青森経済活性化への いくつかの視点

時の言葉
青森経済活性化への
いくつかの視点
日本銀行青森支店長 山口 智之
本年の大きなテーマとして地方創生が掲げ
への認知度向上が、重要なポイントとなると
られています。政府から、まち・ひと・しご
いうことです。これは、広く宣伝・広報する
と総合戦略が昨年末に発表され、今後、青森
ことと、個別・相対でのマッチングの両方を
においても県や各市などで地方版総合戦略が
含みます。さらに、その中間形態として、ネッ
策定されていくことになるとみられます。私
ト上等の多様な媒体の活用、例えば、口コミ
も、当地経済の活性化に関する意見具申など
サイトなどソーシャル・メディアの利用も考
を通じて、微力ながらお役に立てればと考え
えられます。いずれにしろ、青森の財・サー
ています。その際大切と考える視点を、いく
ビスへの潜在需要を掘り起こす、潜在ニーズ
つかお話ししたいと思います。
のある先に効果的に働きかけ出会いをつける
第 1 に、強みが十分発揮できていないとい
作業となります。
う意味の弱みに、伸び代の大きさが隠れてい
第 3 に、そうした潜在需要の所在を考えた
ると考えられることです。例えば、青森には
場合、グローバル需要をどう取り込むかとい
観光資源が豊富という強みがありますが、そ
う視点が大切です。もちろん実際には、国内
の割に外国人旅行者が少ないという点が弱み
での販売に止める方が合理性が高いケースも
です。また、全国屈指の産出額を誇る農林水
多いでしょうが、少なくとも最初から海外市
産業についても、その割に 6 次産業化の規模
場を諦めるのは勿体ないということです。つ
が限られているという課題があります。こう
い数年前と比較しても、我が国中小企業の海
した問題への対応が、強みを伸ばすというの
外への販売事例が幅広くみられるようになっ
か、弱みを克服するというのかは、定義の問
ています。日本ブランドへの信頼性は、食料
題とも言えますが、私はその両方に該当する
品から電気製品や雑貨類などでも高まってい
と考えます。むろん、全く新しい取り組みを
ます。為替円安化も、こうした動きを後押し
始めて目覚ましい成果を上げる実例も確かに
しています。世界の人口は増加を続けてお
ありますが、青森の現にある強みを土台にす
り、特にアジアの国では中間層が厚みを増し
ることが、特色ある取り組みにつながり、ひ
ています。こうした点を味方にしていくこと
いては大きな果実を得る近道になると思われ
が、青森の人口減少に伴う経済上の諸問題解
ます。
決の糸口になると考えられます。
第 2 に、上記の点に鑑みれば、青森の強み
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