インドの発行体格付BBB[安定的]、短期債務a-2を維持

NEWS RELEASE
2015年03月13日
【格付維持】
インド
外貨建発行体格付: BBB [格付の方向性:安定的]
外貨建短期債務: a-2
格付投資情報センター(R&I)は上記の格付を公表しました。
【格付理由】
経済は回復局面にあり、財政及び経常収支には以前より安定感が出てきた。生産年齢人口が拡大局面
にあり、経済の潜在的な成長力が非常に大きいとの評価は変わらないが、安定的な高成長軌道に乗るた
めには、インフレを抑制するとともに投資を活性化する様々な改革が欠かせない。原油価格の下落は、
交易条件の悪化が景気の腰を折ってきたインドにとっては福音となり得る。内外の経済情勢に不透明感
が残る中で、多くの課題解決に向けた新政権や中央銀行のかじ取りに注目していく。上記のような状況
を勘案し、外貨建発行体格付BBBを維持した。格付の方向性は安定的。
インフラ整備や労働制度の改正など、企業の生産活動を後押しする改革が遅れてきたことで、近年は
企業が投資を控える構図が鮮明にみてとれた。経済改革への期待が高いモディ新政権の下、インド経済
が以前の好調さを取り戻せるか正念場だ。所得水準は依然として低く、若年人口の割合が高いことなど
を考えれば、将来の成長余地は依然として大きい。しかし、若年層を安定的に雇用できる産業を作り出
せなければその強みは生かされないままとなる。この点では、モディ首相も重要性を強調するように、
製造業の育成という長年の課題にどう取り組んでいくかが注目点だ。2015年度予算に盛り込まれた税制
変更の効果などを見守る。
ラジャン総裁下のインド準備銀行(RBI)はインフレ目標の導入を図るなど、インフレ抑制重視の姿勢
を鮮明にしている。急速な原油安でインフレ率も低下、RBIは2015年1月と3月に臨時の金融政策決定会合
を開き、政策金利をあわせて50bps下げた。市場では、ディスインフレを背景にもう一段の利下げを予想
する向きは多い。
中央・地方政府合算の財政赤字は2009年度(2009年4月-2010年3月、以下同様)にGDP比9.5%まで悪
化。経済の低迷もあり改善は一進一退だったが、2014年度は同6.4%に低下したと見積もられている。
2015年度予算では、中央政府の財政赤字を2017年度にかけてGDP比3.0%まで削減するとしており、性急
な赤字削減という印象はない。構造的な収支改善には、農業補助金など政治的に難しい分野にどこまで
切り込めるか、また2016年4月の導入を目指す物品サービス税(GST)など、抜本的な税制改革の実施が
鍵を握る。州財政を圧迫する電力セクターの問題についても改めて抜本的な対策が望まれる。安定的な
経済成長のために不可欠なインフラ開発費用を捻出しつつ、財政健全化を進めることができるか、新政
権の財政運営手腕が問われる。
RBIによれば、2014年3月末時点の公的債務比率はGDP比66%と、若干だが前年度から上昇した。預金総
額の一定比率を公債など流動性の高い資産で保有することを義務付けるSLR制度(Statutory Liquidity
Ratio)の存在もあり、銀行(商業銀行及び協同組合銀行)が50%弱を保有する。効率的な資本利用の観
点からは改善の必要性が指摘されるが、高水準の財政赤字の中、安定的な国債消化の助けであることも
否定できない。
経常収支赤字は経済の減速にも関わらず2012年度にGDP比4.7%まで悪化。政府も相当の危機感を持っ
て対処にあたり、金輸入を制限する措置を導入するなどして貿易赤字の圧縮を図った。2013年度は、輸
出の回復もあってGDP比1.7%まで削減された。2014年度は4-9月にじわりと赤字が拡大していることは
気掛かりだが、原油価格の下落は大きな助けとなる。政府は海外直接投資規制の緩和を加速している
が、併せて輸出品の国際競争力やビジネス環境の改善、ひいてはインド経済への信頼回復という、より
抜本的な取り組みを続けていくことが重要だ。
対外債務残高は2014年3月末で約4400億米ドル(GDP比24%)。対して外貨準備高は約3040億米ドル
(同16%)。2013年度の財・サービス輸入の6.7カ月分、短期対外債務の3倍以上の水準であり、短期的
な流動性不足の懸念は小さい。ただ、外貨準備比でみた対外債務の水準は、2008年頃の0.7倍程度から
1.5倍程度まで上昇してきている。経常収支や為替動向と併せ、今後のトレンドには留意したい。
■お問合せ先 :インベスターズ・サービス本部 TEL.03-3276-3511 E-mail [email protected]
■報道関係のお問合せ先 :経営企画室(広報担当) TEL.03-3276-3438
株式
会社
格付投資情報センター
〒103-0027東京都中央区日本橋1-4-1 日本橋一丁目三井ビルディング http://www.r-i.co.jp
信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ
ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に
際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ
き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。
ⓒRating and Investment Information, Inc.
NEWS RELEASE
【格付対象】
発行者:インド
名称
格付
格付の方向性
外貨建発行体格付
BBB(維持)
安定的
名称
格付
外貨建短期債務
a-2(維持)
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際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ
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NEWS RELEASE
信用格付に関わる事項
信用格付業者
登録番号
株式会社格付投資情報センター
金融庁長官(格付)第6号
直近一年以内に講じられた監督上の措置は、ありません。
主任格付アナリスト
関口 健爾
信用格付の付与について
代表して責任を有する者
神林 尚
信用格付を付与した日
2015年03月06日
主要な格付方法
ソブリンの格付の考え方 [2012.03.16]
上記格付方法は、格付を行うにあたり考慮した他の格付方法とともに以下のウェブサイトに掲載して
います。
http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/methodology/index.html
評価の前提は、以下のウェブサイトの格付付与方針に掲載しています。
http://www.r-i.co.jp/jpn/ratingpolicy/index.html
格付符号とその定義は、以下のウェブサイトに掲載しています。
http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/definition/index.html
格付関係者
インド
注 格付関係者は、金融商品取引業等に関する内閣府令第三百七条に基づいて、R&Iが判断したものです。
利用した主要な情報 政府を含む公的機関が作成した財政・経済資料
品質確保のための措置 政府を含む公的機関が作成した、またはそれに準じた信頼性が確保さ
れている資料であること。
情報提供者 -
信用格付の前提、意義及び限界
R&Iの信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定
通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見です。R&Iは信用格付によって、個々の債務等
の流動性リスク、市場価値リスク、価格変動リスク等、信用リスク以外のリスクについて、何ら意見
を表明するものではありません。信用格付は、いかなる意味においても、現在・過去・将来の事実の
表明ではありません。また、R&Iは、明示・黙示を問わず、提供する信用格付、又はその他の意見に
ついての正確性、適時性、完全性、商品性、及び特定目的への適合性その他一切の事項について、い
かなる保証もしていません。
R&Iは、信用格付を行うに際して用いた情報に対し、品質確保の措置を講じていますが、これらの
情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。R&Iは、必要と判断した場合に
は、信用格付を変更することがあります。また、資料・情報の不足や、その他の状況により、信用格
付を保留したり、取り下げたりすることがあります。
利息・配当の繰り延べ、元本の返済猶予、債務免除等の条項がある債務等の格付は、その蓋然性が
高まったとR&Iが判断した場合、発行体格付又は保険金支払能力とのノッチ差を拡大することがあり
ます。
信用格付に関わる留意事項
当該信用格付は、格付関係者からの依頼によるものではありません。
格付関係者から信用評価に重要な影響を及ぼす非公開情報は入手していません。
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