「アートで音楽のあるまちづくり方針」(PDF:731KB)

青森市教育委員会
平成24年12月
目 次
Ⅰ.はじめに
1
Ⅱ.方針策定の背景
2
Ⅲ.方針の基本的事項
3
Ⅳ.方針の基本方向
4
Ⅴ.施策の展開
5
(1) アートと音楽を楽しめる環境づくり
6
(2) 文化芸術を担う人材育成
7
(3) 文化資産と音楽を活用したまちづくりの推進
8
(4) 青森の魅力を活かした文化芸術の創造・発信
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(5) 新たな文化芸術活動支援システムの構築
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文化芸術振興の将来像
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Ⅰ.はじめに
「アートで音楽のあるまちづくり」∼文化芸術創造都市をめざして∼
都市景観や文化芸術の持つ創造性を活かし、産業振興や地域の活性化などの
まちづくりを進めている都市は「創造都市(Creative City)」と呼ばれ、国
内外で注目されています。
「創造都市」の取組に伴う波及効果は、観光など来訪者増加に伴う交流人口
拡大という短期的効果に加え、創造的人材の育成・誘致、創造的産業の振興、
地域の教育・福祉への貢献、市民活動の活性化など多岐にわたることから、文
化芸術を活かした個性的・魅力的なまちづくりが地域間競争を勝ち抜くうえで
の鍵となると言われています。
わたしたちが住む青森市は、北は陸奥湾、南は八甲田山と国内でも稀にみる
海と山に囲まれた自然豊かなまちであるとともに、三内丸山遺跡や小牧野遺跡
などに痕跡を残す、縄文人が闊歩した悠久の歴史と誇るべき伝統に満ちたまち
です。
このまちは、私たちに豊かな恵みと潤いを与え、わたしたちは、世界に誇る
ねぶたや版画、津軽三味線などをはじめとした個性豊かで創造性溢れる文化芸
術を育んできました。
このことから、本市においては、こうした豊かな自然や文化芸術を生み出す
基盤を活かし、芸術的で音楽が奏でられているようなまちをイメージしながら、
美しい景観をはじめ、文化芸術が有する創造性を観光・教育・地域活性化など
様々な分野に活かすことにより、魅力あるまちづくりを進めていくことといた
しました。
なお、こうした取組には、市民が主導する活動が不可欠であることから、市
民が文化芸術と社会を結びつける活動を主体的に担えるように、市民・NPO
等が文化芸術を気軽に取り込むことができる環境づくりを進めることとしてお
ります。
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Ⅱ.方針策定の背景
青森市では、平成23年2月に、まちづくりの最上位指針である「青森市新総
合計画−元気都市あおもり 市民ビジョン−」基本構想(目標年次:平成32年
度)と、基本構想に掲げた将来都市像の実現に向けた具体的な取組を示す、前期
基本計画(計画期間:平成23年度∼平成27年度)を策定しました。
この前期基本計画のなかの基本政策「第4章 歴史と文化を受け継ぎ 未来を
創造する人を育むまち」の政策「第3節 文化・芸術の推進」施策「第2項
郷土の文化資産の活用・継承」において、本市には、ねぶたをはじめ、棟方志功
に代表される版画や、三内丸山遺跡、小牧野遺跡などの縄文遺跡のほか、津軽三
味線、獅子踊など、個性的で魅力的な歴史・文化資産に恵まれていることから、
市民の郷土への誇りと愛着を育むとともに、本市の魅力を高めていくため、こう
した郷土の文化資産や文化財を積極的にまちづくりに活用しながら、次代に継承
していく環境づくりの推進を位置づけました。
これらを踏まえ、文化資産のみならず、街並みや景観をはじめ、文化芸術が有
する創造性を活かし、魅力あふれるまちづくりに向けた施策の具体化を図るため
に、「アートで音楽のあるまちづくり方針」を策定することとしました。
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Ⅲ.方針の基本的事項
基本的視点
文化芸術は、過去から未来へと受け継がれる財産であり、その継承と変化の中で新たな
価値が見出されていくものです。
こうした文化芸術の特質を踏まえ、次の3点を基本的視点とします。
①長期的かつ継続的な視点に立った施策の展開
②教育、まちづくり、観光等周辺領域への波及効果を視野に入れた
文化・芸術振興
③市、民間等の主体が各々の役割を明確化し、相互の連携強化を図り、
社会を挙げての文化芸術振興
方針の期間
平成25年度∼平成32年度
青森市新総合計画−元気都市あおもり 市民ビジョン−」基本構想
(目標年次:平成32年度)にあわせます。
本方針については、諸情勢の変化や施策の効果に関する評価を踏まえ、柔軟かつ適切に
見直しを行うこととします。
アートと音楽の範囲
ねぶたや津軽弁、津軽民謡、津軽三味線などの地域固有の文化資産、
版画等の本市ゆかりの作家の作品のほかに音楽、演劇、舞踊など文化
芸術の分野を広く含みます。
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Ⅳ.方針の基本方向
めざす姿:文化資産活用により魅力的なまちをつくる
1 文化芸術活動の推進
市民誰もが文化・芸術を気軽
に鑑賞できるとともに、創作活
動に取り組みやすい環境づくり
を進めるほか、指導者の確保
を図り、本市の文化芸術の活
性化を推進します。
2 郷土の文化資産と文化財の
活用・継承
郷土の文化資産や文化財を積
極的にまちづくりへ活用しなが
ら、次の世代へ継承します。
3 文化芸術の創造・発信
アートで音
楽のあるま
ちづくり
4 推進体制の整備
文化芸術振興を支える多様な
主体が役割を明確化しつつ、
相互に連携を図りながら、取組
を推進します。
4
郷土の伝統と文化を継承し
つつ、青森の魅力を発掘・
創造するとともに、青森の文
化芸術の魅力を広く内外に
発信することにより、魅力的
なまちづくりをめざします。
Ⅴ.施策の展開
体系図
施策の展開
基本方向
1 文化芸術活動の推進
(1) アートと音楽を楽しめる環境づくり
(2) 文化芸術を担う人材育成
2 郷土の文化資産と文化財の活用・継承
(3) 文化資産と音楽を活用したまちづくりの推進
3 文化芸術の創造・発信
(4) 青森の魅力を活かした文化芸術の創造・発信
4 推進体制の整備
(5) 新たな文化芸術活動支援システムの構築
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基本方向1 文化芸術活動の推進
施策の展開(1)アートと音楽を楽しめる環境づくり
市民への文化芸術の鑑賞機会の充実を図るとともに、創造性豊かな市民の自主性を
尊重し、市民や市民団体の文化芸術活動を支援します。
主
な
取
組
文化芸術の鑑賞機会の充実
○音楽、演劇、舞踊等の公演や美術品の展示会などの開催を支援
ー
ア
ト
と
音
楽
を
楽
し
め
る
環
境
づ
く
り
文化芸術活動への支援
○市民や市民団体等への助成、情報提供及び発表の場の提供
○優れた成績を収めた市民や市民団体を表彰
6
基本方向1 文化芸術活動の推進
施策の展開(2)文化芸術を担う人材育成
次代の文化芸術振興の担い手である子どもたちが、文化芸術に触れ、豊かな感
性や創造性、コミュニケーション能力を育む機会を充実させることにより、文化
芸術の担い手や鑑賞者を育みます。
また、文化芸術活動を活発にし、「アートで音楽のあるまちづくり」を継続的
に進めるため、創作する人と鑑賞する人のほかに、その活動を支える人の育成と
確保に努めます。
主
な
取
組
青少年が文化芸術に出会う機会の提供
○アートや音楽に親しむ機会の充実
○音楽、演劇などの体験ワークショップの開催
○関係機関と連携した津軽三味線教室等の開催による後継者育成
文
化
芸
術
を
担
う
人
材
育
成
アートマネジメント※等に関わる人材の育成と確保
○文化芸術と市民との出会いを橋渡しし、マネジメントや
コーディネートを行う人材の育成と確保
○地域活性化への推進力となる文化ボランティア活動の支援
※アートマネジメント
広義には、文化芸術と社会をつなぎ、文化芸術の社会普及を図ること、狭義には、文化芸術活動の管理・運営など
に必要な知識・技術、方法論(企画、マーケティング・資金調達等のスキルやノウハウなど)を指す。
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基本方向2 郷土の文化資産と文化財の活用・継承
施策の展開(3)文化資産と音楽を活用したまちづくりの推進
観光資源としてのねぶたや津軽民謡、津軽三味線などの有形無形の文化資産や音楽の
積極的な活用を推進します。
また、文化資産の活用を図るために、文化資産と文化財を適切に保存・管理しながら、
継承者の育成に努め、次代へ継承できる環境づくりを進めます。
主
な
取
組
観光資源としての文化資産と音楽の効果的活用
○関係機関との連携を図り、版画展の開催や市所蔵美術作品の活用
文
化
資
産
と
音
楽
を
活
用
し
た
ま
ち
づ
く
り
の
推
進
○津軽三味線、津軽民謡等に触れられる機会と情報の提供
○歴史民俗資料や縄文遺跡などの出土品をまちなかで展示
○ねぶた小屋(ラッセランド)の活用の検討
○三内丸山遺跡、小牧野遺跡など本市の貴重な縄文遺跡群の
文化的な価値を国内外に情報発信
○本市にゆかりのある棟方志功、淡谷のり子などの積極的な
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基本方向2 郷土の文化資産と文化財の活用・継承
施策の展開(3)文化資産と音楽を活用したまちづくりの推進
主
な
取
組
次代に継承していく環境づくり
○「青森ねぶた」の囃子教室の開催などによる担い手の育成
○本市文化財の適正な保存
○「版画の街・あおもり」として、次代を担う子どもたちへの
版画制作と発表の場の提供
○文化芸術分野の資料台帳の整備
文
化
資
産
と
音
楽
を
活
用
し
た
ま
ち
づ
く
り
の
推
進
地域の伝統芸能への支援
○獅子踊など伝統芸能の発表の場の提供
芸術的で美しい街並み・景観づくり
○浪岡城跡、高屋敷館遺跡、尻八館跡
などの文化財や青森が有する自然と
街並みの積極的活用
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基本方向3 文化芸術の創造・発信
施策の展開(4)青森の魅力を活かした文化芸術の創造・発信
青森の誇りとなる文化芸術を創造していくためには、文化資源を発掘、磨き上げ
るとともに、新たな魅力を共有し、文化芸術を青森の魅力として内外に発信してい
く必要があります。
主
な
取
組
文化資源による青森ブランドの確立
青
森
の
魅
力
を
活
か
し
た
文
化
芸
術
の
創
造
・
発
信
○青森の魅力となる文化資源の掘り起こし
○文化資源の磨き上げ
○版画・ブルースを活用した青森のブランド化の推進
○双方向の情報発信が可能なインターネットの活用を推進した情報
発信でアートで音楽のあるまちづくりをPR
シンボルプロジェクトの実施
○アートで音楽のあるまちづくりの核となるイベントとして、キッズコン
サートの実施や四季を通じたアートや音楽を楽しめる環境づくり
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基本方向4 推進体制の整備
施策の展開(5)新たな文化芸術活動支援システムの構築
市民、NPO等市民団体や行政が連携して、文化芸術活動を行える環境づくり
のために、この活動の中核となる組織づくりを推進するとともに、青森市の文化
芸術振興の実情をもとに、すぐれた文化芸術活動の発掘など、戦略的な支援シス
テムの構築を図ります。
主
な
取
組
推進
母体
中心的組織づくり
新
た
な
文
化
芸
術
活
動
支
援
シ
ス
テ
ム
の
構
築
○市民やNPO等市民団体、青森公立大学国際芸術センター青森、
財団法人青森市文化スポーツ振興公社等との連携
○作品展示や演劇・演奏等活動発表の場、情報発信などを行う
活動拠点づくり
長期的視点にたった文化芸術活動の支援
○アートで音楽のあるまちづくり推進のための個人や団体等の文化
芸術活動活性化を目的とした支援(助成)体制の構築
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基本方向4 推進体制の整備
文化芸術振興の将来像
新しい公共による文化芸術振興
市民
中心的組織
NPO
市民団体
コーディネート等
中心的な役割
市
青森市の文化芸術振興のプロデュース
大学
公社等
市の担い
総合的な支援
文化財等の保存・継承
表彰
文化資源による青森ブランドの確立
文化芸術活動にかかる人材と団体の育
成・発掘を図る戦略的な支援を実施
青森の魅力を国内外へ発信するため、夢
を共有し、文化資源の発掘、磨き上げを
行い、新たな文化を創造する取組を実施
調査研究
団体等への助成
文化資源の発掘・磨上げ
情報やノウハウの提供
戦略的な情報発信
事業全般の事後評価
拠点づくり(情報共有)
市と連携した人材育成
シンボルプロジェクトの実施
ファンドの検討
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