塗って作れる太陽電池の 半導体ポリマー開発

塗って作れる太陽電池の
半導体ポリマー開発
理化学研究所 創発物性科学研究センター
上級研究員 尾坂格
1
従来の太陽電池
http://kansaidenka.co.jp
シリコン等の無機半導体を発電層として利用
固い、重い、高コスト
2
有機薄膜太陽電池
米Konarka社
東大 染谷G
有機半導体(色素、ポリマー)を発電層として利用
薄い、軽い、フレキシブル、シースルー、カラフル
3
有機薄膜太陽電池の製造方法
popupcity.net
有機半導体インク(溶液)を塗布することで薄膜を形成
プラスチック基板に作製可能
低温・低環境負荷プロセス、大面積化が容易、低コスト
4
有機薄膜太陽電池の用途例
米Konarka社
産総研
軽量建物、ビニールハウス、窓、
垂直面、曲面、インテリア、
ウェアラブルデバイス、etc
米Konarka社
6
有機薄膜太陽電池の課題
•  エネルギー変換効率と信頼性(耐久性)の向
上が必要。
•  エネルギー変換効率のベンチマークは約11%。
シリコン太陽電池の約半分。
•  材料の開発が急務。高効率、高耐久な材料
がない。
7
理化学研究所(当グループ)の
これまでの研究
•  有機合成化学をベースに、有機半導体材料
(半導体ポリマー)を多数開発。
•  開発した有機半導体を有機薄膜トランジスタ
や有機薄膜太陽電池に応用
当グループで開発した代表的な半導体ポリマーの分子構造
N
R
S
S
S
S
R
S
S
N
R
R
S
S
S
n
N
S
N
S
n
S
N
N
S
S
R
S
S
N
N
S
S
n
R
8
当グループの成果①-1
N
R
S
S
N
S
S
N
S
N
R
N
S
S
n
ホール輸送層
正極
S
R
N
5
100
0
80
-5
-10
-15
-20
-25
-0.2
0.2
N
n
R
0.4 0.6 0.8
Voltage (V)
1
60
40
20
PNTz4T
PNOz4T
0
O
S
PNO4T
EQE (%)
光活性層
半導体ポリマー
+
フラーレン誘導体
Current density (mAcm–2)
電子輸送層
N
S
PNTz4T
負極
O
1.2
0
300
400
500 600 700
Wavelength (nm)
800
ポリマー
短絡電流密度
(mA/cm2)
開放電圧
(V)
フィルファクター
変換効率
(%)
PNOz4T
14.5
0.96
0.64
8.9
PNTz4T
19.5
0.71
0.73
10.1
900
9
当グループの成果①-2
eVOC (eV)
1.2
1
12
Inorganic
Perovskite
DSSC
Organic (Small molecule)
Organic (Polymer)
PNTz4T
PNOz4T
10
8
PCE (%)
1.4
0.8
6
4
0.6
2
0.4
1
1.2
1.4
1.6
Eg (eV)
1.8
2
0
0.4
0.5
0.6
0.7 0.8 0.9
1
Eg – eVOC (Eloss) (eV)
1.1
1.2
•  光エネルギー損失(Eloss = Eg – eVOC)の低減に成功
•  有機薄膜太陽電池は光エネルギー損失が大きいことが変換効率
向上の妨げとなっている。
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当グループの成果①-3
(a) 一般的なOPV
(b) PNOz4T素子
駆動力となるエネルギー差なし
②
励起状態
電荷移動状態
バンドギャップ
①
駆動力による
エネルギー損失
他の要因による
エネルギー損失
励起状態
光エネルギー損失
(0.7 1.0 eV)
電圧として出力される
エネルギー
電圧として出力される
エネルギー
基底状態
電荷移動状態
基底状態
11
当グループの成果②-1
R
R
S
S
N
N
S
S
N
S
S
N
N
S
S
R
R
S
R2
N
PTzBT
S
R1
R2
S
S
n
N
N
S
S
S
N
S
S
n
R1
N
負極
電子輸送層
光活性層
半導体ポリマー
+
フラーレン誘導体
ホール輸送層
正極
Current density (mA cm–2)
0
N
S
S
S
N
S
n
R
PNTz4T
高電流、高電圧で効率アップ?
変換効率~9%
5
S
N
新ポリマー:PTzNTz
変換効率~7.5%(高電圧)
N
R
変換効率~10%(高電流)
PTzNTz
PNTz4T
PTzBT
-5
-10
-15
-20
-25
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
Voltage (V)
0.8
1
12
当グループの成果②-2
新ポリマー:PTzNTz素子は、変換効率は9%と最高値
には届かなかったが、耐久性(耐熱性)が大幅に改善。
変換効率(規格化)
試験条件:グローブボックス中、遮光化にて85℃で保存
1
0.8
0.6
0.4
PTzNTz
PTzBT
PNTz4T
0.2
0
0
100
200
300 400
時間 (h)
500
600
13
企業への期待
•  開発した半導体ポリマーを用いて、製品化に
向けた開発を行ってくれる企業との連携・共同
研究を希望。
•  半導体ポリマーの新たな用途展開を行える企
業との連携・共同研究を希望。
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お問い合わせ先
科学技術振興機構
環境エネルギー研究開発推進部
TEL 03-3512 - 3543
FAX 03-3512 - 3533
e-mail alca@jst.go.jp
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