2 食品安全委員会の活動 リスク評価 食品に含まれる微生物や化学物質がヒトの健康に与えるリスクを、科学的知見に基づいて評価しています。 リスク評価は、主にリスク管理機関からの要請を受けて行いますが、食品安全委員会が必要と判断したハザー ドについてもリスク評価(自ら評価)を行っています。 牛海綿状脳症( BSE )対策の見直し 検査対象月齢を 48 月齢に引き上げてもヒトへの健康影響は無視でき ると評価しました。 (平成 25 年 5 月、厚生労働省の要請に基づいて実施) 亜セレン酸ナトリウム 栄養成分を経管栄養食品や調製粉乳などに添加するニーズが増えて います。これら栄養成分は、必要量と摂取上限値の幅が小さく、動物実 験の結果よりもヒトにおける知見を重点的に審議する必要があることか ら「栄養成分関連添加物ワーキンググループ」を設置して検討しました。 調製粉乳などへの使用については、 「 0 か月児~2 歳児までの摂取量 の上限値」を5.9 µg/kg 体重 /日(セレンとして) と設定しました。 (平成 27 年 9 月、厚生労働省の要請に基づいて実施) 次亜臭素酸水 食中毒を防ぐためには、食品の製造段階で殺菌料を適切に使用する ことが効果的です。 食肉表面の殺菌料として使用される本剤は、従来 の殺菌料と比べて刺激性や腐食性が低く、安定した効果を期待して開 発されました。 「次亜臭素酸水」の原料の分解物や食肉を次亜臭素酸水で処理した 際に残留する可能性のある物質についても検討を行い、添加物として 適切に使用される場合には安全性に懸念はないと評価しました。 (平成 27 年 11 月、厚生労働省の要請に基づいて実施) アクリルアミド アミノ酸であるアスパラギンと、還元糖(ブドウ糖や果糖など)が高 温で反応して生成します。 国際的なリスク評価機関である JECFA ( FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議)や EFSA は、発がん影響に 関する懸念があり、食品中に含まれる量を低減するために適切な努力 を続けるべき、などとしています。 現在、ハザードとしての大きさ、日本 人の食生活からのばく露量について評価を行っています。 (評価中、自ら評価) Aspergillus oryzae NZYM-SP 株を 利用して生産されたアスパラギナーゼ 生産性を高めるために、アスパラギナーゼ産生遺伝子を導入した菌 株によって生産された酵素です。アクリルアミド生成の起因となるアス パラギンを加水分解することからアクリルアミドの生成を抑制することが できます。 遺伝子組換え微生物を利用して生産された添加物の安全性 について評価(平成 27 年 9 月)するとともに、添加物としての使用につ いては、適切に使用される場合には安全性に懸念はなく、一日摂取許容 量( ADI )を特定する必要はないと評価(平成 27 年 12 月) しました。 (厚生労働省の要請に基づいて実施) アドバンテーム 甘さが砂糖の約 14,000~48,000 倍の甘味料であるアドバンテー ムのリスク評価を行い、ADI を 5.0 mg/kg 体重 / 日と設定しました。 (平成 25 年 7 月、厚生労働省の要請に基づいて実施) 現在までに農薬778件、動物用医薬品488件、食品添加物160件、汚染物質等60件、器具・容器包装11 件、微生物・ウイルス15件、プリオン48件、かび毒・自然毒等10件、遺伝子組換え食品等218件、新開発食品 81件、肥料・飼料等144件のリスク評価が終了しています。 (平成27年12月末現在) 研究・調査 リスク評価を行うために必要なデータや情報を得るため、公募型委託研究と請負調査を実施しています。 食品健康影響評価技術研究(毎年7~8課題、研究期間2年程度) リスク評価やそのガイドライン策定などに必要な知見を得るために実施する研究です。 例:食品由来のアクリルアミド摂取量の推定に関する研究 食品安全確保総合調査(毎年約4~6課題) リスク評価等を行うために必要な情報とデータの収集・整理・解析などを行います。 例:新たなリスク評価方法の開発・実用化に関する国際的な状況の調査 食品安全委員会 4
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