要)
辻 朋子・黒田克利・鈴木啓史・對馬誠也・吉田重信(2015). 定植時
の葉かきと根傷みがイチゴ炭疽病の発病に及ぼす影響.日植病報
辻 朋子・黒田克利・鈴木啓史・對馬誠也・吉田重信(2015).81:229
定植時
(講要)
の葉かきと根傷みがイチゴ炭疽病の発病に及ぼす影響.日植病報
81:229
(講要)
象
8
対
その他
その他
そ の 他
― 169 ―