Prog. Med. 35(suppl. 1):400, 2015 シンポジウム Ⅰ <アミオダロン注:毒薬指定から劇薬指定に変更となり何が変わったのか?> ERにおけるアミオダロン使用の現状 志賀 隆* 投与しやすくな っ た」 と回答したのは 3 人(21%) で はじめに あった. 救急外来に保管冷蔵庫があること, 救急という アミオダロンは,複数の病態に使える,非常に有用 特殊な環境から常にハンディな状況で使用することが 性の高い抗不整脈薬であり,これまで救急外来 (ER) で 求められる立場の医師が多かったためとも考えられる. も用いられてきた.わが国の,昨今の毒薬から劇薬へ アミオダロンを最も使用する病態は, 7 人 (50%) が の指定変更に伴い,その存在がさらに注目されている. 心室細動と回答した.一方で,心室細動時のアミオダ 救急外来に従事する医師がもっている,アミオダロ ロンの用量を300mgとしていたのは救急専門医12人 ンの指定変更に対する印象,使用の現状を明らかにす 中9人 (75%) であった. ることを目的に,web上でアンケートを実施したので, フリーコメント欄には,アミオダロンとニフェカラ その結果について報告する. ントとの使い分け,救急科と循環器科での投与量の違 いについての質問があり,不整脈専門医とのさらなる 対象と方法 連携が必要である, また, 鍵を使用して管理する必要が 救急科の医師を対象に,アミオダロン使用に関する なくなり,煩わしさが解消されたといったコメントが 無記名アンケートをweb上にて実施した.具体的には, あった.さらに,使用を妨げるほどではないが,アミ ①毒薬から劇薬に指定変更になったことに伴う変化, オダロン角膜症を経験したというコメントもあった2). ②アミオダロンを最も使用する病態,③心室細動時の 用量についてアンケート調査を実施した.2012年に開 おわりに 始されたSOS─KANTO2012studyの中間報告では,心 アンケート結果から,アミオダロンが毒薬から劇薬 房細動に対してアミオダロン150mg以下,あるいは へ指定変更されたことで,アミオダロンは,適応とな 300mg以上投与したところ,蘇生後入院率に差がみら る病態により使いやすくなった可能性がある. れることが示されており ,それに即して各施設での また,同一の病態であっても,専門領域によっては, 普段の用量についても調査を実施した. その使用用量が多少異なる可能性が示唆された. 1) 結 果 救急外来従事者14人より有効回答が得られ,そのう ち12人 (86%) が救急専門医であ っ た.web上のアン ケートのため,母集団の詳細は不明であるが,卒後年 次は平均11.7年であった.毒薬から劇薬に指定変更に 文 献 1) 舩越 拓,本間洋輔,志賀 隆ほか:アミオダロンの 投与方法・投与量と蘇生の影響についての検討.第16 回日本臨床救急医学会総会・学術集会,2013. 2) 佐久間俊郎,中安清夫,金井 淳:アミオダロン投与 中にみられた角膜症.日眼会誌 2001;105:399─405. なったことに伴う変化に関しては,「アミオダロンが * T.Shiga:東京ベイ・浦安市川医療センター救急科 ──68(400)──
© Copyright 2024 ExpyDoc