日本大学病院 消化器病センター[消化器内科]ニュースレター

日本大学病院 消化器病センター[消化器内科]ニュースレター
No 6, 2016 vol.1
消化器内科医局長
高橋利実
本年より消化器内科医局長となりました高橋と申します。
2014 年 10 月に新しく生まれ変わった日本大学病院も、昨年の 10 月で無事に開院 1 年を迎える
ことができました。開院当初は不慣れなこともありましたが、現在は新しいシステムにも慣れてき
ており、以前と比べるとかなりスムーズに診療が行えるようになってきたと感じています。開院後
から現在まで内視鏡や超音波といった検査の件数は順調に増加しており、最近では日本大学病院へ
ご紹介いただける患者さんも増えてきています。これも皆様のご理解とご協力あってのことと感謝
しております。これからも地域の皆様のご期待に沿えるような病院を目指して、日々の診療に勤し
んでいきたいと考えています。今後とも変わらぬご支援のほど、お願い申し上げます。
消化器病センターの試み
当消化器病センターは、内科と外科で構成されており、週に 1 度合同カンファレンスを行っており、
悪性腫瘍のほか、胆石、胆嚢炎、腸閉塞といった緊急疾患などが幅広く相談されています。今回は
その中でよく見られている胆嚢炎、胆管炎についてお話したいと思います。
日常診療で胆嚢結石による胆嚢炎、総胆管結石や胆管腫瘍による胆管炎を見る機会は多く、発熱、
黄疸、腹痛、などが見られた場合には、胆管炎や胆嚢炎を疑って検査を進める必要があります。急
性胆道炎には、東京ガイドラインという診断基準が存在します。以前は明確な診断、治療について
記載したガイドラインはありませんでしたが、2007 年に東京ガイドラインが作成され、改定を加
えた東京ガイドライン 2013(TG13)では、急性胆管炎、胆嚢炎に対する診断から重症度判定、さ
らにはそれに応じた治療法が示されています。胆管炎、胆嚢炎ともに、診断には血液検査や画像診
断が必須となり、治療はまず保存的加療(絶食、抗菌剤の投与)を行いますが、胆管炎の場合は胆
道ドレナージ、胆嚢炎の場合は緊急手術や胆嚢ドレナージ(PTGBD や ENGBD)を行なうことも
少なくありません。紙面の関係上ガイドラインについて詳しく述べることはできませんが、たとえ
軽症であっても初期治療に反応しない場合には、緊急処置を行うことの可能な施設への転送が望ま
しいとされていて、それに対する搬送基準も示されています。当センターでは、内科と外科で密な
連携をとって診療にあたっており、入院時の血液検査や腹部超音波での所見によって重症度判定を
行ない、初期治療を検討しています。一度保存的加療を選択した場合でも、翌日以降の様子によっ
ては緊急で手術を行うこともあり、昨年だけでも緊急で胆石の手術をした患者さんは数多くみられ
ます。
重症の胆嚢炎で内視鏡的にドレナージを
行った一例。透視下で胆嚢内にガイドワ
イヤーを進め、その後ドレナージチュー
ブを挿入(ENGBD)。この患者さんは処
置後に炎症の改善を認め、待機手術を行
った。
急性胆嚢炎の一例。腹部超音波検査で胆
嚢の腫大、内部に多発する結石を認めて
いる。38 度を超える発熱と強い右季肋
部痛が持続しており、画像検査、血液検
査の結果とあわせて、外科と相談し緊急
手術を行った。
今回ご紹介した東京ガイドラインは、必ずそれに従うものではなく、個々の患者さんの状態に応じ
て変化させていくべきものとされています。胆管炎、胆嚢炎の診断には血液検査、画像検査が必須
となっています。急性胆道炎は早い段階での診断と速やかな治療への移行が必要とされる疾患でも
ありますが、当消化器病センターでは内科的治療、外科的治療ともに対応が可能となっています。
胆管炎や胆嚢炎が疑われた場合には、ぜひ、ご相談ください。
医療連携室(直通):03-3293-1741
受付時間:[平⽇]9:00〜19:00/[⼟曜⽇]9:00〜12:00
2/1 現在
日本大学病院ホームページ http://www.nihon-u.ac.jp/hospital/
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