13. イチゴ萎黄病のヘソディム

イチゴ萎黄病のヘソディム
左:本圃の発病
下:育苗圃の発病
三重県農業研究所
〒515-2316 三重県松阪市嬉野川北町530
TEL : 0598-42-6357
― 171 ―
対
象
診断手順
1
イチゴ萎黄病について
イチゴ萎黄病とは
調査方法
糸状菌の一種であるFusarium oxysporum Schlechtendahlにより引き起こされる病害です。
評価方法
病徴は、新葉の3小葉のうち、1~2葉が奇形(小型)
化して舟形にねじれる特徴があります(写真参照)。葉は、
光沢を失い、黄味を帯びます。病徴の進展にともない、株
全体の矮化や枯死に至ります。
診 断 票
伝染は土壌伝染と苗伝染によって蔓延する病気です。土
壌伝染は、厚壁胞子として土壌中に生存し伝染源となり、
根から侵入します。一方、苗伝染は、親株が罹病していた
場合、ランナー内の導管を経由して苗が発病したり、保菌
苗となります。
対策技術
三重県の育成品種である「かおり野」は、「章姫」に比
べ本病に罹病性であることから、「かおり野」の普及とと
もに発生の拡大が懸念される病害です。
留 意 点
出典:日本植物病害大事典
そ の 他
― 172 ―
品種の病害抵抗性
対策技術の選定
品種の病害抵抗性
前作発病程度
― 173 ―
そ の 他
対策技術の選定
留 意 点
土壌中の病原菌密度
対策技術
本圃の調査
診 断 票
親株更新の有無
評価方法
育苗培土の種類
調査方法
親株床の栽培様式
診断手順
土壌中の病原菌密度
象
育苗圃の調査
2
対
診断の手順
対
象
診断手順
2
表.育苗圃発病と本圃発病の
調査方法
イチゴ栽培においては、育苗期
相関係数(単回帰分析)
間中に潜在感染した苗の本圃への
調査年度
2カ年
持ち込みによる発病が見られます。 2014年 2015年
平均
そのため、「育苗圃」の調査と
0.71
0.94
0.76
「本圃」の調査が必要です。
調査圃場数:21圃場(2014年)
11圃場(2015年)
評価方法
診 断 票
対策技術
【土壌中の病原菌密度】
萎黄病菌は厚壁胞子として土壌中に生存しており、伝染
源となります。罹病苗の根系土壌から病原菌密度
104cfu/mLレベルで確認されることもあります。
育苗圃においては、親株の地床育苗や育苗培土の自家配
合では、土壌中に病原菌が含まれる危険性が購入培土に比
べ高くなります。
本圃においては、前作で萎黄病の発病が見られた場合、
土壌中に病原菌が存在する危険性があります。
【品種の病害抵抗性】
品種により萎黄病抵抗性の強弱が異なります。栽培予
定品種の病害抵抗性を把握することが重要です。
留 意 点
そ の 他
【親株更新の有無】
親株の更新が行われていない場合、前作の発病程度によ
り、潜在感染している可能性が考えられます。ランナー内
の導管を経由し親株から子苗に伝染します。
― 174 ―
診 断 票
図.ベンチアップされた育苗
100
前作発病程度
前作発病程度
試験的に発病させた土壌を
かおり野
章姫
かおり野
章姫
0
10
10個/mL
100個/mL
1000個/mL
10000個/mL
土壌中の萎黄病菌密度
0
0
10個/mL
100個/mL
1000個/mL 10000個/mL
図.品種別の萎黄病感受性の違い
80
70
土壌中の萎黄病菌密度
図.品種別の萎黄病感受性の違い
60
80
50
発70
病
40
60
度
30
発 50
病
20
40
度
10
30
200
10
0
10/8 10/18 10/28 11/7 11/17 11/27 12/7 12/17 12/27
昨年度土壌
1/6
無接種
図.保存した萎黄病菌汚染土壌での発病
10/8 10/18 10/28 11/7 11/17 11/27 12/7 12/17 12/27 1/6
昨年度土壌
無接種
図.保存した萎黄病菌汚染土壌での発病
― 175 ―
そ の 他
1年間保存し、「かおり
試験的に発病させた土壌を
野」を定植したところ、発
1年間保存し、「かおり
病を確認しました。
野」を定植したところ、発
病を確認しました。
発
病
度
発
病
度
図.ベンチアップされた育苗
留 意 点
汚染土壌において、「かお
試験的に作成した萎黄病菌
り野」は菌密度102cfu/mL
汚染土壌において、「かお
で発病しましたが「章姫」
2cfu/mL
り野」は菌密度10
は104cfu/mLでも発病しま
で発病しましたが「章姫」
せんでした。
は104cfu/mLでも発病しま
せんでした。
90
80
100
70
90
60
80
50
70
40
60
30
50
20
40
10
30
0
20
対策技術
図.親株床の地床栽培
品種の病害抵抗性
試験的に作成した萎黄病菌
品種の病害抵抗性
評価方法
図.親株床の地床栽培
調査方法
栽培方式により、萎黄病菌に汚染された土壌が栽培圃場に混入
親株床の栽培様式
育苗培土の種類
する危険性が異なります。
栽培方式により、萎黄病菌に汚染された土壌が栽培圃場に混入
する危険性が異なります。
診断手順
で調査します。
圃場内の土壌を採取し、選択培地を用いた平板希釈法やPCR法
で調査します。
親株床の栽培様式
育苗培土の種類
象
土壌中の病原菌密度
圃場内の土壌を採取し、選択培地を用いた平板希釈法やPCR法
土壌中の病原菌密度
対
3
診断方法
診断方法
対
象
診断手順
3
【検定用の土壌採取】
調査方法
圃場の4隅と中心部の計5点以上から採取します。採取は、
表層の土を1㎝程度取り払い、深さ10㎝程度の土壌を100g
程度採取します。5点の土壌をまとめてビニル袋に入れ、
2㎜の篩で篩掛けし、よく混ぜます。
【PCR法による病原菌検出】
評価方法
診 断 票
①50mLの遠沈管に供試土壌10mLを入れ、Fo-G2培地を
2mL添加し、25℃で4日間静置培養します。
②改変塩化ベンジル法(Kageyama、2003)を用いて
DNAを抽出後、MagExtractor-plant genome kitにより、
DNAを精製します。
③須賀ら(2011)のPCR条件を参考にし、PCRを行います。
その後、1.5%アガロースでPCR産物の電気泳動(135V、
20分)を行い、バンド(240bp)の有無で判断します。
【選択培地を用いた病原菌検出】
対策技術
①供試土壌10gと生理食塩水90mLを30分間、強振し
10-1希釈液とします。
②適宜10-2、10-3・・・希釈液を作成します。
③これらの希釈液を100μLずつ、西村培地に塗抹し25℃で
7日間培養し、生育の有無を確認します。
留 意 点
【品種の病害抵抗性】
そ の 他
栽培予定品種の病害抵抗性を把握する際に、利用できます。
①萎黄病菌をPS培地にて25℃、137rpm、4日間振とう
培養します。
②園芸培土と山砂を1:1の体積比で混合した土壌に、
土壌体積あたり、101~104cfu/mLになるように
萎黄病菌を混和接種します。
③調査したい品種を定植し、発病程度により萎黄病に対する
感受性を確認できます。
― 176 ―
低
高
レベル1
レベル2
レベル3
土壌中の菌密度
非検出
2
10 cfu/mL未満
10 2 cfu/mL以上
またはPCRで検出
親株床の栽培様式
育苗培土の種類
地床からの隔離栽培
プランター等の利用による
(ベンチアップ)
地床からの隔離栽培
購入培土
自家配合培土
前作発病程度
かおり野
(真性抵抗性品種)
他品種(病害抵抗性不明)
(罹病性品種)
有
一部更新
無
無発病
一部発病
発病
※土壌中の菌密度が不明の場合は、親株床の栽培様式や育苗培土の種類から判断します
総合評価
診断項目
品種以外の項目が全てレベル1
ポテンシャル2
品種以外の項目が「レベル2」以下
ポテンシャル3
品種以外の項目で「レベル3」がある
発病危険度(発病ポテンシャル)
低
高
レベル1
レベル3
章姫(圃場抵抗性)
かおり野
(真性抵抗性品種)
他品種(病害抵抗性不明)
(罹病性品種)
非検出
10 2 cfu/mL未満
10 2 cfu/mL以上
品種
土壌中の菌密度
またはPCRで検出
前作発病程度
無発病
一部発病
※土壌中の菌密度が不明の場合は前作発病程度から判断します
※育苗期に発病が見られる
場合、総合評価に関わらず
本圃での発病の危険性が
あります。
ポテンシャル1
診断項目の合計レベルが2~4
ポテンシャル2
診断項目の合計レベルが5
ポテンシャル3
診断項目の合計レベルが6
― 177 ―
そ の 他
総合評価
発病
留 意 点
レベル2
対策技術
本圃の調査
ポテンシャル1
診 断 票
(親株の更新が無い場合)
章姫(圃場抵抗性)
評価方法
品種
親株の更新
地床栽培
調査方法
診断項目
診断手順
発病危険度(発病ポテンシャル)
象
育苗圃の調査
対
4
評価方法
対
象
診断手順
4
調査方法
「2診断手順」に示したように、イチゴ栽培においては、育苗期間中
に潜在感染した苗の本圃への持ち込みによる発病が見られます。そのた
め、育苗期に発病が見られる場合、総合評価に関わらず本圃での発病の
危険性が高まります。
発病ポテンシャルの考え方
診断項目「品種」では、「章姫」は抵抗性品種ですが、圃場抵抗性品種
のため発病する場合があり、「レベル2」にしています。
評価方法
総合評価の考え方
例(育苗圃)
発病危険度(発病ポテンシャル)
診 断 票
低
高
診断項目
レベル1
レベル2
レベル3
土壌中の菌密度
非検出
10 2 cfu/mL未満
10 2 cfu/mL以上
またはPCRで検出
親株床の栽培様式
対策技術
育苗培土の種類
地床からの隔離栽培
プランター等の利用による
(ベンチアップ)
地床からの隔離栽培
購入培土
品種
親株の更新
留 意 点
前作発病程度
(親株の更新が無い場合)
地床栽培
自家配合培土
章姫(圃場抵抗性)
かおり野
(真性抵抗性品種)
他品種(病害抵抗性不明)
(罹病性品種)
有
一部更新
無
無発病
一部発病
発病
そ の 他
上記の場合、「菌密度」不明のため「親株」と「育苗培土」から「レ
ベル3」と「レベル1」の平均をとり「レベル2」、「品種」では「レ
ベル3」、親株の更新は無いため「前作発病程度」で判断し「レベル
1」のため、総合評価は「ポテンシャル2」になります。
― 178 ―
調査圃場
親株定植予定日
本圃定植予定日
栽培作物・品種
品種の病害抵抗性
育苗方法
育苗培土の種類
親株の由来
診 断 票
土壌消毒剤の履歴
農薬散布の履歴
前作の発病状況
評価方法
生産者
調査方法
土壌採取日
診断手順
調査日
象
診断票
問診表
5
対
診断票
問診表
対策技術
施肥量
(炭疽病、萎黄病、他)
コメント他
留 意 点
前作の発病状況を問診す
る際は、栽培品種や土壌
消毒の種類も同時に聞き
取ることが重要です。
そ の 他
― 179 ―
対
象
診断手順
5
炭疽病の項目に記載した「診断票」と同様になります。
調査方法
イチゴ栽培生産者への問診を行う際に利用します。
診断および対策を行うにあたって、栽培管理、農薬の散布履歴を
知ることが大切です。診断票は萎黄病を対象にするだけでなく、炭
疽病や他病害の診断や対策に役立てるため、萎黄病に対する診断項
目以外の項目も設けています。
評価方法
診 断 票
また、健全なイチゴを栽培するためにはイチゴ栽培に適した施肥
管理が重要となります。土壌分析を行うことで下記のような診断票
が栽培の参考にできます。三重県では、「三重県土壌診断・堆肥流
通支援システム」
(http://www.taihi.pref.mie.lg.jp/U620000.aspx)によって、
施肥計画の確認ができます。
例
対策技術
留 意 点
そ の 他
― 180 ―
本圃の対策
本圃の対策
ポテンシャル1 太陽熱消毒を行う
ポテンシャル1 太陽熱消毒を行う
ポテンシャル3 クロールピクリン消毒を行う
ポテンシャル3 クロールピクリン消毒を行う
抵抗性品種の検討
抵抗性品種の検討
そ の 他
― 181 ―
留 意 点
育苗期に発病が見られた場合は、本圃への感染苗の持ち込み
育苗期に発病が見られた場合は、本圃への感染苗の持ち込み
が考えられます。葉の奇形が見られる苗は定植を行わず、定
が考えられます。葉の奇形が見られる苗は定植を行わず、定
植後も葉の奇形が見られた場合は、直ちに圃場から出してく
植後も葉の奇形が見られた場合は、直ちに圃場から出してく
ださい。
ださい。
対策技術
炭疽病の発病危険度が高い場合は、圃場に残っているクラウ
炭疽病の発病危険度が高い場合は、圃場に残っているクラウ
ン等の罹病残渣を圃場から除き、危険度に従って土壌消毒を
ン等の罹病残渣を圃場から除き、危険度に従って土壌消毒を
行ってください。
行ってください。
炭疽病菌と萎黄病菌では、土壌での生存性は炭疽病菌の方が
炭疽病菌と萎黄病菌では、土壌での生存性は炭疽病菌の方が
劣ります。土壌消毒の選択は、萎黄病の発病ポテンシャルを
劣ります。土壌消毒の選択は、萎黄病の発病ポテンシャルを
参考にしてください。
参考にしてください。
診 断 票
ポテンシャル2 太陽熱消毒またはバスアミド消毒を行う
ポテンシャル2 太陽熱消毒またはバスアミド消毒を行う
抵抗性品種の検討
抵抗性品種の検討
評価方法
ポテンシャル3 土壌消毒か購入培土を利用する。地床からの隔離を考える
ポテンシャル3 土壌消毒か購入培土を利用する。地床からの隔離を考える
抵抗性品種の検討
抵抗性品種の検討
親株を更新し、潜在感染していないものを利用する
親株を更新し、潜在感染していないものを利用する
調査方法
ポテンシャル2 親株を更新し、潜在感染していないものを利用する
ポテンシャル2 親株を更新し、潜在感染していないものを利用する
診断手順
ポテンシャル1 初発後、直ちに罹病親株と罹病子苗を除去する
ポテンシャル1 初発後、直ちに罹病親株と罹病子苗を除去する
象
育苗圃の対策
育苗圃の対策
6
対
対策技術
対策技術
象
診断手順
ポテンシャル3
調査方法
「発病ポテンシャル3」の場合、現
地の発病と土壌消毒効果を検証した
ところクロールピクリン剤による土
壌燻蒸剤の有効性を確認しました。
また、無消毒の場合、調査したすべ
ての圃場で発病が見られたため、
「発病ポテンシャル3」の場合、防
除の必要性が明らかになりました。
表.本圃(ポテンシャル3)での萎黄病発病程度と
土壌消毒方法別の単回帰分析による相関係数
土壌消毒方法
調査年度
クロピク
太陽熱
無消毒
2014
-0.73
-0.47
0.75
評価方法
萎黄病
発病
2015
-0.61
-
0.61
2カ年
-0.59
-0.41
0.69
調査圃場数:7圃場(2014年)、5圃場(2015年)
太陽熱消毒
100,000
10,000
10,000
1,000
対策技術
炭疽病菌密度(cfu/mL)
診 断 票
作成した炭疽病菌および萎黄病菌汚染土壌を用いた温度別防除効果の検証では、
50℃以上において2日間で死滅することを確認しました。
萎黄病菌密度(cfu/ml)
対
6
100
10
1
0
1,000
100
10
1
0
0日
1日
40℃
50℃
2日
60℃
3日
0日
図.炭疽病菌汚染土壌を用いた温度別の消毒日数
1日
40℃
2日
50℃
3日
4日
60℃
図.萎黄病菌汚染土壌を用いた温度別の消毒日数
留 意 点
55
50
45
培 40
土
内
温 35
度
( )
そ の 他
高設栽培圃場における
太陽熱消毒については、
施設全体の被覆がない場合、
最高温度が45℃未満であり、
培土の被覆に加え施設全体
の被覆がないと消毒効果が
認められない可能性があり
ます。
℃ 30
25
7/15
7/20
7/25
7/30
8/4
栽培施設のビニル被覆あり
8/9
8/14
8/19
8/24
8/29
栽培施設のビニル被覆なし
図.高設栽培における太陽熱消毒時の培土内温度
― 182 ―
留 意 点
三重県で主に栽培されている品種である「かおり野」と「章
姫」について、調査を行いました。これらの品種は、炭疽病と萎
姫」について、調査を行いました。これらの品種は、炭疽病と萎
黄病についての病害抵抗性に特徴があり、診断や対策を行うにあ
黄病についての病害抵抗性に特徴があり、診断や対策を行うにあ
たって、重要な項目となりました。
たって、重要な項目となりました。
全国的にも、両病害に対して抵抗性を示す品種は限られており、
全国的にも、両病害に対して抵抗性を示す品種は限られており、
品種ごとに問題化する病害を対象として検討する必要があります。
品種ごとに問題化する病害を対象として検討する必要があります。
対策技術
3)品種
3)品種
三重県で主に栽培されている品種である「かおり野」と「章
診 断 票
イチゴ炭疽病・萎黄病・疫病感染苗検査マニュアル(千葉県他
2012)を参考にしています。発病しなかった土壌からも病原菌
2012)を参考にしています。発病しなかった土壌からも病原菌
を検出しており、危険度を測るうえで、参考になります。
を検出しており、危険度を測るうえで、参考になります。
育苗圃では、親株の定植する土壌や子苗用の土壌が汚染されて
育苗圃では、親株の定植する土壌や子苗用の土壌が汚染されて
いた場合、発病の危険性が増します。また、本圃では、前作の発
いた場合、発病の危険性が増します。また、本圃では、前作の発
病程度と相関が高く、これらを調査することが重要です。
病程度と相関が高く、これらを調査することが重要です。
評価方法
2)土壌中の病原菌密度
2)土壌中の病原菌密度
イチゴ炭疽病・萎黄病・疫病感染苗検査マニュアル(千葉県他
調査方法
マニュアルに記載した内容は、2013年~2015年に三重県内
で調査した内容をもとに作成しています。
で調査した内容をもとに作成しています。
栽培地域により、品種や栽培方法が異なります。そのため、診
栽培地域により、品種や栽培方法が異なります。そのため、診
断を行うにあたっては、地域の実情に応じて調整する必要があり
断を行うにあたっては、地域の実情に応じて調整する必要があり
ます。
ます。
診断手順
1)マニュアル内容
1)マニュアル内容
マニュアルに記載した内容は、2013年~2015年に三重県内
象
7
対
留意点
留意点
そ の 他
― 183 ―
対
象
診断手順
7
4)親株の潜在感染
調査方法
三重県では、親株の更新割合は低く、前年に育苗した苗を各生
産者の圃場で保管し、春先に親株として定植しています。そのた
め、前作で発病が見られた圃場では、親株の中に潜在感染した苗
が含まれ、ランナーを通じて子苗に伝染することがあります。
評価方法
5)前作発病程度
毎年の萎黄病の発病程度を知ることは、圃場での発病のしやす
さを測るうえで大切な情報になります。どの程度、いつ頃から発
生したか、記録をつけるようにしてください。
診 断 票
6)育苗期の発病
対策技術
育苗期の感染が原因と思われる発病を本圃で確認しています。
定植時には、葉の奇形等の異常株が見られた場合は廃棄してくだ
さい。感染苗の持ち込みにより、苗の発病だけでなく土壌に病原
菌が残る要因となります。
留 意 点
そ の 他
― 184 ―
日本植物病害大事典(岸
東京,p489-490
國平
編集).全国農村教育協会,
辻 朋子・黒田克利・鈴木啓史・對馬誠也・吉田重信(2014).
イチゴ炭疽病菌および萎黄病菌の土壌菌密度と発病の関係.
日植病報 81:86(講要)
対策技術
須賀晴久・平山喜彦・森島正二・鈴木 健・景山幸二・百町満朗
(2011).イチゴ萎黄病菌の特異的検出が可能なPCR 用プライ
マー.日植病報 77:62.(講要)
診 断 票
Nisimura, N.(2007). Selective media for Fusarium
oxysporum. J. Gen. Plant Pathol.73:342-348.
評価方法
Kageyama, K., Komatsu, T., Suga, H.(2003). Refined PCR
protocol for detection of plant pathogens in soil. J. Gen.
Plant Pathol. 69:153-160.
調査方法
イチゴ炭疽病・萎黄病・疫病感染苗検査マニュアル(「イチゴ健
全種苗生産のための病害検査プログラムの構築」研究プロジェク
トチーム).
診断手順
【参考文献】
象
8
対
その他
留 意 点
そ の 他
― 185 ―