かべながら流暢な手話で『よろしくお願 いします』と返してくれました。 はっとさせられる考え方 当日のスケジュール ●午後2時 オリエンテーション・ 自己紹介 仕事説明 ●午後3時 仕事体験 ●午後4時 分 対談(筆談) ●午後5時 解散 ●午後5時 に柳さんはゆっくり首を振りました。 聴者がろう者をシンボライズする場 公用語が 日本手話というカフェ 今回の参加者は新宿区の中学校にお 務めの高橋藤枝さんです。受入れ先は文 京区にあるスープカフェ「‐Social Café‐Sign with Me」で、オ ーナーの柳匡裕さんは日本手話を母語と するろう者です。 ほ と ん ど の お 店 で は、 入 店 す る と 「いらっしゃいませ」とあいさつされま す。しかし柳さんのお店の場合は、音声 によるあいさつはありません。なぜなら この店の公用語は日本手話だからです。 もちろん手話ができないお客様も大勢い らっしゃいますので、音声や手話以外で コミュニケーションをとれるように、指 差し注文できるメニュー表や筆談用のホ ワイトボードが用意されています。 高橋さんは手話ができないため、柳 手を尊重した上で関係を築くために必 要なものだと思います。 かし、 「ろう者は目で生きています。 匠に加えることが多いと思います。し とらわれて、 「耳」や「×」などを意 驚いた高橋さんでしたが、スタッフに 「では、ご自分で作ってみてください!」 。 がいいですか?」 。 「キャラメルラテを」 。 「少し休憩しましょうか、飲み物は何 音声日本語を使わずに 通じ合う だからこそ、 『目』 『見る』というとこ 筆談と身振り手振りで聞きながら作り始 合、 「耳が聴こえない」ということに ろを象徴させるほうが実情に合ってい め ま す。エスプ レッソやミルク good!とペンを走らせました。その 人。 そ の 中 で 高 橋 さ ん が 勢 い よ く しました。時折、顔を見合わせ、笑う二 体験のまとめとして再び柳さんと筆談 いなどもこなしました。 材の仕込みや客席の食器の片付け、皿洗 できます。そのあと高橋さんは、別の食 と自然に笑顔も生まれ、雰囲気良く作業 ましたが、やはり顔を見合わせながらだ 手持ちサイズのホワイトボードが活躍し 量の質問をしながら慎重に進めました。 で指示を出します。高橋さんも手順や分 フがすぐ側について身振り手振りや筆談 わずかな違いも出さないように、スタッ ープの仕込みを手伝いました。いつもと 続いて、お店の看板メニューであるス ます』と伝えると、にこやかな笑顔を浮 『橋』 『藤』 『枝』 『よろしく』 『お願いし ての手話で恐る恐る、 『私』 『名前』 『高』 るように高橋さんを促す柳さん。覚えた 2人のスタッフに手話で自己紹介す の声が出ます。 きには、 「あ、そうか!」と思わず感嘆 動きとその意味が頭の中で結びついたと 何とか理解しようとする高橋さん。手の ぶさに見つめ、手の動きを真似しながら とつ丁寧に教える柳さん。その様子をつ げて藤の花の形を表す『藤』と、一つひ 『橋』 。左手の下で右手をねじりながら下 いて手前に引くことで橋の形を表す る。両手の2本指を伸ばしてアーチを描 した。 『高』は指を曲げて手を上に上げ っそくその日本手話をレクチャーされま 前を書いて柳さんに自己紹介すると、さ りで意思疎通を図ります。まず自分の名 さんやスタッフたちと筆談や身振り手振 同カフェを開業しました。障害者が「ありがと 筆跡と二人の表情からは「通じ合えてい 4月下旬(予定) の量をカップで 代表。ろう者。デザイナーや車両研究開発、 る」という実感がうかがえます。その手 取材 時期 きっち り 図 り、 るから自信があるとのことです。 応えを胸に高橋さんは、教わったばかり 平成27年4月17日(金)必着 生クリームとシ 目指しています。 応募 締切 かがやき 8 協力:仕事旅行社 http://www.shigoto-ryokou.com/ 9 かがやき う」と言われ、自尊心を持てる社会の実現を ※夏号以降にご参加いただく場合もございます。 ロップを乗せて 為、すなわち「働く」ことが全て。当店は 障害者就労支援業をへて2011年に起 業し、 差込の「かがやき」編集担当宛てはが きにある参加希望欄にチェックを入れ てお申し込みください。 応募 方法 ます」と柳さんは強調しま 柳 誰もが「ありがとう」をもらえる社会 別支援教育コーディネーターの経験もあるそ の『ありがとう』という手話で柳さんら る企画をご用意いたしますので、ぜひご応募 す。 「だから店名の中の 『M 付きの種」をまいてほしいです。 手話カフェ「-Social Cafe- Sign with Me」 ください。 完成です。自分 います。そのためには人のために動く行 にあいさつし、体験を終えました。 ル予定ですが、よりよい体験をしていただけ 保健体育の教員である高橋さん。学生時代 で作ったラテを きことです。だから「有難う」なのだと思 厨房からナポリタンのいい匂いが漂 走り続けられる方。より多くの人たちに 「気 今回 の プロフェッショナル 次回の読者参加企画への参加希望者を募集 高橋藤枝さん 楽しみながら、 成長したいのです。難が有ることが当た E』には『目』を掛けてい て、最後まで自分の中の火種を消さず、 柳匡裕さん します。新年度を迎えるにあたってリニューア 今回 の 組合員代表 新宿区立新宿西戸山中学校 勤務 り前で、それは成長につながる感謝すべ う中、ろう者の就労状況や開店の経緯 点です。 柳さんとの筆談 ながりたいし、失敗を繰り返しながらも ますし、ロゴには目がデザ と言われたのが印象的で、それは私の原 を続けました。 る機会はありません。私たちは社会とつ などの説明を受けます。ノートパソコ しました。特に「家族を大切にしなさい」 うです。料理や洗い物は毎日家でこなしてい 当コーナーの参加者募集! 厨房での作業の前に柳さん (右) から筆談で指示を 受ける高橋さん (左) りがとう」を言うことはあっても、言われ インされているんです」 。 橋さんの言葉は一つひとつに愛を感じる 店内の壁一面に設置された特大のホワイトボード。訪 れた人それぞれの母語でメッセージが残されています を目指して仕事をしています。こちらが 「あ ンのモニターに、柳さんの想いが綴ら もので、久しぶりに母の愛に触れた気が これはおそらく、聴者だ の強い母親という印象を受けました。高 れていきます。そして時折、高橋さん 柳 高橋さんは、教育者である前に一人 けの社会にいては気づかな だと思います。 の顔を見て問いかけ、考えさせます。 埋まらないし、 ないものねだりをしてもしょ い考え方です。このような うがないので、自己肯定することが大切 「ろう者を象徴的に表すとしたら、どん 生徒がいます。違いはあるけど、それは 発想は、ろう者と聴者の関 伝え合うことができると実感しました。障 なマークにしますか?」という問いか 高橋 聞こえがあってもなくても想いを 係性だけにとどまりません。 コミュニケーション けに悩む高橋さん。 「ヘッドホンをいつ からだと思います。柳さんは発信力があっ このコーナーは組合員が異業種 の職場を訪れ、その仕事を体験 する企画です。普段とは違う仕事 をし、その道のプロの方たちと意 見交換することで、新たに学ぶこ とも多いものと思われます。 文化の異なる人たちが、相 は前のめりで」とも。それができるのは、 仕事を 学ぼう! も付けている感じかな?」という答え ご家族や従業員の方たちを信頼している 組合員 プロフェッショナル かがやき ダイアローグ は体育心理やリハビリテーションを学び、特 そのために存在しています。 30 手話カフェ 高橋 柳さんは自身の生きざまを「あがく スープの仕込みを手伝う 高橋さん 害に限らず、学校にはいろいろな境遇の の仕事を学ぶ こと」だとおっしゃいました。 「倒れるとき 読者参加 企画 【組合員 筆談カフェオーナー】
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