講義7

LTIシステムとその入出力
• これからデジタルシステム(離散時間システ
)を考察
行く前 、基本的な
性質
ム)を考察して行く前に、基本的な2つの性質
について見ていく。
– 線形性
– 時不変性
システムの表現
• これから離散時間システムを扱うに当たり、
表
システムの表現方法について説明をする。
• ブ
ブロック図
離散時間シ テ を図 表す場合、以下 よ
離散時間システムを図で表す場合、以下のよ
うなブロック図によって表現する。
入力x[n]
離散時間システム
出力y[n]
x[n]は入力であり、これがシステムにより変換
力 あり れが
り変換
されてy[n]が出力される。
y[ ]
• システムでは入力された値に対してさまざまな処理
ざ
を行うが、処理を関数の形で以下のように表すこと
がある。
がある
y[n] = φ ( x[n])
φは任意の関数を表している。入力されたx[n]は関
は任意 関数を表
る 入力された は関
数φで何らかの変換が行われ、出力y[n]として取り
出される とを
出されることを示している。
る
• その他に次のように表されることもある。
他 次
う 表され
もあ
x[n] a y[n]
線形性
• 線
線形性を持つシステムを線形システム(linear
性を持
を線
system)と呼ぶ。
• 線形システムを満たすための必要十分条件は次
のようになる。(aは任意の実数)
φ (ax[n]) = aφ ( x[n])
φ ( x1[n] + x2 [n]) = φ ( x1[n]) + φ ( x2 [n])
あるシステムが上の二つの式を満たすとき、その
システムは線形システムと言える。
• それぞれの式について考察してみる。
ぞ
考
φ (ax[n]) = aφ ( x[n])
• この式では、システムに入力する前に値をa
倍にした場合と、システムに通してから値をa
倍にした場合で出力結果が等しいことを示し
ている。
ている
• 上式を満たすシステムの例として次のような
ものがある。
• このシステムは入力値を2倍にするだけのシ
ステムである。
• 入力の値を3倍にしてシステムに通すと、出
力値はもとの入力値の6倍となる。
力値はもとの入力値の6倍となる
• よって入力をそのままシステムに通して(この
時点で2倍)、さらにあとから3倍した場合と結
果は同じになる。
• 補
補足
信号
信号のかけ算に関しては乗算器と呼ばれる
け算 関
乗算器 呼 れる
記号を用いる。乗算器を用いて先ほどの図を
書き直すと次のようになる。
書き直すと次のようになる
φ ( x1[n] + x2 [n]) = φ ( x1[n]) + φ ( x2 [n])
• この式では、システムに入力する前に2つの
値を加算した場合と 別々にシステムに通し
値を加算した場合と、別々にシステムに通し
てから加算した場合で出力結果が等しいこと
を示している。
を示している
• 上式を満たすシステムの例として先ほどの入
力値を2倍にするだけのシステムがある。
• 例で示したように、入力値を2倍にして出力す
る け シ テ
るだけのシステムは、2つの式を満たすため
、
式を満 す
線形システムであるといえる。
時不変性
• 時
時不変性を持つシステムを時不変システム(time変性を持
を時 変
invariant system)と呼ぶ。
• 時不変システムを満たすための条件は次のように
なる。(n0は任意の整数)
y[n] = φ ( x[n]) のとき
入力が時間方向にn0シフトして
x[n − n0 ]
となった場合、出力が y[n − n0 ] = φ ( x[n − n0 ]))
と入力と同様にn0だけシフトするシステム。波形自
体は変わらない。
• 次
次の図は時不変システムの入出力の例を示
図は時 変シ
ム 入出力 例を
している。時不変システムでは、次の図のよう
に入力される時点のずれと出力波形のずれ
が 致する。波形は変わらない。
が一致する。波形は変わらない。
• 例題
y[n]=φ(x[n])=
y[
] φ( [ ]) x2[[n]で与えられる離散時間シス
]
テムの線形性、および時不変性について述
べよ。
べよ
• 例題
あるシステムの入出力関係が
y[n] ax[n]+b
y[n]=ax[n]+b
で与えられるとき、このシステムの線形性を
で与えられるとき
このシステムの線形性を
調べよ。ただしx[n]とy[n]はそれぞれ入力と出
力
力で、a,bは定数である。
定数 ある
• 例題
あるシ テ
あるシステムの入出力関係が
入出力関係
y[n]=φ(x[n])=x[kn]
であるとき このシステムの時不変性を検討
であるとき、このシステムの時不変性を検討
せよ。ただしkは自然数である。
• 線形かつ時不変なシステムを線形時不変シ
y
ステム(linear time-invariant system:LTI
system)と呼ぶ。
• 基本的なデジタルフィルタではLTIシステムを
扱う。
因果システム
• 入力x[n]が
x[n]=0
n<n0
ならば、
y[n]=0
n<n0
であるばあい(n0は任意の整数)、このシステムは因
果性を満足しており因果システムと呼ぶ。
入力 値 入
初め 出力 値 出るシ テ
• 入力に値が入って初めて出力に値が出るシステム
であると考えることができる。
出力値の決定には それ以前の入力値のみを用い
• 出力値の決定には、それ以前の入力値のみを用い
るシステムである。(未来値を用いない)
• LTIシステムのインパルス応答でh[n]=0 n<0を満足
するとき、そのシステムは因果システムである。