第 9 回図書館総合展プレゼンテーションプログラム予稿 公共図書館における指定管理者の取り組み 丸善株式会社 石井 文雄 業 務 委 託 に は じ ま る。2003 年 に は 事業は、2000年の大学図書館運営の 丸善の図書館運営のアウトソーシング の利用者支援も行われている。 めの情報リテラシー教育やデータベース による情報収集が注目されておりそのた また、データベース、インターネット ﹁行政情報﹂サービスが注目されている。 をはじめ、﹁健康︵医療︶情報﹂ 、﹁多文化﹂ 丸善による特色ある運営 択している場合が多い。 ﹁共同事業体﹂として運営する方法を選 以外の専門的な業務は、協業企業と共に また、施設管理やホール運営など図書館 営 能 力 に よ り そ の 業 務 を 遂 行 し て い る。 の特徴を生かしたノウハウと専門的な運 はじめに 公共図書館も開始した。民間や各種団体 図書館の運営 による図書館運営を導入する趣旨は、民 ス 提 供 や 新 た な 情 報 環 境 へ の 対 応 な ど、 資料や情報収集に関する専門的なサービ 減効果が期待される反面、 図書館機能は、 な運営とされている。運営は人件費の削 または検討されている自治体が増加して いる。特に指定管理者による運営が導入 PFI な ど 多 様 な 運 営 形 態 を 採 用 し て 団 体 に よ る 業 務 委 託、 指 定 管 理 者 制 度、 る 独 自 運 営 以 外 に 民 間 や NPO な ど の 図 書 館 の 運 営 は、 従 来 の 自 治 体 に よ 丸善による運営の主たる特色は次の通り 画、 提案して実施しているところである。 定﹂される企業として特色ある運営を企 がある。その上で、丸善は自治体に﹁指 ズを的確に把握し効果的に対応する必要 ズが多様化するなか、図書館運営はニー これまでみてきたように、利用者ニー 間のノウハウ活用による効率的・効果的 従来よりも多種多様で専門的なスキルが い る。2005 年 度 の 指 定 管 理 者 に よ である。 求められている。ここでは近年増加しつ 館、町 つある指定管理者制度における弊社の図 館である。 る図書館運営は、市︵区︶立で 館、村立 公共、大学、企業及び独立行政法人な 立 書館運営の特徴を紹介する。 公共図書館の現在 の地方自治法の改正により導入された どの図書館運営をはじめ、図書の整理装 館、 市︵ 区 ︶ 町 村 立 が あるのとは大きく異なる。また、地方公 共団体の承認を得て利用料金を設定する ことができるのも特徴である。 指定管理者による運営 指定管理者による図書館運営は3つの 理運営、⑶図書館以外の複合施設が含ま │図書館専門部門の設立│ 公 共 図 書 館 は、2005 年 度 現 在 で が、その趣旨は利用者ニーズの多様化に 備業務、再配架・保管サービス、コンテ ・図書館サービスセンターによる運営 、979 館あり、そのうち都道府県 対応した民間・団体のノウハウを活用す ンツ制作を主たる業務とする図書館専門 月 、891 るとされている。この制度では、施設運 立が 営の管理権限を指定管理者に﹁委任﹂す ている。 図書館業務は、貸出・返却などの基本 業務に加えて地域の特色を活かした資料 の収集や生涯学習への支援、多様化する められており、地域資料やデータベース 方法に区分される。⑴図書館業務のみに 新たな提供サービスとしては、地域や れる管理運営である。指定管理者は、各々 限定される運営、⑵図書館業務と施設管 利用者ニーズを反映した﹁ビジネス支援﹂ が要求されている。 等は、専門性の確保と質の高いサービス 情報環境に対応した様々なサービスが求 制度における管理権限が地方公共団体に 館 で あ る。 文 部 科 学 省﹁ 社 会 教 育 調 査 ﹂ 指 定 管 理 者 制 度 は、2003 年 43 が 実 施 し た 1990 年 度 と 比 較 す る と は 1 ることから、従来の業務委託や管理委託 6 10 館減少しているのに対し 都道府県立が 2 2 て、 市︵ 区 ︶ 町 村 立 は 147 館 増 加 し 8 62 8 丸善ライブラリーニュース 号外 部門﹁図書館サービスセンター﹂が設立 書館活動を行っている。 師や教育を支援していただき特色ある図 ・書店の特色を生かした運営 されている。当センターは業務委託や指 定管理者による運営において様々な課題 に対してソリューション提供を実践して 客、 学術担当部門との連携による展示会、 ビスを提供している。書店での接遇・接 者ニーズを把握した独自企画事業やサー 実際の運営では、図書館の背景や利用 フのスキルを活用した図書館運営を行っ ど〝ブックアドバイザー〟や店舗スタッ 書館のディスプレイ方法や図書の紹介な サービスの向上を図っている。また、図 ター業務に積極的に取り入れて利用者 ルである。そのノウハウを図書館カウン 書店は接遇・接客のプロフェッショナ 図書などの情報提供、データベース利用 いる。 支援、デジタルコンテンツ作成支援など ている。 ビスの提供を特徴としている。 ・行事・催事 ︵電子媒体資料、デジタルコンテンツの 企画による行事・催事の企画による当該 援を行うことで、多機能化する図書館の 情報リテラシー教育と現場での利用支 作成、インターネット︶ 図書館の特色を活かした運営を目的とし 今後の計画 利用支援を行っている。 利用者サービス向上の一環として独自 ・新しい情報環境への対応 図書館の特色に対応した総合的専門サー ﹁洋書絵本図書館﹂︱絵本展示会︱ 図書館の運営形態が流動化しつつある なか、利用者ニーズの多様化に対応した 新たなサービスが展開されようとしてい 対象とした個人情報保護と接客接遇研修 い る。﹁ 集 合 研 修 ﹂ に よ る 全 ス タ ッ フ を 独自の教育研修プログラムを策定して まれている。今後も事業背景やソリュー での再教育の共同事業などが既に取り組 の連携、高齢者施設が併設された図書館 料サービスや複合施設での劇場と図書館 る。宅配サービスにみられる図書館の有 を は じ め﹁ ス テ ッ プ ア ッ プ 研 修 ﹂ で は、 ション力を最大限に生かした図書館運営 ・教育・研修 書館﹂を展開している。 本によるテーマ展示である﹁洋書絵本図 出版社、取次店と丸善の協業により絵 て﹁読書ラリー﹂ ﹁絵本展示会﹂﹁大人の ための朗読会﹂などを実施している。 夏休み期間中、貸出時にスタンプを押 ﹁読書ラリー﹂ して、読書数に応じてスタッフが独自に 作成した賞状・メダルなどの記念品を配 布している。 著作権や補修などの専門的研修を取り入 を提案し評価される企業を目標とした事 図書館サービスセンター副センター長︶ ︵教育・学術事業本部 業展開を行っていく。 れて専門性スキルを育成している。 ・大学・専門機関の人材ネットワーク これまで蓄積してきた人材ネットワー クをいかして、講座やセミナーなどの講 丸善ライブラリーニュース 号外 9
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