イチゴに残る農薬ってどうなの?(pdf版)

イチゴに残る農薬ってどうなの?
え!
1月2週で、イチゴには多くの農薬が使われ、農薬が残留すること、無農薬栽培が
僕たち農薬
残りやすい?
難しいことを書きましたが、今回はイチゴに使われる農薬のうち、収穫期に入って
も使用が認められている農薬「プロシミドン」について調べてみました。
■イチゴって皮がないし、表面はデコボコ!・・・ってことは、農薬が多く残っているかも?
プロシミドンの散布間隔と残留量の関係
そこで、実際にどれくらいの農薬が残っているか、実験が
行われました。
(1993 年徳島県)
右のグラフはプロシミドンをそれぞれ3日間おきで3回、
7日おきで3回散布した後の残留量のグラフです。1993 年
の時点では、残留許容値は 3ppm。これをクリアしているの
農
薬
残
留
量
現在の残留許容値 10ppm
は、散布間隔7日で3回の 14 日経過後だけ。
だから
適正使用基準では散布間隔について特別な規制はない
1993 年の残留許容値 3ppm
が、プロシミドンでは最高使用回数の 3 回まで繰り返し
散布する場合,少なくとも散布間隔を 14 日は開けること
が必要と考えられる。
一日摂取許容量(ADI)
■じゃあ、プロシミドンの残留許容値はどうなったのかな?
日本
あれ?
1993 年時点
現在
10ppm
3ppm
EU は
日本の
1
1000
一日摂取許容量(ADI)
0.035mg/kg 体重/日
EU
使用禁止
ここでは農薬について、生きて
いる間、毎日摂取し続けても影
響が出ないと考えられる一日
あたりの量を、体重 1kg あたり
で示した値。
基準は輸入品向け
0.01ppm
プロシミドンの使用方法は
一日摂取許容量(ADI)
0.0028mg/kg 体重/日
上げたから、問題ないこと
変わらずに、残留基準値が
になってる!
■実際、一般のイチゴを食べるとどれくらい農薬を摂取していることになるの?
東京都の残留農薬検査でイチゴから検出されたプロシミドン
0.19ppm について考えてみましょう!
イチゴ 1 パックが約 300g。
(ヘタは軽いのでここでは無視して計算していきます。
)
6歳の子が、半パック食べたとしたら?(こどもはイチゴ大好きですね)
150g のイチゴに残っているプロシミドンは
0.19ppm=0.19mg/kg
プロシミドンは、0.19(mg/kg)×0.15(kg)=0.0285mg
6歳児だと、体重は 20kg ぐらいですから、
0.0285mg÷20kg=0.001425mg/kg 体重/日
これはだいたいEUの摂取許容量(ADI)の半分です。日本の ADI だと、たった
の 0.04 倍です。イチゴ好きな子なら、1パック全部食べてしまうこともあり
ますよね。すると、EUの ADI を超えてしまいます。
小さな子がたくさん食べたら?イチゴ狩りに行ったら?
プロシミドンの毒性って?
イチゴ、野菜などでよく残留が検出
されるプロシミドン(殺菌剤)は、
ホルモン作用をもっており、環境ホ
ルモン物質に特有な毒性を持って
います。
1kg の実験動物に対し、
12.5mg のプロシミドンの投与により
①肛門性器間距離減少
②尿道下裂
③精巣の萎縮
④停留精巣
1kg の実験動物に対し、
2.5m のプロシミドンの投与により
①前立腺の重さの減少
②精巣の重さの増加
などの影響がみられる。
EUでは影響を重く見ていますが、日本は非常に軽く見ていると思います。
これをあなたはどう考えますか?
参考文献:施設イチゴにおける数種農薬の残留性 井内晃・谷 博(1993):施設イチゴにおける数種農薬の残留性.徳島農試研報,(29):37~44
ヨーロッパ食品安全庁(FESA) プロシミドンの毒性