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シンポジウム 3 神経変性エクソソーム研究の最前線-その基礎から臨床応用まで
オーガナイザー:道川 誠 名古屋市立大学大学院医学研究科 病態生化学
永井義隆 国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第 6 部
概要:最近、細胞間コミュニケーションの手段として、細胞から分泌される exosome に注
目が集まっている。Multi-membrane vesicle として細胞内で形成され細胞外に分泌される脂
質二重膜を持った粒子であり、内部に細胞質成分を含んだ直径 100-200 μm の粒子である。
粒子は細胞質中の分子群(microRNA, mRNA, 各種シグナル伝達分子、タウ蛋白質など各種
タンパク質)を含み、離れた細胞に融合・取りこまれることによって離れた細胞に影響を与
えると考えられている。同じ分泌性粒子である ApoE-HDL とは構成要素もサイズも物理化
学的性質も異なるものの、脂質二重膜にラフトなどのドメインが存在し、Aβ との結合や重
合の場としての作用や結合した Aβ を取り込み分解除去する作用などが報告されており、
アルツハイマー病の分子病態との関連でも注目されている。しかしながら、アルツハイマ
ー病など神経疾患の分子病態と exosome との関連については未だに解明は進んでいない。
本シンポジウムでは、exosome の形成・分泌機構・基本的な機能など基礎的な情報を提供
するとともに、各種疾患(特にアルツハイマー病)との関連、診断・治療など臨床への応
用の可能性などについて幅広い側面から議論することを企画した。様々な研究分野からの
演者で構成されたシンポジウムとなっており、刺激に満ちた活発な議論がなされることを
期待している。