様式4 湯川記念財団「望月基金」報告書 申請者氏名 久保 百合香 論文名 A New Phase in Antiferromagnets below the Saturation Field 国際会議名 the 20th International Conference on Magnetism (ICM2015) 開催地 Barcelona, Spain 参加期日 2015 年 7 月 5 日 から 7 月 10 日まで。 参加目的: 我々は、正方格子反強磁性体の飽和磁場付近で新しい相[非整合 spin density wave(SDW)相]が出現するということを提唱している。本発表では、この仮説の 正当性、またその相の出現する場合に実験や数値計算での観測の可能性につい て議論することを目的とする。 会議の状況: 多くの研究者が集合し、大規模な会議であった。8:30~19:30 まで5日間とい うプログラムであったが、どの時間も参加率は高かった。申請者はポスター発 表をし、7人程度の方と発表中で議論することができた。また他の研究者とも 有意義な議論ができた。 成果概要: 2次摂動計算によってスピン波スペクトルを調べると、ある非整 合波数 k 0 のマグノンが、飽和磁場の 75%程度の磁場 h =h0 で完全にソフト化し、 更に高磁場下では非物理的な“負の励起エネルギー”を得る。我々は、この原 因を基底状態が cant 状態でなくなるためと考えた。 この予測の真偽を確かめるため、高磁場下で k 0 のマグノンがマクロな振幅を 持ち、ボース・アインシュタイン凝縮(BEC)する場合の基底状態のエネルギーを 調べた。BEC する場合の基底状態のエネルギーが、単純な cant 状態に対して低 くなることから、h =h0 で相転移(2次)することを明らかにした。スピン演算子 の期待値<S i>を調べた結果、面直成分の期待値が消失し、面内成分がπ/ k 0 周期で振動する正弦波となる非整合 SDW 相が出現することがわかった。一方、 非整合 SDW 相のスピン演算子の期待値<S i>の長波長極限は通常の cant 状態の スピン演算子の期待値と等しくなることが明らかになった。従って、この相の 実験的・理論的観測には、スピンの局所的な様子を観測する必要がある。 平成 27 年 7 月 23 日 氏名 久保 百合香 会計報告書 収入 項目 望月基金 金額(円) 備考 250,000 円 早稲田大学個人研究費 計 72,280 円 322,280 円 支出 項目 金額(円) 学会参加費 41,110 円 国内交通費 2,820 円 航空運賃 113,650 円 宿泊費 112,700 円 日当 計 備考 52,000 円 全出張費用額-25万を 322,280 円 早稲田大学個人研究費から支出
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