第2章 子ども虐待の対応 医療機関 ~ 発見から相談・通告まで ~ 虐待の発見もしくは疑い (主治医、救急担当医、看護師等) 虐待状況 チェックリスト (P34) 情報収集と事実確認 (チェックリストの活用) 児童虐待の 重症度判定の目安 (P36) 院内で相談・検討(体制は、各機関による) 重症度を判定 〈虐待の疑いなし〉 〈虐待の疑いあり〉 相談・通告 診療記録記入 ※相談・通告内容は、『相談・通告受付票』を参照(P37) 【虐待と思われる内容】 ・発見日時、場所 ・診察時の所見 など 生命の危険 緊急性が高い場合 柏崎警察署 0257-21-0110 緊急性が高い場合 長岡児童相談所 0258-35-8500 又は 189 ◎関係機関で情報共有 を図り、支援・見守りを 行う。 子育て支援センター 0257-20-4215 ※土日祝日、年末年始及び夜間時間外は 柏崎市役所 0257-23-5111 ◎緊急性が高い場合 子どもの生命に危険があるなど、緊急性が高い場合は、直ちに警察署又は児童相談所へ連絡してください。 〈緊急性が高い場合の例〉 □身体的外傷、出血、骨折など障がいが残る恐れや生命の危険がある。 □子どもへの激しい暴力を確認した。 □極端な栄養障害や慢性の脱水症状がある。 □性的虐待が強く疑われる。 □家の中から、異様な泣き声や悲鳴などが聞こえる。 □遺棄・置き去り児を発見した。(道路や危険な場所に幼児が一人でいるなど) 17 第2章 子ども虐待の対応 責任と役割 日常診療で子どもや保護者に接する機会のある医療機関では、虐待を発見しやすい立場にあります。虐待の可 能性を念頭において診察にあたり、虐待の可能性のあるケースに遭遇した場合には関係機関と連携をとり、虐待の 防止に努めることが必要です。 初期対応のポイント ●通告義務 虐待を受けたと思われる子どもを発見した場合は、通告の義務があります。通告することによって、医療機関が 刑法上の守秘義務違反に問われることはありません。 受傷状況が重篤な場合等、事件性が疑われる場合は併せて警察にも通報します。 ●周産期からの見守り 産前産後の心身の不調や家庭環境の問題等から、親の不安や子育ての困難が予想される場合には、子育て 支援センターに連絡し連携をとりながら、虐待の未然防止に努めます。連絡には、保護者の同意を得ることが望ま しいですが、同意が得られなかった場合でも情報提供は可能であり、早期の支援に役立ちます。 ●周辺状況からの判断 虐待に特徴的なサインを見逃さないようにしましょう。子育て家庭に対して注意深く観察を行うことが大切です。 気になる親子の段階で関係機関に連絡しましょう。 援助のポイント ●児童の生命の安全が最優先 外来や救急で虐待が疑われたとき、家に帰してよいか、入院させた方がいいかどうか判断が必要になります。何 の対策もとらずに再び自宅に帰してしまった後、再受傷し重症化してしまう場合もあります。子ども・保護者の様子 から自宅では子どもの生命の安全が確保できないと思われる場合は、入院させて子どもの安全を確保しつつ、対 応について検討していくことが重要です。 代理ミュンヒハウゼン症候群 (Munchausen Syndrome by proxy) 保護者が子どもの体調について嘘の症状を訴えたり、検査所見を細工したり、子どもの体に手を加えたりして子 どもを病人に仕立てることで、親は献身的に看病する役割を演じ、周囲の同情と関心を得ようとします。 子どもは大変な苦痛を受けるだけではなく、学校等を長期に欠席しなければならないなど、本来の生活を奪わ れることになり、成長・発達に様々な影響を受けます。最悪の場合は、死亡する可能性もあります。 18
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