ベトナム国6都市でU-BCFの実証実験を開始

記者発表資料
平成 28 年 2 月 10 日
上下水道局・海外事業課
ベトナム国6都市でU-BCFの実証実験を開始
― 「チーム北九州」でU-BCF技術をハイフォンからベトナム各地へ ―
■ 北九州市の中小企業(株式会社ユニ・エレックス)は、JICA(独立行政法人 国際協力機構)
の中小企業海外展開支援事業∼普及・実証事業∼「ベトナム国上向流式生物接触ろ過(U-BCF)
を活用した浄水処理の普及・実証事業」において、ベトナム国6都市の浄水場において、U-BCF
の効果検証を行うための実証事業に着手する。
■ この普及・実証事業の実施にあたっては、北九州市上下水道局、株式会社松尾設計(八幡東区)、
一般財団法人北九州上下水道協会(小倉北区)の3者が連携し、ユニ・エレックスを支援する。
■ この普及・実証事業の進捗にあわせ、平成 28 年 1 月 6 日に設立した日越合資会社(Japan
Advanced Water Technology Vietnam Co., LTD、資本金 100 万米ドル)が、同時進行的に営業
活動を行い、具体的な浄水場における U-BCF 整備工事の受注を目指す。
■ ユニ・エレックスを含む「チーム北九州」は、北九州市で開発された U-BCF の技術や関連製品
を普及させていくことで、ベトナム国の水道水質の問題解決と、本市の新たな水ビジネスとし
ての開拓を目指す。
1.事業概要
J I C A 事 業:
中小企業海外展開支援事業(普及・実証事業)
【JICA ホームページ】http://www.jica.go.jp/sme_support/
案
件
名:
ベトナム国上向流式生物接触ろ過を活用した浄水処理の普及・実証事業
受 注
者:
株式会社 ユニ・エレックス
設立年月日: 平成 2 年 8 月 30 日
(小倉南区大字朽網 3914-47、代表 村上勝昭)
資 本
金: 1,000 万円(従業員 12 名)
年 間 売 上:
約4億円(電気設備・計装設備等の製造販売)
契 約 金 額: 99,610,560 円(平成 28 年 2 月 9 日契約)
契 約 期 間:
平成 28 年 2 月∼平成 31 年 2 月(3 年間)
普及・実証事業の対象都市(浄水場)
都市名
行政人口
浄水場名
処理能力
ハイフォン
1,871 千人
ハイフォン No.2
20,000 m3/日
クァンニン
1,170 千人
ギエンボン
60,000 m3/日
ナムディン
1,831 千人
イーイェン
6,000 m3/日
フートォ
1,326 千人
ヴィエットリ
60,000 m3/日
ホーチミン
7,549 千人
タンヒエップ
300,000 m3/日
ティエンザン
1,680 千人
カイレイ
4,000 m3/日
※中小企業海外展開支援事業(普及・実証事業)
中小企業の海外展開の促進とともに地域経済の活性化の促進を支援する JICA の制度。平成 26 年
度の公募では、全国の中小企業から、計 84 件の応募があり、本案件を含む 24 件が採択された。
(福
岡県からは本件のみ、九州沖縄では本件を含む 3 件が採択された。
)
【次ページにつづく】
担当
上下水道局 海外事業課
矢山、久保田 (3111)
平成 28 年 2 月 10 日
上下水道局・海外事業課
2.U-BCF 普及・実証事業の概要
① 各都市の浄水場に U-BCF 実験装置を設置する。
② 各都市で 1 年間 U-BCF の実証実験を行う。なお、日々の効果
検証(水質試験)は、各都市の水道公社職員が担う。
(水質試
験機材等は、本事業において供与)
③ 北九州市を含む「チーム北九州」は、技術職 4 名を延べ 4 ヶ月
間現地に派遣する。
④ 北九州市とハイフォン市は、各都市の水道公社職員を各 1∼2
週間程度受け入れ、U-BCF に係る研修を実施する。
U-BCF 実験装置
3.実施体制
チーム北九州
北九州市
上下水道局
北九州
上下水道協会
(U -BCF技術指導)
(水質 分析指導)
ベトナム国6都市
(普及・実証事業)
実証実験
(株)ユニ・エレックス
(幹事企業)
現地
支援
ハイフォン市水道公社
(株)松尾設計
( コンサルティング)
(ビジネス展開)
U-BCF案件
Japan Advanced Water Technology Vietnam. Co., LTD
発注
(平成28年1月6日設立・資本金100万米ドル)
受注
日
越
合
資
会
社
・ U-BCFの設計・施工
・ 蛇口一体型浄水器の普及販売
・ 水道機材等の輸入代理店業務
【出資会社】
・(株)タカギ
・ハイフォン市水道公社
・若築建設(株)
・(一財)北九州上 下水道協会
・北九州管工事協同組合
・(株)松尾設計
・(株)ユニ・エレ ックス
4.経緯
平成 25 年 5 月、本市は、ハイフォン市水道公社と「U-BCF 普及に向けた相互協力協定」を締結。
平成 26 年 5 月∼10 月、本市は、ベトナムの 11 都市で U-BCF のニーズ調査を実施。
平成 26 年 10 月、駐日ベトナム大使から北九州市長宛てに、本市の U-BCF に係る取り組みを求める
要請書が発せられた。
平成 26 年 10 月、ユニ・エレックスは、U-BCF 導入の可能性があると判断したベトナム 6 都市を抽
出し、U-BCF 実証実験を「JICA 中小企業海外展開支援事業(普及・実証事業)」
に提案。
平成 27 年 1 月、JICA は、ユニ・エレックスの提案を採択。
平成 27 年 2 月∼28 年 1 月、JICA により、ユニ・エレックスとの契約交渉と、対象 6 都市の事業実
施合意議事録(M/M)の取り付けが行われた。
平成 28 年 1 月 6 日、日越合資会社「Japan Advanced Water Technology Vietnam Co., LTD」が、ベ
トナム法人として登記完了。
平成 28 年 2 月 9 日、JICA は、ユニ・エレックスと本事業に係る業務委託契約を締結。
ベトナム国上向流式生物接触ろ過を活用した浄水処理の普及・実証事業
ハイフォン市水道公社
(現地連絡調整)
上下水道協会
(水質分析指導)
ユニ・エレックス
(幹事企業)
北九州市
(U-BCF技術指導)
事業費総額
約1億円
(3年間)
松尾設計
(コンサルティング)
実施内容
【第1ステップ】
国内研修の実施
対象都市の水道事業体を日本に招
へいし、U-BCF設備を紹介するととも
に、実証実験を協働で実施するため
の十分な十分な知識を習得させる。
【第2ステップ】
現地で実証実験
各BCFの有効性を確認するため、
6都市各々の対象都市において、
1年間の実証実験を実施する。
工程計画案
2016
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
2017
8月
9月
10月 11月 12月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
2018
8月
9月
10月 11月 12月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
2019
8月
9月
10月 11月 12月
契 約
ホーチミン
ハイフォンNo.2
フートォ
クァンニン
ナムディン
ディエンザン
全体会議
受入
研修
実験機
設置
実証実験
評価
総合評価
1月
2月
3月
上向流式生物接触ろ過(U-BCF)
本市上下水道局は、高度浄水処理方式として、粒状活性炭をろ材とする上向流式生物接触ろ
過設備を導入している。この設備は、微生物による自然浄化作用を利用して、汚濁物質を効率
よく除去し、安全でより良質な水を作るものである。
北九州市上下水道局
特許第 3831055 号
U-BCF の原理
自然の川底の小石などに付着した微生物が、汚濁
物質(アンモニア態窒素、マンガン、鉄及び有機
物など)を取り込み分解する作用を、人口の装置
内でより効果的に再現させる処理方法。粒状活性
炭は表面が凸凹(多孔質)で小石などよりはるか
に微生物が生息しやすい形状である。
一般的な高度処理
(オゾン活性炭)と比べ
建設コスト
約1/2
ランニングコスト
約1/20
開発経緯
【断面図】
北九州市における U-BCF の導入
2000 年、本城浄水場に、71,000m3/D の U-BCF を導入
2003 年、穴生浄水場に、171,000m3/D の U-BCF を導入
2009 年、本城浄水場に、35,500m3/D の U-BCF を追加導入。これ
により、本城浄水場の U-BCF は、計 106,500m3/D の能力を有する。
JICA中小企業海外展開支援事業
【第1ステップ】 JICA草の根技術協力事業(平成22∼24度)
対象:ベトナム国ハイフォン市(北九と友好都市関係)
内容:北九の高度処理(BCF)の実証プラントを設置。
関連する浄水技術の移転。(効果検証を含む)
1年間の実証実験の結果、BCFの有効性が確認された。
北九州市が国内特許を有する高度処
理技術BCF(生物接触ろ過)
微生物による浄化作用を利用した高度浄水処理施設で、
水道水源の有機物対策として有効(アンモニア性窒素、マ
ンガンも除去が可能)
オゾン処理と比べ
・建設コスト: 約1/2
【第2ステップ】 小規模浄水場へ導入
・ランニングコスト: 約1/20 (0.36円/m3)
ハイフォン市は、自己資金で小規模浄水場(5,000m3/日)にBCFを導入
することを決定。2013年5月に着工。同年12月に竣工。
北九のBCFは、途上国にも輸出可能であることが証明された。
【第3ステップ】 主力浄水場へ導入
主力浄水場(10万m3/日)に、日本の無償資金協力でU-BCFを整備し、ベト
ナム国におけるU-BCFの普及に向けた広告塔とする。
【最終ステップ】 ベトナム国6都市でU-BCFの実証実験
水道水源の水質問題を抱えるベトナム各地の浄水場にU-BCFの整備を図
り、日越Win-Winの水ビジネスとして実現させるため、対象6都市で実証実
験を行い、U-BCFの有効性を数値で確認する。
ビンバオ浄水場に完成したU-BCF