5.欧州経済:本格化し始めた欧州景気回復

グローバル時代の投資戦略
世界経済
5.欧州経済:本格化し始めた欧州景気回復
過剰流動性
 ユーロ圏2014年10-12月期実質GDP成長率(前期比年率換算)は+1.3%と、景気回復ペースが本格
化してきました。個人消費を始めとする内需に加え、外需(輸出–輸入)も景気回復色を鮮明にして
います。原油安や金融緩和の効果もあり、今後も堅調な景気回復を辿ると見込まれます。
 ECB(欧州中央銀行)もまた、景気回復に自信を深めている様です。ECBスタッフによる2015年から
2017年のユーロ圏経済の見立ては、「低金利環境の持続と好成長」という楽観的なシナリオです。
市場の歪み
 ユーロ圏の景気回復は金融緩和の効果もあり本格化へ
ユーロ圏実質GDP成長率(需要項目別寄与度 前期比年率換算)
米国経済
欧州経済
日本経済
新興国
注)上図予想は、2015年1-3月期から2015年10-12月期で当社経済調査部による。
出所)欧州統計局より当社経済調査部作成
各国経済
 ECBは低インフレ率の下、好成長の持続を想定
ユーロ圏消費者物価上昇率(左)、実質GDP(右)実績とECBスタッフの予想(2015年3月時点)
5
(%)
4
主要金融資産
4
(%)
2017年
2016年 2.1%
1.9%
2015年
1.5%
2
3
2
1
2016年
1.5%
消費者物価上昇率
(前年比)
投資戦略
2015年
0.0%
0
0
実質GDP
(前年比)
-2
-4
2015年2月
▲0.3%
-1
2002
2006
2010
2014
2018
(年)
-6
2002
2006
2010
2014
(年)
2018
注)上左図の2015年~2017年の数値は2015年3月作成時点での各年の平均値(前年比)。上右図の網掛けは景気後退期。
出所)欧州統計局、ECBより当社経済調査部作成
巻末の「本資料に関してご留意頂きたい事項」および
「本資料中で使用している指数について」を必ずご覧ください。
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KOKUSAI Asset Management Co., Ltd.
為替相場
2017年
1.8%
2014年
10-12月期
実質GDP
(前年比)
+0.9%
KOKUSAI Asset Management Co., Ltd.
 金融緩和政策によるユーロ圏金利の低位安定と景気の本格回復という組み合わせは、株式の魅
力度を高めましょう。特にゼロ金利環境の下では株式の配当利回りは魅力的に映りましょう。
市場の歪み
 賃金上昇率堅調なドイツ、スペインの内需に勢い
ユーロ圏主要国4ヵ国の賃金伸び率とその予想(EU委員会)、消費支出
10
ドイツ
(%:前年比)
10
白抜き点線 →賃金上昇率(予想)
+2.8%
実線
点線
2011
→消費
→賃金
2015
(年)
賃金
賃金
0
+2.2%
-5
-10
1999
10
労働市場改革期
2003
(%:前年比)
2007
2011
2015
(年)
イタリア
賃金
5
+1.5%
+3.5%
日本経済
フランス
消費
5
+1.2%
2007
2011
2015
-10
1999
2003
2007
2011
2015
(年)
 ユーロ圏の景気回復と低金利環境は、株式配当利回りの魅力度を高める可能性も
(%)
ユーロ圏の株式配当利回りと国債利回り(リスク調整後)
5
主要金融資産
6
ユーロ圏株式配当利回り
リスク調整後
4
各国経済
2003
(年)
+0.5%
消費
-5
新興国
0
+0.6%
消費
欧州経済
(%:前年比)
10
賃
金
伸 5
び
鈍 0
化
& -5
消
費 -10
弱
1999
+3.0%
スペイン
米国経済
賃
金 5
賃金
上
昇 0
&
消費
消 -5
費
労働市場改革期
強 -10
1999
2007
2003
(%:前年比)
過剰流動性
 ユーロ圏景気の本格回復には安定した個人消費の伸びが不可欠です。ドイツやスペインといった、
他国に先んじて労働市場の改革を断行した国の賃金上昇率は回復し、家計消費の増加を後押し
する一方、フランス、イタリアは賃金の伸びが鈍化傾向にあり、家計消費の重石になっています。
世界経済
景気の本格回復と低金利の組み合わせは株式の魅力度を高める可能性も
為替相場
3
2
投資戦略
ユーロ圏国債利回り
リスク調整後
1
0
2007
2009
2011
2013
2015
(年)
注)ユーロ圏主要4ヵ国の賃金伸び率は各国図中下線数値、消費は下線なし数値で示しており共に直近実績値は2014年10-12月期。フランス賃金のみ2014年7-9月期実績。
イタリアの賃金上昇率は2001年1-3月期から2001年7-9月期までが10%超(14.0%/13.6%/13.8%)。図中白抜き点線の賃金上昇率(予想)はEU委員会(European
Economic Forecast Winter 2015) による年次予想(2014年~2016年)。下図ユーロ圏株式配当利回り(リスク調整後)は、MSCIユーロ圏株式の予想配当利回りを
30日間株価変動率(年率)で調整。ユーロ圏国債利回り(リスク調整後)はBofAML All Euro Government Indexの利回りを同Indexのトータルリターン指数標準偏差
(年率)で調整。直近値は2015年3月9日。
出所)欧州統計局、EU委員会、MSCI、BofAML、各種資料より当社経済調査部作成
巻末の「本資料に関してご留意頂きたい事項」および
「本資料中で使用している指数について」を必ずご覧ください。
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グローバル時代の投資戦略
世界経済
ECB(欧州中銀)はPSPP等を通じ、金融機関の貸出増加→物価上昇を目指す
過剰流動性
 ECBは既に実施しているカバードボンド、ABS(資産担保証券)の買入に加え、国債、政府機関債、
国際機関債の買入による量的金融緩和策の詳細(PSPP)を発表、3月9日から買入開始しています。
ECBはこのPSPP等を駆使し、バランスシートの規模を現状から約1兆ユーロ拡大させる目論見です。
 ECBは主に金融機関が保有する国債等を買取り彼らに貸出の増加を促し、物価を上昇させたい意
向です。ECBが空前の規模で供給する資金で、金融機関が貸出増加に動くか注目されます。
市場の歪み
 PSPPの買い入れ規模はECBのバランスシート拡大目標に十分な規模
35,000
(億ユーロ)
ECBのバランスシート(総資産)残高とその目標達成に必要な金融緩和策の規模
米国経済
2月27日現在
カバードボンド
購入額
30,232
30,000
2月27日現在
ABS購入額
試算
(2月27日ECB総資産に内包)
(2月27日ECB総資産に内包)
25,000
(+512)
(+34)
欧州経済
+4,000
1,920
20,000
+6,253
(当初試算額)
500
21,558
↓
必要なし?
2,124
(2月27日ECB総資産に内包)
日本経済
【量的金融緩和(PSPP)の内容】
2015年3月~2016年9月までの期間
合計600億ユーロ(月額)買入
15,000
10,000
新興国
2012年3月2日
ECB総資産
2015年2月27日
ECB総資産
第1,2回
TLTRO
カバードボンド
プログラム3
ABS買入
プログラム
ECB
総資産目標
国債等
国債
買入策
買入?
第3~8回
TLTRO合計
注)上図塗りつぶし棒グラフは実績、斜線棒グラフは当社経済調査部による予想。ECB総資産目標はドラギECB総裁発言に基づき2012年3月2日時点とした。
TLTROは「Targeted Longer-Term Refinancing Operations」の略で、金融機関に貸出増加を条件に最大4年の資金供給を行う金融緩和手段。ABS(Asset
Backed Securities)は資産担保証券。PSPPは「Public Sector Purchase Programme」の略。国債等買入額の試算+6,253億ユーロは2016年9月までPSPPを実施
出所)ECBより当社経済調査部作成
する想定での試算。
各国経済
 ECBの国債等買入は昨年の各国長期債務増加額(イタリア除く)を大幅に上回る
PSPPによる2015年の国債等
買入額規模(推定)
ユーロ圏消費者物価上昇率(前年比)と
ユーロ圏金融機関貸出(前年比)
主要金融資産
4.5
4.0
3.5
3.0
(%)
(%)
ユーロ圏
消費者物価
上昇率(前年比)
(左軸)
36
28
16
1.5
12
1.0
8
投資戦略
0.5
4
0.0
ユーロ圏金融機関
貸出(前年比)
(右軸)
2004
1000
(推定)
ECB国債等
買入額
2009
+0.2%
0
▲0.3%
-4
-8
2014
(年)
注)直近値はユーロ圏消費者物価上昇率(前年比)は2015年2月、ユ
ーロ圏金融機関貸出は2015年1月。
出所)ECB、欧州統計局より当社経済調査部作成
842
800
その他
ベルギー
オランダ
14.6% ドイツ
25.7%
3.5%
5.7%
スペイン
786
784 (参考)
731
2014年
フランス
12.6%
イタリア
20.3%
17.6%
各国長期債務
残高増加額
600
629
525
400
270
200
238
164
125
159
147
56
0
ドイツ フランス イタリア スペイン オランダ ベルギー その他
注) ECB国債等買入額は2015年中に4,181億ユーロ(6,000億(月600
億×10ヵ月)- 1,248億(カバードボンド、ABS購入額)-571億
(国際機関債購入額))と推定。 2014年各国長期債務増加額は
ネットの 数値。 出所)ECB、Bloombergより当社経済調査部作成
巻末の「本資料に関してご留意頂きたい事項」および
「本資料中で使用している指数について」を必ずご覧ください。
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KOKUSAI Asset Management Co., Ltd.
為替相場
2.0
1999
1069
24
20
-1.0
(億ユーロ)
32
2.5
-0.5
1200
KOKUSAI Asset Management Co., Ltd.
世界経済
ギリシャ政府資金繰りは7月がヤマ。金融不安の伝播リスクは小さい
過剰流動性
 ギリシャを巡る問題は、政府債務削減の実施と金融システム不安の抑制を如何に同時進行させる
かに集約されます。ギリシャ政府はEU(欧州連合)と4月末を目処に協議を続けるも、その間に到来
する債務の償還に疑念も残ります。当面は今年7月が同国資金繰りのヤマ場とみられます。
 ギリシャ国内金融システムは、目下同国中銀による資金供給が支えており、また国外への金融不
安伝播リスクは、国外金融機関の同国への与信額も小さいことから、さほど高くないとみられます。
ギリシャ中央政府債務残高比率(%)
民間
部門
10
13
短期証券
保有者
4月末
改革プラン
合意期限
60
50
0.3
欧州投資銀行
6月末
第2次支援
期限
46
40
44
8
(億ユーロ)
35
32
24
20
15
4
5
4
6
7
10
8
15
4
9
10
3
11
12
(月)
 ギリシャ中銀による資金供給で金融不安は遮断され、国外への伝播リスクも小さい
ギリシャ民間預金残高と中銀Target2残高
欧州債務問題時
民間預金の引き出し殺到で、
中銀は多額の債務を抱えた。
2,000
(億ユーロ)
2008年6月
3,439億
3,500
3,000
民間部門預金
(家計・企業)
預金流出増加
2,500
1,480億
1,000
2,000
1,500
ギリシャ中銀
Target2債務残高
1,000
2014年9月
505億
500
0
中銀借入増加
(年)
2001 2004 2007 2010 2013 2016 2019
注)Target2はユーロ圏の中央銀行間資金貸借市場。ギリシャ中銀はTarget2を
通じ、事実上ECBから資金調達を行う。直近値は2015年1月。
0
2000
2003
2006
2009
2012
(年)
出所)BIS(国際決済銀行)より当社経済調査部作成
出所)ギリシャ中銀より当社経済調査部作成
巻末の「本資料に関してご留意頂きたい事項」および
「本資料中で使用している指数について」を必ずご覧ください。
2015
30
投資戦略
760億
500
4,000
為替相場
1,500
国外金融機関のギリシャ向け与信額
主要金融資産
2,500
(億ユーロ)
各国経済
注)短期証券保有者は、ギリシャ政府発行の短期証券を保有する銀行、
投資家を指す。
出所)各種報道より当社経済調査部作成
新興国
出所)ギリシャ財務省より当社経済調査部作成
15
7
4
0
3
注)円グラフの数字の単位は%。
国際通貨基金
20
10
日本経済
20
EFSF
(欧州金融安定ファシリティー)
ESM
(欧州安定メカニズム)
欧州中銀
28
30
ECB
(欧州中央銀行)
欧州経済
25
70
米国経済
ギリシャ政府債務2014年9月
GLF
3,217.3億ユーロ
(Greek Loan Facility)
IMF
EU委員会主導のギリ
(国際通貨基金)
シャ第一次支援融資
ギリシャ政府債務の償還スケジュール(2015年)
市場の歪み
 ギリシャの資金繰りは今年7月がヤマ場となる公算が高い