くらしき作陽大学付属幼稚園

No.16-023-2013作成
くらしき作陽大学附属幼稚園
Kurashiki Sakuyo University's Attached Kindergarten
倉敷は温暖な気候風土であるため、生
活の中に自然の気配を持ちこむことで
カテゴリー
発注者
学校法人作陽学園
設計・監理
戸田建設株式会社広島支店一級建築士事務所
施工
豊かな中間領域の形成
新築
学校
豊かさが増すと考えた。 A. 環境配慮デザイン
B. 省エネ・省CO2技術
C. 各種制度活用
D. 評価技術/FB
TODA CORPORATION
E. リニューアル
F. 長寿命化
G. 建物基本性能確保
H. 生産・施工との連携
戸田建設株式会社広島支店
I. 周辺・地域への配慮
J. 生物多様性
K. その他
中間領域としての縁側を通して、保育
室と園庭がゆるやかにつながる保育空
間は、日本の伝統的な空間構成と合致
する。
N
自然と共に育む学びの場
1階3歳児保育室前の縁側と園庭
はじめに
~自然の通風と採光~
当幼稚園は、くらしき作陽大学の構内に新
夏、冷房に頼らなくても建物の隅々に
たに建設された。大学キャンパスは建築家
まで自然の風が吹き抜けるように、掃
吉村順三氏の設計によるもので、平成9年
き出し窓とハイサイドライトによる重
度に倉敷市建築文化賞優秀賞を受賞してい
力換気を建物全体で行っている。2階
る。幼稚園を設計するにあたり最も心掛け
の保育室外部は3mの出の庇により、
たことは、吉村順三氏が創り上げた優れた
夏は室内への直達日射を遮り、冬は暖
景観をどう維持し、どう調和させるかとい
かい日射を導く配慮をすることで心地
うことである。また、感受性豊かな子ども
良い保育空間の形成を目指した。
たちの感性を育む為に、日常生活の中に自
~木質系材料の多用~
然を取り入れ、より身近に屋外の空間に接
ハイサイドライトからの排煙を確保す
保育環境としての最適な敷地選定
井への木質系材料の多用が可能となっ
大学キャンパス内にあるいくつかの候補地
た。心理的な快適性を感じることが出
すいこと、豊かな自然環境を享受しやすい
ことを念頭に、斜面や森を保育に生かせる
吹抜
(遊戯室)
前室
本棚 図書室
EV
多目的ルーム
本棚
観覧席
DN
縁
−プ
スロ
縁
収納
4歳児
保育室
PS
UP
園児
トイレ
4歳児
保育室
5歳児
保育室
PS
大型登り遊具
縁
2階5歳児保育室
UP
DN
DN
園児
トイレ
5歳児
保育室
スロープ
大型遊具
3M
豊富に使った内装と、木漏れ日を想起
5M
10M
界
境
地
敷
2階平面図
させるようランダムに配置したLED
振動・悪臭が少ないこと、敷地内から外への
騒音が少ないこと、採光・通風が確保しや
倉庫
下部吹抜
女子トイレ
来る空間にするために、木質系材料を
N
大学側の希望を踏まえ、敷地外からの騒音・
南西鳥瞰
候補地
野外音楽堂
庇
男子トイレ
男子 洗濯室
更衣室
廊下 ユニバーサル
トイレ
UP
ることで内装制限が緩和され、壁・天
候補地
女子
更衣室
斜面の階段
することができるように配慮した。
の中から敷地を選択する過程に携わった。
2階保育室前の縁側
敷地境界
線
快適な室内環境
候補地
決定敷地
ライン照明を一体計画した。
敷地境界線
キャンパス全景
野外音楽堂(既存)
グランドの一角を敷地とした。
スロ-プ
グランド
線
敷地境界
もとの自然を生かした建物配置
原っぱ園庭
2号館(既存)
大学キャンパスが小高い丘にあるため、自
UP
斜面の階段
池
大型登り遊具
敷地
境界
線
然環境には恵まれており、その起伏に富ん
だ地形を生かすことに心を砕いた。森や斜
屋外階段
スロ-プ
藤棚
1階縁側
大型遊具
面のようなもとからある自然を活かすため
に、建物をL型に配置した。掘削土量を低
敷地外環境への配慮
森の園庭を散策する子どもたち
減する為、建築面積を抑え2階建てとし
た。2階からほぼ同じ高さにある斜面の園
園庭に芝貼りをすることで、周辺への
森の飼育室
森の図書室
砂塵の飛散を抑制している。
線
敷地境界
屋根の雨水排水は垂れ流しと、砂利か
庭までブリッジを架けることで、保育空間
を森へとつなげた。
ら地中浸透することにより下水への負
県 道
荷抑制を図っている。
生物環境の保全された森は、環境教育の場
5M
10M
25M
としての活用が期待される。
配置図
所在地
竣工年
敷地面積
延床面積
構造
階数
建築:阿部均/構造:木野本圭児/設備:小西裕介
省エネルギー性能
建物データ
岡山県倉敷市
2013 年
5,744㎡
1,599㎡
RC造一部S造
地上2階
PAL削減
斜面の園庭(園舎の2階と同じレベル)
設計担当者 野外音楽堂と調和した配置
CASBEE評価
15 %
Aランク
BEE=2.5
2010年度版
自己評価
3.0
100
S
1.5
A
2.5
63
+
BEE=1.0
B
-
B
Q 50
0.5
C
0
0
25
50
L
100
主要な採用技術(CASBEE準拠)
Q3. 1.
Q3. 2.
Q3. 3.
LR1.1.
LR1.2.
LR3.3.
生物環境の保全と創出(既存の斜面・森を生かした配置)
まちなみ・景観への配慮(大学建築群との景観調和)
地域性・アメニティへの配慮(縁側による中間領域の形成)
建物の熱負荷抑制(3m出の庇による直達日射の制御)
自然エネルギー利用(ハイサイドライトによる自然採光・自然換気・昼光利用)
周辺環境への配慮(周囲への騒音が少ない場所を敷地選定、園庭の芝貼りによる砂塵の抑制、雨水排水の地中浸透)
サステナブル建築事例集/一般社団法人日本建設業連合会
※本事例シートおよび記載内容の二次利用を禁止します