ハウスビュー - 三菱UFJ投信

Strategy Report
Mitsubishi UFJ Asset Management
2015年4月2日
ハウスビュー
 1-3月の相場環境 ~ 株式は先進国優位(特に日欧)の展開となる一方、長期金利は全
般的に低下、リートは欧豪優位、為替は米ドル優位が続き、ユーロ安が目立つ。
 今後の世界経済は緩やかな成長・低インフレ、米国利上げ開始は9月と想定(従来は6月)。
 今後の相場見通し ~ やや慎重ながらリスクオン(リスク選好)の基調が続く展開を想定。
株式は概ね堅調で先進国優位継続、リートは底堅く、為替は米ドル高基調が継続、金利は
世界的に低インフレが継続するなかで、低位安定の見込み。
1- 3月の相場環境の振り返り
1-3月は、株式が先進国優位の展開となる一方、長期金利は全般的に低下しました。
1月は、昨年半ば以来の原油等の資源価格下落が続き、エネルギーセクターの下落が
影響した米国や資源国の株価の上値が重い一方で、ECB(欧州中央銀行)のQE(量的
緩和)実施の決定から、ドイツをはじめとする欧州株は上昇しました。一方、原油等の資源安
に伴うインフレ率の低下とともに、ECBのQE決定も受けて長期金利は世界的に低下しました。
2月に入ると、原油価格が下げ止まりの動きをみせるなか、ウクライナ東部での停戦合意
や、ギリシャ金融支援についての延長暫定合意などを受け、リスクオン(リスク選好)の動きが
強まりました。このため、先進国中心に株価が上昇、資源国の株価は買い戻される展開と
なり、長期金利は日米をはじめ反転上昇する動きでした。
3月は、雇用等を除く米国経済指標が冴えない動きとなるなか(2月の寒波の影響もあると
考えられるが)、①FOMC(米連邦公開市場委員会)にて、政策金利の見通しが下方修正
され米国の利上げへの過度な懸念が後退したこと、②ECBが国債購入によるQEを実際に
開始したこと、③各国で利下げが相次いだことなどを受け、先進国の株式は日欧中心に堅調
で、長期金利は概して低下しました。一方、新興国資産はやや軟調な展開(株安・金利
上昇)となりました。
(ポイント)
1,900
図表1 MSCIワールド・インデックスとMSCIエマージング・マーケット・インデックスの推移
MSCIワールド・インデックス(左軸)
1,800
(ポイント)
1,500
1,400
MSCIエマージング・マーケット・インデックス(右軸)
1,700
1,300
1,600
1,200
1,500
1,100
1,400
1,000
1,300
900
1,200
2013/3/31
2013/9/30
2014/3/31
2014/9/30
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成、土日祝祭日は前営業日のデータを使用
(注)MSCIワールド・インデックスは先進国の企業で構成され、MSCIエマージング・マーケット・インデックスは新興国の企業で構成される
800
2015/3/31
(年/月/日)
当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定
はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前
の連絡なしに変更されることがあります。投資信託は株式、公社債等値動きのある証券に投資しますので、基準価額は変動し
ます。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金保険の対象とは
なりません。金融商品取引業者以外でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。本資料は当
社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
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Mitsubishi UFJ Asset Management
また、外国為替市場では、日欧がQEを実施し、その他の多くの国・地域で利下げが進めら
れるなか、3月のFOMC後にやや軟化したものの、1-3月は、米ドルが対主要通貨で上昇
する展開となりました。
世界経済展望と米国の金融政策
世界経済を概観すると、米国では、先述のように寒波の影響もあって足下の経済指標は強
弱まちまちであるものの、雇用改善は着実に進展しており、景気は底堅いとみています。ま
た、日欧をはじめ金融緩和を推し進める国・地域が多いことや、原油安等の効果も勘案する
と、世界経済は総じて緩やかな拡大を持続する見込みです。
また、原油等の資源価格の下落は、一部新興国(ロシア、ブラジル等)の景気低迷につな
がっていますが、これらに伴う所得効果は、米国のみならず欧州、日本、他のアジア諸国と
いった世界の大半を占める資源輸入国・地域に広く恩恵をもたらし、今後世界経済の強力な
サポート要因になると考えています。
米国では、こうした世界経済の拡大が続くなか、雇用者数の増加や失業率の低下などから
労働市場は改善傾向が強まりつつあり、年内にも利上げが開始されるとみています。しかしな
がら、足下のインフレ率が落ち着いており、また市場参加者による直近のインフレ期待は低位
で推移していることなどを考慮すると、米国の利上げのペースは相当緩やかになる見込みで
す。また、 利上げ開始は当初の想定(6月)より遅くなり、9月から開始される可能性が高いと
考えます。
図表2 世界経済展望
実質GDP成長率
2014
世界計
日本
米国
ユーロ圏
イギリス
カナダ
豪州
中国
インド
韓国
ブラジル
メキシコ
ロシア
インドネシア
台湾
マレーシア
タイ
トルコ
南アフリカ
ポーランド
3.1
0.0
2.4
0.9
2.6
2.4
2.7
7.4
7.4
3.4
0.1
2.6
0.4
5.0
3.7
6.0
0.7
3.0
1.5
3.3
2015
3.5
1.9
2.8
1.2
2.6
2.4
3.0
7.1
7.6
3.5
-0.2
3.2
-4.5
5.4
3.8
4.8
3.7
3.2
2.2
2.5
2016
3.6
1.9
2.8
1.6
2.4
2.5
2.8
6.9
7.8
3.6
1.4
3.4
0.5
5.8
3.7
5.0
4.0
3.6
2.3
2.5
景気過
熱/後退
2007平均 フラグ
2002-
1.7
2.7
2.0
2.9
2.6
3.6
11.2
9.7
5.0
3.8
2.8
7.6
5.3
5.2
5.9
5.6
6.8
4.6
4.5
●
●
インフレ率
2014
2015
2016
-
-
-
0.6
1.3
1.4
1.5
2.0
2.5
2.0
6.4
1.3
6.3
4.1
7.8
6.4
1.3
3.2
1.9
8.9
6.1
0.0
0.6
0.9
-0.1
1.6
1.4
2.3
1.5
6.0
1.7
7.3
4.0
15.0
6.2
1.0
3.5
1.0
7.0
5.3
0.0
1.3
1.9
1.3
1.3
1.8
2.8
2.0
5.8
1.9
5.7
3.5
7.0
5.8
1.4
3.0
2.0
7.0
5.3
0.8
(出所)各国統計のデータを基に三菱UFJ投信作成
(注)インフレ率は日本以外は総合。景気後退フラグは●、過熱は○、定性判断に基づく。日本とインドは年度(3月末)だが
その他は暦年。インドの2002年―2007年平均はデータの制約上2006年―2007年平均値。2014-2016年の推定予想値は
三菱UFJ投信が算出。
当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定
はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前
の連絡なしに変更されることがあります。投資信託は株式、公社債等値動きのある証券に投資しますので、基準価額は変動し
ます。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金保険の対象とは
なりません。金融商品取引業者以外でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。本資料は当
社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
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Mitsubishi UFJ Asset Management
図表3 労働市場のスラックは過去利上げ時の水準に接近
2.0
(ポイント)
米国 労働市場情勢指数(LMCI)
図表4 インフレ期待は盛り上がらず
2.7
2.6
1.0
2.5
0.0
2.4
-1.0
2.3
-2.0
2.2
2.1
-3.0
-4.0
米国 BEI5年の推移
(%)
2.0
活動の水準
1.9
活動量(動き)
-5.0
92/1 94/1 96/1 98/1 00/1 02/1 04/1 06/1 08/1 10/1 12/1 14/1
(注)労働市場情勢指数(LMCI)とは、失業や雇用など複数の指標から算出される米国
労働市場の全般的な状況を示す総合指数。活動の水準が0ポイントに接近することは、
労働市場が改善傾向にあることを示す。
(出所)カンザスシティー連銀のデータを基に三菱UFJ投信作成、2015年2月までのデータ
(年/月)
1.8
14/3/30
14/6/30
14/9/30
14/12/31
(注)BEI(ブレーク・イーブン・インフレ)率とは普通国債と物価連動国債の利回
り差。市場参加者が予測する将来の物価変動を示す。
15/3/31
(年/月/日)
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成
今後のマーケット見通し
米国の利上げ観測が高まりつつあるものの、世界経済が緩やかに拡大し、インフレ圧力が
抑制されており、さらに原油安等の恩恵が今後さらに浸透すると考えられることも勘案すると、
株式市況は堅調に推移し、先進国優位の展開が継続する見込みです。そうした環境下で
は、リート市況も概ね堅調な動きになると考えています。また、一部を除き、世界的に低インフ
レが継続すると見込まれる状態を反映し、長期金利は低位で概ね落ち着いた展開になると
みています。
為替は、米国の利上げ観測がある一方で、日本とユーロ圏を始めとした世界的な金融緩和
は継続するとみられ、金融政策の方向性の違いが鮮明であることなどから、緩やかな米ドル
高基調が維持されると考えています。なお、米ドル高が輸出等に悪影響を与え、米国経済が
打撃を被るという見方もあると思われますが、過去の米ドル高の局面では米国経済は拡大し
ていることが多く、このことが要因となって米国資産(株式、債券等)の下落に直結する可能
性は低いとみています。
新興国株は、米国の利上げ観測等を背景とした米ドル高傾向により、先進国株と比較して
軟調に推移すると見込まれます(但し、内需の底堅さに加えて、世界経済の緩やかな拡大を
背景にした輸出の回復が期待できるASEANやメキシコは相対的に底堅い)。一方で、新興国
債券はボラティリティ(価格の変動性)を考慮したうえで、金利面に対する魅力等から、相対
的に先進国よりやや有利とみています。
もっとも、世界経済の長期停滞論、利上げに絡んだ米国金融政策の行方、資源価格下落
の負の連想、欧州政治情勢の悪化などからボラティリティが高まり、市況が波乱含みとなるリ
スクは残存すると思われますが、潤沢な流動性供給が金融市場のクッション役となることなど
も勘案すると、やや慎重ながらリスクオンの基調が続く展開を想定しています。
当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定
はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前
の連絡なしに変更されることがあります。投資信託は株式、公社債等値動きのある証券に投資しますので、基準価額は変動し
ます。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金保険の対象とは
なりません。金融商品取引業者以外でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。本資料は当
社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
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図表5
300
米ドル高局面は基本的に景気拡大局面
米国鉱工業生産と米ドルインデックス
(ポイント)
260
(%)
25
米ドルインデックス〔左軸〕
20
鉱工業生産(前年比)〔右軸〕
15
10
220
5
0
180
-5
中南米累積債務危機
(1982年)
140
-10
アジア通貨危機
(1997年)
-15
-20
100
-25
-30
60
75/3
79/3
83/3
87/3
91/3
95/3
99/3
03/3
07/3
11/3
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成、鉱工業生産は2015年2月までのデータ
-35
15/3
(年/月)
図表6 相場見通し
2015年3月
時期
TOPIX
日経平均株価
S&P500
ドイツDAX30
香港ハンセン
香港H株
MSCI Southeast Asia
インドBSE・SENSEX
ブラジルボベスパ
債券 日本10 年
米国10 年
ドイツ10 年
豪州10 年
インドネシア10年
インド 10 年
ブラジル 2 年
リート J-REIT
米国
欧州
豪州
為替 米ドル
ユーロ
豪ドル
ブラジルレアル
メキシコペソ
トルコリラ
タイバーツ
マレーシアリンギット
インドルピー
資源 W TI原油先物
金
株式
実績
1,543.11
19,206.99
2,067.89
11,966.17
24,900.89
12,346.09
832.55
27,957.49
51,150.16
0.40
1.92
0.18
2.32
7.40
7.74
13.37
1,864.66
1,116.58
889.40
37,738.25
120.13
128.91
91.38
37.59
7.87
46.24
3.69
32.44
1.93
47.60
1,183.20
2015年4月
予想レンジ
1,550 ~ 1,650
19,500 ~ 20,500
2,050 ~ 2,150
11,500 ~ 12,500
23,500 ~ 25,500
11,700 ~ 12,700
810 ~ 850
27,500 ~ 29,500
48,000 ~ 56,000
0.30 ~ 0.50
1.80 ~ 2.20
0.00 ~ 0.40
2.20 ~ 2.80
7.20 ~ 7.80
7.50 ~ 7.90
13.50 ~ 14.50
1,840 ~ 1,960
1,090 ~ 1,190
870 ~ 950
38,000 ~ 41,000
118 ~ 126
126 ~ 132
91 ~ 97
35 ~ 41
7.70 ~ 8.30
43 ~ 49
3.55 ~ 3.95
31 ~ 35
1.90 ~ 1.96
44 ~ 56
1,150 ~ 1,250
2015年9月
方向性
上昇
上昇
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
上昇
上昇
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
予想レンジ
1,580 ~ 1,780
20,000 ~ 22,000
2,100 ~ 2,300
12,200 ~ 13,400
23,000 ~ 27,000
11,800 ~ 13,800
820 ~ 920
28,500 ~ 32,500
44,000 ~ 60,000
0.30 ~ 0.50
1.80 ~ 2.20
0.10 ~ 0.30
2.20 ~ 2.80
7.20 ~ 7.80
7.40 ~ 8.00
12.30 ~ 13.70
1,900 ~ 2,100
1,100 ~ 1,300
880 ~ 1,020
38,000 ~ 42,000
117 ~ 129
120 ~ 134
88 ~ 102
34 ~ 44
7.70 ~ 8.50
42 ~ 50
3.55 ~ 4.15
30 ~ 36
1.85 ~ 2.03
50 ~ 70
1,100 ~ 1,300
方向性
上昇
上昇
上昇
上昇
上昇
上昇
上昇
上昇
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
上昇
上昇
上昇
上昇
上昇
レンジ
レンジ
レンジ
上昇
レンジ
レンジ
レンジ
レンジ
上昇
レンジ
(出所)各種統計、Bloomberg、Datestream等のデータを基に三菱UFJ投信作成
(注)2015年3月は月末値(土日祝日は前営業日の値を記載)。単位はポイント、円、%、為替は対円レート、J-REITは東証リート、米国リートはS&Pリート指数(配当込み)、
欧州リートは欧州S&Pリート指数(配当込み)、豪州リートは豪ASX200リート指数(配当込み)、日本は新発10年国債利回り。
当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定
はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前
の連絡なしに変更されることがあります。投資信託は株式、公社債等値動きのある証券に投資しますので、基準価額は変動し
ます。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金保険の対象とは
なりません。金融商品取引業者以外でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。本資料は当
社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。