99 回薬剤師国家試験 問 184 60 歳男性。5 年前に肝硬変と診断され、1

99 回薬剤師国家試験
問 184 60 歳男性。5 年前に肝硬変と診断され、1 年前から腹水が認められるようになった。3 日前から、
軽度の意識障害を認めるようになったため来院した。来院時、診察所見として、羽ばたき振戦を認めた。
この患者において、意識障害の軽減が期待できる経口製剤はどれか。2つ選べ。
1 ランソプラゾール錠
3 カナマイシン一硫酸塩カプセル
5 ラクツロースシロップ
2 スピロノラクトン錠
4 ウルソデオキシコール酸錠
解説
記述より、本患者は肝性脳症を引き起こしていると考えられる。よって意識障害を軽減するには、高アン
モニア血症の改善や Fisher 比の是正を行えばよい。
1 誤:ランソプラゾールはプロトンポンプ阻害薬であり、胃潰瘍、十二指腸潰瘍等の治療に用いられる。
2 誤:スピロノラクトンはアルドステロン拮抗薬(カリウム保持性利尿薬)であり、肝性浮腫等の治療
に用いられる。
3 正:カナマイシン一硫酸塩はアミノグリコシド系抗生物質であり、NH3 産生菌を抑制して高アンモニ
ア血症を改善する。
4 誤:ウルソデオキシコール酸は肝庇護薬であり、利胆作用や肝血流量増加作用により肝機能を改善す
る。慢性肝炎時の肝機能改善には効果を示すが、肝性症状に伴う意識障害の軽減には用いられない。
5 正:ラクツロースは腸管内で有機酸に分解されて腸管内 pH を低下させ、アンモニアの生産・吸収を
抑制するため、高アンモニア血症を改善する。
問 184 解答 3、5