プレスリリース(177KB) - ADEKA

プレスリリース
2008 年 4 月 15 日
各
位
東京都荒川区東尾久七丁目 2 番 35 号
法務・広報部 総務・広報G
お問い合わせ先 03-4455-2803
http://www.adeka.co.jp
環境対応型 光カチオン重合開始剤を開発
株式会社ADEKA(代表取締役社長
櫻井邦彦)は、環境対応型の光カチオン重合開始剤(ア
デカオプトマーSP-300)を開発しました。
従来の光カチオン重合(光硬化)開始剤は、光照射による高感度の硬化性を有し、経時安定性
も良好であることから、金属イオン(六フッ化アンチモン酸イオン)をアニオン成分とするオニ
ウム塩が使用されてきましたが、昨今の世界的な安全性意識の高まりにより、毒性、発がん性の
恐れがあるとされるアンチモンを使用しないアニオン成分の出現が待たれていました。
このたび、当社が開発したホウ素系オニウム塩 光カチオン重合開始剤は、従来品と同程度の高
感度硬化性や経時安定性を有しつつも有毒性金属を使用していないことから安全性が高いもので
す。
光カチオン重合(光硬化)開始剤は、エポキシ樹脂やオキセタン樹脂のプレポリマーを、光分
解により発生した酸で重合(硬化)させるために使用します。プレポリマーに対して、約 1%の光
カチオン重合開始剤を添加して、紫外線を照射することでエポキシ樹脂を硬化させます。
エポキシ樹脂を硬化させる方法は、フェノール系の硬化剤などを混ぜて熱(200℃程度)を加え
る方法が一般的ですが、これに対し、紫外線照射による硬化は、熱に弱い材料(基材)にも使用
出来ることから、
「光コーティング」
、
「光接着」、
「光造形」等の分野において、需要が伸長してい
ます。具体的には、光学フィルム、ID カード等へのハードコート、携帯電話やカメラのレンズの
接着用途等、様々な精密機器への適用が見込まれます。
また、熱硬化剤と違い、用途に応じて速乾性を持たせたり、遅延性を持たせたりすることがで
きるため、レンズ、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)などの光素子、TAB 実装(Tape
Automated Bonding の略)コネクターシールなどの電子部品の接着など、幅広い分野への展開が
期待できます。
さらに、硬化時間の短縮による生産効率の向上が期待できるほか、熱硬化に比べ硬化に要する
エネルギーが少ないことにより CO2 の発生削減などの環境面でのメリットも挙げられます。
当社は、5年後には売上高 10 億円/年を目標にしております。
以上
1/2
‹
‹
‹
‹
‹
‹
‹
有毒金属
イオンには水銀、カドミウム、クロム等がある。
カチオン重合
カチオン重合(—じゅうごう)とは、イオン重合のうち、活性種がカチオンである重合のこと。
一般的に用いられる開始剤としては、一般のブレンステッド酸の他に三塩化アルミニウムに
代表されるルイス酸なども用いられる。また、用いるモノマーとしてはエポキシなどの樹脂
が用いられる。
光カチオン重合開始剤
光照射によりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能な化合物
カチオン
電子を放出して正の電荷を帯びた原子、または原子団を陽イオン(ようイオン、positive ion)、
あるいはカチオン (cation) と呼ぶ。金属イオンはすべて陽イオンである。
アニオン
電子を受け取って負の電荷を帯びた原子、または原子団を陰イオン(いんイオン、negative
ion)あるいはアニオン (anion) と呼ぶ。ハロゲンはすべて陰イオンとなる。
オキセタン樹脂
エポキシ樹脂で良く知られるオキシランより炭素数が1つ多い4員環の環状エーテル化合物。
オキセタン樹脂は、エポキシ樹脂に比べエーテル酸素の求核性が高く、優れたカチオン重合
性を有しているだけでなく、ラジカル硬化型樹脂にない多くの長所を持つ全く新しいカチオ
ン硬化性樹脂です。
オニウム塩(正、負両イオンが既存化学物質から生成されるものである場合に限る。)
オニウム塩とは、化学結合に関与しない電子対を有する化合物が、当該電子対によって、他
の陽イオン形の化合物と配位結合して生ずる化合物をいいます。
なお、正、負両イオンが既存の化学物質から生成されている場合とは、オニウム塩の対イオ
ンが既存のオニウム塩等の構成部分となっている場合をさします。
2/2