全般季節予報支援資料 3か月予報 2015年2月25日

全般季節予報支援資料
3か月予報
予報期間:2015年3月~2015年5月
2015年2月25日
気象庁地球環境・海洋部
全般季節予報
(1)出現の可能性が最も大きい天候
3月 北日本日本海側では、平年と同様に曇りや雨または雪の日が多いでしょう。北日本太平洋
側では、平年に比べ晴れの日が少ないでしょう。東・西日本日本海側では、天気は数日の周期で
変わるでしょう。東・西日本太平洋側では、天気は数日の周期で変わりますが、平年に比べ晴れ
の日が少ないでしょう。沖縄・奄美では、平年に比べ曇りや雨の日が少ないでしょう。
4月 全国的に天気は数日の周期で変わるでしょう。北・東日本日本海側では、平年に比べ曇り
や雨の日が多いでしょう。北・東日本太平洋側、西日本では、平年と同様に晴れの日が多いでし
ょう。
5月 全国的に天気は数日の周期で変わるでしょう。北日本日本海側では、平年に比べ晴れの日
が少ないでしょう。東日本日本海側、西日本では、平年と同様に晴れの日が多いでしょう。沖
縄・奄美では、平年に比べ曇りや雨の日が少ないでしょう。
(2)確率予報
3か月(%)
3月
4月
5月
低 並 高
低 並 高
低 並 高
低 並 高
北日本
40:30:30
20:30:50
40:40:20
40:40:20
東日本
30:40:30
20:40:40
40:40:20
30:40:30
西日本
30:30:40
20:40:40
30:40:30
30:30:40
沖縄・奄美
20:40:40
20:40:40
30:40:30
20:40:40
3か月(%)
3月
4月
5月
少 並 多
少 並 多
少 並 多
少 並 多
北日本日本海側
北日本太平洋側
30:30:40
30:30:40
30:40:30
20:40:40
20:40:40
30:40:30
30:30:40
30:40:30
東日本日本海側
東日本太平洋側
30:30:40
30:30:40
30:40:30
20:40:40
20:40:40
30:40:30
30:40:30
30:40:30
西日本日本海側
西日本太平洋側
20:40:40
20:40:40
30:30:40
20:40:40
30:30:40
30:30:40
30:30:40
30:30:40
沖縄・奄美
40:40:20
40:40:20
40:30:30
40:30:30
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3か月予報
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気温
降水量
予報資料の解釈
●3 か月平均
・ 熱帯の海面水温(SST)偏差は、実況では太平洋東部の海面水温の偏差は小さいが、表層水温
(OHC)偏差、SST偏差の時系列予想図に見られるように、太平洋赤道域の表層では暖水が東進
し、予報期間の後半ほど太平洋東部のSSTの正偏差は明瞭になる見込み。3か月平均SST偏差は、
太平洋西部から中部にかけて正偏差が明瞭で、インド洋も正偏差。一方インドネシア付近では
負偏差が予想されている。暖水の東進は実況ですでに見られ、海面水温偏差については変化傾
向を含めてモデルを採用する。この熱帯の海面水温偏差から大気に与える循環場を中心に予報
を組み立てる。
なお、2月10日発表のエルニーニョ監視速報(No.269)によると、「エルニーニョ現象が終
息に向かっているとみられる。このエルニーニョ現象が春までに終息した後、夏まで平常の状
態が続く可能性と、夏までに再びエルニーニョ現象が発生する可能性が同程度である。」とさ
れている。月別にみると一旦偏差が小さくなった後昇温しており、エルニーニョ監視速報の見
立てと整合している。
・ 海面水温の平年偏差に対応して、熱帯の対流活動の活発域が日付変更線付近を中心に太平洋西
部から太平洋東部に予想され、一方、熱帯の対流活動の不活発域が東南アジア付近に予想され
ている(参照:200hPa速度ポテンシャル、降水量偏差)。この応答として、200hPa流線関数偏
差では、太平洋西部~東部で赤道を挟んで高気圧性循環偏差の対、インド洋で赤道を挟んで低
気圧性循環偏差の対が見られる。亜熱帯ジェット気流は、ユーラシア大陸では平年に比べ南寄
りを流れ、日本付近で北に蛇行し、日本の東海上では南へ蛇行して強まっている(参照:
200hPa流線関数偏差、200hPa東西風偏差)。
・ 亜熱帯ジェット気流が太平洋中部で強いため、低気圧の活動が活発となり、アリューシャン低
気圧は平年より強く、日本の東海上では北からの寒気を引き込みやすい。北日本を中心に冬型
の気圧配置がやや強いと見込まれる(シベリア高気圧は予測精度が低いため平年並を見込む。
ただし5月にはアリューシャン低気圧、シベリア高気圧ともに見られなくなる)。一方、亜熱
帯ジェット気流が日本付近で北へ蛇行するため、西日本の南海上では高気圧が平年より強く、
西日本へは南西の暖かく湿った空気が流れ込みやすい。
・ 中緯度層厚換算温度(30~50°N)、北半球層厚換算温度(30~90°N)は、共に期間を通して
正偏差が続く。
・ 以上から、3か月平均では、気温は、北日本では寒気の影響を受けやすい傾向が予想される。
また、西日本では多雨傾向、沖縄・奄美では少雨傾向が予想される。
●3月
・ SST、降水量分布は、3か月平均とほぼ同じ。
・ 200hPa 流線関数の偏差パターンは、3か月平均とほぼ同様、亜熱帯ジェット気流は、ユーラ
シア大陸で南偏、日本の東で北に蛇行、日本のはるか東でやや南へ蛇行し強まる。
・ モデルでは、アリューシャン低気圧は中心付近や南東側で強い。
・ モデルの結果からは、北日本では寒気の影響がやや強いと見込まれるが、最新の1か月予報で
は日本付近は 500hPa 高度で帯状に正偏差が予想されている。1か月予報の傾向で予報を考え、
全国的に高温の傾向とする。
・ 北・東・西日本太平洋側では低気圧や前線の影響を受けやすく、平年に比べ晴れの日が少ない。
沖縄・奄美では高気圧に覆われやすく、平年に比べ曇りや雨の日が少ない。
 想定される天候
・ 北日本日本海側では、平年と同様に曇りや雨または雪の日が多い。
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・ 北日本太平洋側では平年に比べ晴れの日が少ない。
・ 東・西日本日本海側では、天気は数日の周期で変わる。
・ 東・西日本太平洋側では、天気は数日の周期で変わり、平年に比べ晴れの日が少ない。
・ 沖縄・奄美では、平年に比べ曇りや雨の日が少ない。
●4月
・ SST、降水量分布は、3か月平均とほぼ同じ。
・ 200hPa 流線関数偏差では、大陸上でやや波列が強く出ているが3か月とほぼ同様で、亜熱帯
ジェット気流は大陸で平年より南を流れ、日本付近で北に蛇行し、日本の東海上で南へ蛇行し、
日本の南東海上で強まっている。アリューシャン低気圧は、日本にやや近い位置で強まる見込
みで、北日本を中心に北からの寒気の影響が強い見込み。
・ 全国的に高気圧と低気圧の影響を受け、天気は数日の周期で変わるが、北日本を中心に低気圧
の通過後は冬型の気圧配置となる日があるため、北・東日本日本海側では曇りや雨(北海道で
は、または雪)の日が多い。北・東日本太平洋側では、周期的に通過する低気圧や気圧の谷の
影響を平年と同様に受けるため、天候はほぼ平年並とする。
 想定される天候
・
・
・
・
低気圧と高気圧が交互に通り、低気圧の通過後は北日本を中心に冬型の気圧配置となる。
全国的に天気は数日の周期で変わる。
北・東日本日本海側では、平年に比べ曇りや雨の日が多い。
北・東日本太平洋側と西日本では、平年と同様に晴れの日が多い。
●5月
・ SST は、3か月平均に比べ太平洋赤道域の東部で高く、エルニーニョ現象に近い分布となる。
降水量分布は、3か月平均に比べて太平洋赤道域東部で多い。また、ベンガル湾付近で明瞭に
少ない。
・ 200hPa 速度ポテンシャルの発散中心も3か月平均に比べ東へ移る。エルニーニョ現象発生時
のパターンに近くなるが、典型的なパターンよりは西にずれている。
・ 200hPa 流線関数偏差は、大きなパターンは3か月平均と同様。エルニーニョ現象発生時の典
型的なパターンに比べて 30 度近く西にずれている。亜熱帯ジェット気流は大陸で平年より南
を流れ、西日本付近で北に蛇行し、日本の東海上で南へ蛇行し、日本の南東海上で強まってい
る。このため日本の東では寒気を引き込みやすい流れが予想される。
・ 500hPa 高度では、日本の東海上から沿海州付近にかけて負偏差となっており、北日本付近は
気圧の谷で寒気の南下が予想される。北日本では日本海側中心に晴れの日が少ない見込み。
・ 850hPa 流線関数では台湾付近に順圧的な高気圧性循環偏差がみられ、沖縄・奄美は平年より
高気圧に覆われる日が多いことを示している。ただし、高気圧性循環偏差が東にずれると湿っ
た気流が入りやすく逆に多雨傾向も考えられ、降水量の確率は不確実性を考慮する。一方、西
日本へは南西からの暖かい湿った気流が入りやすい傾向をやや考慮する。
・ 北・東・西日本は、高気圧と低気圧の影響を受け、天気は数日の周期で変わるが、北日本日本
海側は、寒気や気圧の谷の影響を受けやすく、平年に比べ晴れの日が少ない。東日本日本海側
と西日本では平年と同様に晴れの日が多い。沖縄・奄美は、前線や低気圧の影響を平年に比べ
受けにくく、平年に比べ曇りや雨の日が少ない。
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 想定される天候
・
・
・
・
全国的に低気圧と高気圧が交互に通り、天気は数日の周期で変わる。
北日本日本海側では、寒気や気圧の谷の影響により、平年に比べ晴れの日が少ない。
東日本日本海側と西日本では、平年と同様に晴れの日が多い。
沖縄・奄美では、低気圧や前線の影響が小さく、平年に比べ曇りや雨の日が少ない。
2月(20 日まで)の天候経過
2月の初めは冬型の気圧配置が強く、全国的に強い寒気が流れ込んだ。その後は、低気圧が本
州付近を数日の周期で通過し、低気圧の通過後は冬型の気圧配置となった。ただし、本州付近で
は低気圧の発達は弱く、東・西日本太平洋側の降水量は平年を下回った。日本海側では曇りや雪
または雨の日が多く、太平洋側では晴れの日が多かった。沖縄・奄美では、寒気や気圧の谷の影
響により、曇りや雨の日が多かった。
気温は、北日本で平年を上回り、東・西日本と沖縄・奄美で平年を下回った。降水量は、北日
本太平洋側と東日本日本海側で平年を上回ったほかは、平年を下回った。日本海側の降雪量は、
平年を下回った。日照時間は、北日本太平洋側と東・西日本日本海側で平年を下回り、北日本日
本海側と東・西日本太平洋側、沖縄・奄美で平年を上回った。
この資料は、気象事業者等が、気象庁の提供する季節予報の根拠を理解するための補助資料であり、
そのままの形で一般に提供することを想定して作成したものではありません。
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