国際戦略室では今年度から

JS技術開発情報メール №171 号掲載
◇ 国際戦略室からのお知らせ ◇
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キエフ出張報告
国際戦略室長
藤本 裕之
10 月号で報告しましたが、国際戦略室では今年度から(独)国際協力機構(JICA)
から新たに業務を受託しています。JICA本部がコンサルタントに委託した設計を技術
的にサポートするもので、対象は「イラク・エルビル市」と「ウクライナ・キエフ市」で
す。11 月末から 1 週間、ウクライナ共和国の首都キエフ市に行って来ましたので、その報
告をさせていただきます。
キエフの人口 250 万人の下水をすべて引き受けて処理しているのが、ボルトニッチ下水
処理場です。処理能力は 157 万 m3/日という巨大処理場です。ソ連(なつかしいですね)時
代に建設されたもので、50 年前、40 年前、30 年前と 10 年毎に約 50 万トン分を建設された
とのことです。今回のプロジェクトは、この処理場の全面的な改築・更新を行うもので、
今年度から設計が実施されています。
ボルトニッチ下水処理場には、エアレーション沈砂池、巨大な円形沈澱池、汚泥ポンプ
を使わずに水位差で汚泥を引き抜くなど、最近の日本ではあまり見かけない施設が満載で
す。現場視察をした時は、気温零度でしたので、沈殿池からは湯気が立ち上り、さながら
「温泉」という景色でした。この温泉にはカモメがやってきて暖を取り、沈澱池の浮遊物
を食べるという、カモメにとっては食事付きの温泉です(カモメ温泉と言ったところでし
ょうか)。また、最初沈殿池汚泥は消化タンクで処理しているのですが、消化タンクは断熱
を兼ねて「土」で覆われています。処理場の中に丘があり、その頂上に消化タンクの操作
室があるという、日本では見られない光景でした。
下水処理場のような重要施設は警備が厳重とのことで、処理場周辺はコンクリート塀で
囲まれていて、管理棟の入り口にはカードキー式の改札口が置かれ、さらに自動小銃を抱
えた軍人が数人で警護していました。この写真を撮りたかったのですが、さすがにはばか
られる雰囲気でした。同行した人が、警備の軍人に「写真を撮っていいか」と聞いたので
すが、無言で首を横に振られてしまいました。
宿泊したホテルは、キエフの中心地「独立広場」に面したところにあります。独立広場
は、ウクライナの現政権が誕生するきっかけとなった市民革命の場所です。実は、その地
下に秘密があります。寒い地域ですので、地下はショッピングセンターになっています。
高級店、フードコート、スーパーマーケットと何でも揃っています。また、独立広場の周
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辺はキエフの銀座通りですので、ホテル、レストラン、さらには有名チョコレート店「ロ
ーシェン」など、にぎやかな通りです。2 か月前に出張で行ったイラクとは大違いでした。
ウクライナと言えば郷土料理「ボルシチ」で有名(ボルシチはロシア料理と思われていま
すが、本当はウクライナ料理だそうです)ですが、今回の出張中に何回か食べる機会があ
りました。キエフ市上下水道公社との食事会でのウクライナ料理店や、ホテル内のウクラ
イナ料理店、郊外のセルフサービス食堂です。ホテルのランチは 1 千円程度、セルフサー
ビス食堂ではボルシチとパンとサラダで、何と 150 円でした。ただ、今回楽しみにしてい
た「キエフ風カツレツ(バター入りチキンカツ)」は満腹のため、食べそびれてしまいまし
た。
9 月に行ったイラクは気温 42℃の快晴・超乾燥、今回はマイナス 3℃の雪景色と、仕事と
は言え、様々な経験をさせていただきました。現場の情報に基づき、より良い設計となる
よう、これからも支援をして参る所存です。気候の良い時に、もう一度訪問したいもので
す。
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写真1
カモメ温泉(湯気で曇っています)
写真2
2種類のマンホール蓋(汚水と雨水でしょうか)
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写真3
街中の風景(工事用の覆いが国旗の色になっています)
写真4
独立広場(日曜日の朝は閑散としていました)
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