特別支援学校高等部の現在と 高等学校の連携教育

特別支援学校高等部の現在と
高等学校の連携教育
東京都立江東特別支援学校
特別支援教育コーディネーター
吉田紀代美
今日の内容
 交流教育について
 副籍制度
 東京都の特別支援学校
 江東特別支援学校の教育
 高等特別支援学校と職業学科
 特別支援教育コーディネーターとエリアネットワーク
 高等学校との連携
 子育てと社会参加
交流教育
~小学校・中学校・高等学校の児童・生徒との交流~
 江東区立第四砂町小学校
 江東区立第二南砂中学校
 都立大江戸高等学校
 江東区立東陽小学校なかよし学級
 交流活動と作品展示
 出前授業(小学生に合わせた障害についての説明・一人ひとりは違
うこと・どのように江東特支の子どもたちと関わるか)
 時間を共有することの意味
副籍制度について
 東京都が平成19年度から実施
 特別支援学校の児童・生徒が住んでいる学区域の学校を地域
指定校として区が決める
 直接的な交流と間接的な交流(学校便りの交換)
 実際交流している児童生徒の割合
(小学部43名 中学部12名)
 交流内容(授業・給食・休み時間)
 障害に対する理解推進の経緯と現状
ともにまなぶ
東京都の特別支援学校
 視覚障害特別支援学校、聴覚障害特別支援学校、知的障害特別支援
学校、肢体不自由特別支援学校、病弱特別支援学校
 肢・知併置校、視・知併置校、聴・知併置校、病・知併置校
 知的障害特別支援学校・・小・中学部、高等部(普通科単独)
 ○○学園・・職業学科
 江東特別支援学校・墨東特別支援学校・葛飾盲学校・大塚ろう学校
江東分教室
 永福学園、志村学園、水元小合学園、その他3校
都立江東特別支援学校の教育(1)
 小学部、中学部、高等部
 在籍数
小100名
中54名
高148名
全校302名
 学区域は、江東区・中央区・千代田区の一部
 小学部・中学部は教育課程が普通学級教育課程・自閉症学級
教育課程・重度重複学級教育課程
 小学部は国語・算数、体育の時間が増加。
 自閉症学級は障害特性に配慮した学級経営、教室の構造化及
び社会性の学習が特徴
 中学部は、作業や総合的な学習、その中に伝統文化に関する
内容や就労先の見学の機会もある。
都立江東特別支援学校の教育(2)
 高等部は普通科
 類型化をしている(職業学習類型・基礎学習類型・生活学習
類型・重度重複学級)
 職業学習類型は「職業」の授業に重点。その他情報・社会・
理科・道徳。
 基礎学習類型は国語・数学を重点。その他理科・社会。
 生活学習類型は日常生活上の課題を重点。
 企業就労=職業学習類型ではない。
平成28年度より
 江東特別支援学校は、小・中学部は大塚ろう学校江東分教室
と一緒になって、聴・知併置校になります。今のところ第二
江東と仮に呼ばれていますが、来年度に校名は決まる。
 場所は現在の大塚ろう学校江東分教室がある大島に建設中。
 高等部は現在の場所で単独校に。
 来年度に江東特別支援学校内に開設準備室。
特別支援高等学校
~職業学科について~
 職業学科には「就業技術科」「職業開発科」がある。
 永福学園・志村学園・水元小合学園・南大沢学園・青峰学園
は就業技術科
 足立特別支援学校にあるのは職能開発科(普通科も)
 普通科との違いは、応募資格が「将来、企業就労を目指すも
の」、「入学者選考」で合格者を決定。
特別支援学校のコーディネーターの役割
 地域の特別支援教育のセンターとしての役割を果たすよう努
めることとしており、地域の特別支援教育のセンターとして
の役割を果たすよう次の事項について、教育課程に関連する
事項として位置付けるものとする。
 幼稚園、小学校、中学校及び高等学校等の要請により、障害
のある子ども又はその教師に対し必要な助言、援助を行うこ
とを明確にする。
 障害のある幼児等の保護者に対する早期からの相談など、関
係機関等とも連携しつつ、早期支援にも努めることを明確に
する。
(文部科学省
学習指導要領にかかる答申より)
高等学校と特別支援教育
 高等学校にいる特別な支援を要する生徒
約2パーセント
 全日制より定時制や通信制、チャレンジスクールやエンカ
レッジスクールにより多く在籍している
 平成21年度の学習指導要領の改定により①学校全体で特別支
援教育に取り組むための校内支援体制の整備、②生徒一人一
人の実態等に応じた指導の充実、③交流及び共同学習の推進
が改訂の内容として示されている
 実際のところは、学校によっての温度差が小・中学校より大
きく、取り組みもこれから。
 都立高等学校等発達障害支援研究協議会の開催(学校経営支
援センターごと)、心理士の巡回相談
個別の教育支援計画から
個別の教育支援シート、ファイルへ
 個別の教育支援計画を平成19年度より作成してきた。
 趣旨は、特別支援教育が必要な児童・生徒が本人、保護者の
ニーズを踏まえた長期的な視点に立った教育・・乳幼児から
学齢期、就労まで・・を見据えたツール。
 次年度より個別の教育支援シートとして、なじみやすい名称
に改定するとともに引継ぎに重点をおいた項目を設けた。
 就学支援シート(幼児期から学校へ)、個別移行支援計画
(学校から就労先へ)と共に支援ファイルとして作成活用す
る。
個別の教育支援シートと支援ファイル
キャリア教育について
~自立と社会参加~
 必要な能力分析・・人間関係形成能力・情報活用能力・将来
設計能力・意思決定能力の4つ
 人間関係形成能力とは・・自他の個性を大切にしながら、コ
ミュニケーションを図り、共同・協力する。
 情報活用能力とは・・学ぶこと・働くことの意義や役割、多
様性を理解し、幅広く情報を活用して進路決定・自己選択し
ていく。
 将来設計能力とは・・希望を持って、将来の生き方や生活を
考え、現実を踏まえて、前向きに将来を設計していく。
 意思決定能力とは・・自らの意思と責任でよりよい選択、決
定をその過程での困難や葛藤に向き合い、克服していく。
キャリア教育と家庭支援(1)

小学校期
(人との関係づくり)自分の良さや友だちの良さに気がつく、やりとりする力と集団
参加、日常生活に必要な意思表示、あいさつ身だしなみの習慣化
(情報活用)身の回りの環境への関心、社会資源の活用とルールの理解、体験を通し
た金銭の大切さ、役割の理解と実行
(将来設計)家庭における必要な習慣作り、職業的な役割への関心、意欲的な活動へ
の取り組み
(意思決定)目標への意識・意欲、遊び・活動の選択、振り返り
 中学校期
(人との関係づくり)達成感に基づいた自己理解、相手の気持ちや立場の理解、社会
生活に必要な自己表現、状況に応じた言葉遣いや振る舞い
(情報活用)進路をはじめとした情報の収集、社会の仕組みやルールの理解、消費生
活に関する理解と計画的な消費、働くことの体験的な理解、家庭での役割の実行
(将来設計)職業生活に必要な習慣形成、夢や職業への憧れ、活動への自発的な取り
組み
(意思決定)目標の設定と達成、個性や興味関心に基づいた選択、進路先に向けた選
択、振り返りと次に生かそうとする努力、課題解決のための選択肢の活用
キャリア教育と家庭支援(2)
 高等学校(高等部)期
(人との関係づくり)職業との関係における自己理解、他者の考えや個性の尊重、
チームの一員としての役割遂行、必要な支援を適切に求めたり、相談したりする表現
力、TPOに応じた言動
(情報活用)職業生活・社会生活に必要な事柄の情報収集と活用、社会の様々な制度
やサービスに関する理解と実際の生活での利用、労働と報酬の関係の理解と計画的な
消費、職業及び働くことの意義と社会生活において果たすべき役割の実行
(将来設計)職業生活に必要な習慣形成、働く生活を期待した新しい生活への期待、
余暇の活用、将来設計に結びつく進路計画
(意思決定)将来設計や進路希望を実現するための目標設定と解決への取り組み、産
業現場における実習経験に基づく進路選択と活動の自己評価、課題解決への選択
子育てと社会参加
 毎日の社会参加につなげるには、健康管理ができること
 その子の良さを見出す子育て、自分に自信を持って生きるこ
と
 幸せな日常生活は、その子の笑顔に、そして関わってくれる
人を笑顔に。
 「ほうれんそう」も、基本は親子関係から
 でも、家庭あり方も様々・・・学校や放課後クラブなど、い
ろいろな人の手を借りて子育てを!
 その子の力を信じる
 そして、次につながる支援
 周囲の人々をわが子の支援者に!