概要 - 数理物理学研究室

中性原子 BEC における量子渦の集団振動モード
数理物理学講座 41415012 森田 忍
ボーズ・アインシュタイン凝縮(BEC)は巨視的な量子現象であり, 超流動性の研究に適し
た物理素材である. これまで超流動性の研究に用いられてきた超流動 He に比べ, BEC は多くの
利点を持つため, 多様な研究が行われている. その中で量子渦は BEC 研究の大きな話題となっ
ている.
調和振動子ポテンシャル(2次ポテンシャル)トラップの2次元的な励起の研究については,
すでに行われている [1]. 今回は ENS の実験 [2] で行われた非調和(2次+4次)ポテンシャル
トラップでの渦格子の2次元的な振動モードについて議論する. この非調和ポテンシャルでは,
調和ポテンシャルの場合に観測することの困難なトラップ周波数近傍臨界領域, あるいはそれを
超えた回転数での凝縮体の様子を見ることができる. さらに, パラメータを変えることで, 様々
な渦糸相をとることが知られている. それに加え, 4次ポテンシャルによりオーダーパラメー
タ, 集団振動モードが影響を受けるかといったことにも興味がある.
一般に回転とともに凝縮体に渦糸が侵入し, 渦格子(Abrikosov 格子)を形成することが知ら
れている. GP 方程式を用いてオーダーパラメータが渦格子を形成することを確認する. また,
調和ポテンシャルと比べ, 非調和ポテンシャルの臨界振動数がどのように変化するか見ていく.
次に基底状態からの微小揺らぎを考え, BdG 方程式により励起の固有関数と, エネルギー固
有値を求めた. 不安定化を示す2次元的な励起状態が存在するか, 励起の分布を見て GP 方程式
によるオーダーパラメータの妥当性について議論する.
凝縮体の2次元的な集団振動モードの中から, 表面モードのうち特に重要な四重極モードと,
圧縮モードのうち breathing モードについて調べた. また, 渦格子の2次元の代表的な芯モード
として, Tkachenko モードについて調べた. さらに, 各振動モードの回転数依存性を議論した.
またこれとは別に, 1次元光学格子ポテンシャル中の BEC を考え, 渦糸に沿った方向の1次
元的な励起を研究した. 周期ポテンシャルをかけることで, 凝縮体は2次元的なディスク状の
BEC の集まりになる. 周期性のために, 実験的, 理論的な取り扱いが容易になる.
渦糸のよじれとは直接関連はないが, 超流動性の破れに関連する, 渦のない場合についてフォ
ノンモードを調べた. 渦糸のよじれを考慮するため, 一次元光学格子中の BEC の Kelvin モード
の解析をおこなった.
[1] T. Mizushima et al,cond-mat/0308010.[2] V. Bretin et al,Phys.Rev.Lett.92,050403 (2004).
0.90
1.00
1.05
図 1: Bogoliubov 理論による計算結果. それぞれ回転数 Ω < ω⊥ , Ω = ω⊥ , Ω > ω⊥ でのオーダー
パラメータ. ω⊥ は2次ポテンシャルのトラップ周波数である.