ヒラリズム 3の17 陽羅 義光 宗教信者に対する対し方 わしの妹は或る新興宗教に肩入れしている。 先日もこんな主旨の手紙が届いた。 【我が家系のために、○月○日、おマンダラをいただく決心 をした、結婚式や葬式よりも重大なイベントなので参加して ほしい】 実はわしは妹に恩義がある、かつてずいぶん金を貸しても らった。 だから妹の宗教活動を批判したこともないし、協力できそ うなことはやってもきた。 けれども今回は断りの通知を出した。 【おマンダラだか何だか知らんが、そんな重大なイベントに 参加する意志も資格もない。 お ま え も ず い ぶ ん と の め り こ ん で い る が 、正 直「 我 が 家 系 」 なんかどうなってもいい、そんなちっぽけなことのために宗 教にすがるのはやめなさい。 それともっと宗教というものを勉強しないといけない、お まえは自分の信じる団体だけ立派で正義だと考えているらし い が 、宗 教 の 本 質 は キ リ ス ト 教 で も イ ス ラ ム 教 で も 仏 教 で も 、 い わ ん や オ ウ ム 真 理 教 で も 創 価 学 会 で も 、み ん な 同 じ な ん だ 。 いざとなったら敵を殲滅するのが宗教で、それは古往今来 の歴史が証明している、そういう危険なところにおまえ自身 がいるんだと認識しなさい。 わしはおまえには恩義があるから、暇ならいつもハイハイ 云っておるが、おまえの宗教には何の恩義もないから、○月 ○日の、女との約束を反故にしてまで、そっちに参加するつ もりはない、つまりわしにとってありがたいのは、おマンダ ラではなく女のオマンタラなのじゃ】 妹からは苦笑が見え隠れする葉書が届き、今回もハイハイ して頂戴とあったが、赤ん坊気分で、ハイハイとまた返信し て、当日はハイハイドウドウ、つまり競馬場に行った。 今年義母が亡くなって、義母は菩提寺の檀家であり、事務 もやっていたから、葬儀でも坊主がうるさいのなんの。 それがようやく終わった、と安堵したのも束の間、義母の 長男の嫁が創価学会だもんだから、位牌を置けないとかで大 もめ。 同じ日蓮宗のはずなのに、こういうのは内ゲバと変わりは ない、実にみっともない話ではないか。 長男の嫁は選挙のたんびに公明党に入れて頂戴と訪ねてく るが、赤ん坊気分で、ハイハイと返事して、入れたことなん か一度もない、死んでも入れるもんか。 まあ、これがわしの、宗教信者に対する対し方ということ だ。
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