基礎公法特論1 1年次 選択必修科目3 前期 月曜・1時限 髙森雅樹 小林 由

科 目 名
年 次
区 分
期
曜日・時限
担 当 教 員
基礎公法特論1
1年次
選択必修科目3
前期
月曜・1時限
髙森雅樹
小林 由
【科目のねらい】
法学にほとんど触れたことがない未修者を対象として,将来,法曹として取り扱うことになる法律
(特に行政法規)について,①まず,それがどのような過程(立案過程・審議過程)を経て制定され
ているのか,②そのようにして制定される法律案を立案するに際しては,その構成(規定の順序)や
表記(用字用語や法令用語)に一定の「決まり」があるが,それはどのようなものか,といった事項
について取り上げる。他方,③国会において憲法論議がどのように行われてきたか,また,現に行わ
れているか,についても整理しながら,講義する。
これらの講義を通じて,公法学の基礎的な考え方やその実践的意義の理解に資するとともに,
「基礎
憲法1」などの基幹的な科目の理解を助けるような補習的科目となることを目指したい。
【授業の方法等】
2人の担当者で分担しながら,講義方式で行うことを基本とする。また,受講者数によっては,適
宜,演習方式(予習課題を基にした対話方式を含めて)も併用したいと考えている。
【教材等】
基本的な教材については,講義の際に配付する予定であるが,講義の前提となる立法過程に関する
概説書として,次のものを掲げておく。
・大森政輔・鎌田薫編著『立法学講義(補遺)
』
(商事法務,2011 年)
・日本弁護士連合会地方自治のあり方と弁護士の役割に関するワーキンググループ編『自治体と弁護
士の連携術』
(ぎょうせい,2012 年)
【成績評価】
平常点(40%)
,レポート(60%)による。
【各回の内容】
各回の講義の内容については,大要,以下のようなものであるが,受講者数及びその関心の所在そ
の他講義の実施状況によっては,変更することがある。
第1回
《はじめに》
・本講義のねらいと講義の概要
《本論Ⅰ》立法過程論
1.現代立法の状況と特質
・明治以降の制定法律の量的推移と「立法のインフレーション」
・最近の「基本法」と「特例法」の増加/法律の役割の変化?
第2回
2.立法過程の概要
・立案過程と審議過程
・内閣提出法律案(閣法)の立案過程と議員立法(衆法・参法)の立案過程
・立案過程における「事前の党内審査」と機関承認・党議拘束
第3回
《本論Ⅱ》国会における憲法論議
1.戦後の憲法論議の流れ/衆参憲法調査会による調査から衆参憲法審査会による調査まで
・ポツダム宣言受諾~日本国憲法の制定~内閣憲法調査会による調査と報告書
・衆参の憲法調査会の設置とその背景/衆院憲法調査会における調査と報告書
・憲法調査特別委員会における憲法改正国民投票法の制定
・憲法審査会における議論の現状
第4回
2.日本国憲法の制定過程と憲法の役割に関する議論
・いわゆる「押しつけ憲法」論
・憲法の役割(近代立憲主義における憲法と社会規範としての憲法)
第5回
3.前文・天皇(第1章):憲法の顔としての規定に関する議論
・「前文」に対する様々な賛否の議論とその改正案
・天皇の元首性明記や女性天皇をめぐる議論
第6回
4.戦争の放棄(第2章):戦後憲法論議の原点たる「9条論議」(前編)
・9条解釈の論理構造
・自衛隊と(個別的・集団的)自衛権をめぐる従来の議論
第7回
5.戦争の放棄(第2章):戦後憲法論議の原点たる「9条論議」(後編)
・集団的自衛権をめぐる最近の議論(政府の解釈変更)
第8回
6.国民の権利及び義務(第3章):「人権カタログ」の豊富化と「新しい公共性」をめぐる権利
・義務に関する議論
・いわゆる「新しい権利」(環境権など)をめぐる議論
・「新しい義務」と「公共の福祉」の概念をめぐる議論
・憲法論議を反映した立法措置の具体例
第9回
7.国会(第4章)・内閣(第5章):政治部門(国会・内閣)に関する議論
・二院制をめぐる議論
・首相公選制をめぐる議論
・議会オンブズマンに関する議論
第 10 回
8.司法(第6章):違憲立法審査権行使の活性化に関する議論
・違憲審査制の類型とその運用の在り方に関する議論
・憲法裁判所の設置構想をめぐる議論
第11回
9.財政(第7章)
・地方自治(第8章)
:財政健全化・地方分権の推進に関する議論
・財政健全化条項と複数年度予算制をめぐる議論
・道州制その他地方自治体の組織・機構のあり方をめぐる議論
第12回
10.改正(第9章):憲法改正条項に関する議論
・憲法改正国民投票法をめぐる議論
・96 条の改正先行論をめぐる議論
第13回
《本論Ⅲ》法制度設計論(法制執務概論)
1.法制度設計論
・法制度化の検討(政策合理性の検討/法的整合性の検討)
・条文化(確立した立法慣行(立法技術)に基づく,正確・簡潔・平易な条文化)
第 14 回
2.法律の形式とその構成
・法律の4つの形式(新規制定法・一部改正法・全部改正法・廃止法)
・法律の一般的構成
第 15 回
3.法令における用字用語と法令用語
・法令における漢字・送り仮名等の使用について
・法令における句読点の用い方
・主な法令用語について(
「及び・並びに」,
「その他・その他の」等)