懲 事務所 戒 処 分 書 大阪府高槻市岡本町63番21号 土地家屋調査士 矢 野 正 文 上記の者に対し, 次のとおり処分する。 主 文 土地家屋調査士法第42条第2号の規定により,被処分者を平成27年3 月28日から6か月間の業務停止に処する。 処分の事実及び理由 第1 処分の事実 当局の調査, 大阪土地家屋調査士会の報告及び土地家屋調査士矢野正文 (以下「被処分者」という。)の供述によれば,以下の事実が認められる。 1 被処分者は,土地家屋調査士の資格を取得後, 土地家屋調査士の登録(平 成○○年○○月○○日大阪第○○○○号)をし,上記肩書事務所において 土地家屋調査士業務を行っている者である。 2 被処分者は, 平成25年7月13日,○○市○○区○○町二丁目342 番20, 同357番及び同358 番の土地(以下,「本件土地等」という。) の所有者である甲から,本件土地等の合筆及び地積更正登記(以下「本件 合筆登記等」という。)について,その申請手続の代理の依頼を受け,こ れを受任した。 3 被処分者は,本件合筆登記等の申請手続を行うのに, 本件土地等と道路 区域・市有地との境界明示が必要であることから, 平成25年7月17 日,○○市長に対し, 本件土地等を申請地とする道路区域・市有地境界明 示申請(以下「本件明示申請」という。)をした。 被処分者は, 同年9月24日に行われた○○市担当者との現地立会い に,○○市○○区○○町二丁目357番の土地の東側対側地(同253番 1) の所有者である乙が参加せず, その後も何度か乙の自宅を訪問したが 乙に会えず,○○市へ提出すべき承諾書に乙の署名及び押印を得られなか った。 -1- 被処分者は,同年10月21日頃,納期が迫っていたことなどから, 乙 がすべき署名及び押印を自ら行って乙名義の承諾書を偽造し, 同日,同承 諾書を○○市明示課に提出した。 被処分者は, 同月23日,上記偽造の事実を秘匿したまま,○○市長か ら本件明示申請に係る道路区域・市有地境界明示図の交付を受けた。 第2 1 処分の理由 土地家屋調査士は, 常に品位を保持し, 業務に関する法令及び実務に精 通して,公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。被処分者の上 記第1の3の行為が,土地家屋調査士法第2条(職責), 同第23条(虚 偽の調査, 測量の禁止),同第24条(会則の遵守義務), 大阪土地家屋調 査士会会則第90条(品位の保持等),同第91条(会則等の遵守義務) の各規定に違反することは明らかである。 2 被処分者は, 道路区域・市有地境界明示申請に添付する対側地の所有者 名義の承諾書を, 自ら故意に偽造するという,土地家屋調査士の社会的信 用を著しく失墜させる極めて悪質な行為に及んでおり,その責任は重大で あり, 厳しい処分が相当である。 3 よって,土地家屋調査士法第42条第2号により,被処分者を主文のと おり処分する。 なお, この処分に不服があるときは, この処分があったことを知った日 の翌日から起算して60日以内に法務大臣に対して審査請求をすることが できる。 おって, この処分につき, 取消しの訴えを提起しようとする場合には, こ の処分があったことを知った日の翌日から起算して6か月以内に, 国を被 告として(訴訟において国を代表する者は法務大臣になる。)提起しなけ ればならない(なお,処分があったことを知った日の翌日から起算して6 か月以内であっても,処分の日から1年を経過すると処分の取消しの訴え を提起することができない。)。ただし,審査請求をした場合には, 処分の 取消しの訴えは, その審査請求に対する裁決があったことを知った日の翌 日から起算して6か月以内, 又は当該裁決の日の翌日から起算して1年以 内に提起しなければならない。 平成27年3月27日 大阪法務局長 -2- 冨 田 一 彦
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